2012/3/5

  2012年3月5日(月)

(一)円安へ、基調転換か。

(1)円安トレンドへ、基調転換が鮮明となってきた。
(2)輸出関連銘柄主導で本格的な上昇相場に発展することが期待できる。
(3)任天堂と島精機の指標性に注目。(前回のクラブ9参照。)

(二)アイフル・上放れの条件が成熟。

(1)野村證券はアイフルのレポートで、1株当たり利益が今期は100円に激増し、その後の5年間も毎年20円幅で増加すると予想している。新しい四季報の早見版も同様の予想である。
(2)「過払い利息を無制限にさかのぼって払い戻せ」とする過酷な最高裁決定を受けて、2年前にはサラ金業界トップの武富士が倒産した。しかし払い戻しがピークを過ぎた昨年後半から上場3社は収益力を急速に回復した。
(3)しかし一方で金融庁が融資金額を年間所得の3分1までと規制したために融資残高の減少傾向が止まらない。
(4)折しも日経は先週、財務省の過剰な融資規制のために中小企業がヤミ金融に走り、ヤクザが資金源を太らせていると指摘した。財務省は修正法案を準備しており、緩和すれば大手3社は売上高でも成長力を回復するだろう。
(5)昨年はプロミスの利益急増を見て親会社の三井住友銀行が買収に踏み切り、株価はTOB価格を上回って1,000円に急騰した。アコムは第3四半期決算で1株利益が前期の赤字268円から268円の黒字へ大転換し、株価は1,000円台から1,700円近くへ急騰した。
(6)しかしアイフルは第3四半期に1株利益が134円の赤字から80円の黒字へ大転換したにもかかわらず、株価は全く反応していない。
(7)推定される理由は次のごとくだろう。第1に、アイフルはプロミスやアコムのようなメーンバンクを持たない。第2に、公認会計士が2,000億円の事業再生ADRの返済計画に不安があるとして限定意見を付している。第3に、出所不明の大量の浮動株が株価を圧迫している。第4に、オーナー創業社長の福田氏が自主独立経営に固執している。
(8)しかしこれらのマイナス条件は福田社長がメーンバンクを受け入れさえすれば、一挙に解消する。独立独歩をめざす福田社長といえども一昨年にはサラ金業界の厳しい冬の時代を経験した。一方、大手銀行も金余りに直面して優良融資先を求めており、融資実績を持つ住友信託や大手のみずほ銀行はメーンバンク入りと2,000億円の融資肩代わりを狙っているだろう。
(9)そうなれば今期予想1株利益100円のプロミスは最低でもPER5倍、500円に大化けするだろう。
(10)これほど大きな可能性をはらんだ銘柄は滅多に現れない。その可能性に賭けてみる価値は十二分にあると私は思う。

(三)新日本理化とMUTOHは高値波乱も。
新日本理化日足
MUTOHホールディングス日足

(1)新日本理化が3月2日の後場に100円幅で急落、急騰する波乱を演じた。
(2)株価は逆日歩を点滅させながら上げ足を速めていたから天井近しとも見えたが、先週末の大波乱によって仕切り直しの腰だめを準備したように見える。
(3)同じく加藤銘柄と見られるMUTOHは、軟調な株価に反して取り組みが日に日に厚みを増し、株不足が拡大一途をたどっている。
(4)MUTOHの空売り急増には作為も見えるが、作為があればあったで波乱なくしては収まらないとも見える。
(5)ここから両銘柄は連鎖して新たな高値に挑戦する可能性が強い。
(6)しかし急騰すれば利食いも一策で、次の押し目を狙う手もある。

(四)仕手相場に関する私の投資作法。

(1)私は相場観を常に具体的な銘柄に即して表現している。弱気局面でも,弱気局面であればこそ買うべき銘柄があり、強気局面でも、強気局面であればこそ売るべき銘柄がある。
(2)「人の行く、裏に道あり、花の山」は投資家にとって不滅の格言であるが、エコノミストの相場観は常に横並びで「裏の道」も「花の山」も見えない。
(3)私が選択する銘柄は大型株、小型株、優良株、成長株、仕手株を問わない。相場の局面によって業種別、銘柄別に投資効率が変わるからである。
(4)私はこのところ新日本理化とMUTOHを勧めてきたが、両銘柄とも成長株でも優良株でもなく、仕手株であるとお断りしている。
(5)仕手株は弱気局面から強気局面に大転換する相場の初期段階で出現しやすい。
(6)クラブ9は人気の変化と推移を、経験則から2カ条の原則にまとめている。
    第1条「相場の世界では常に少数意見が多数意見に勝つ」。
    第2条「相場とは少数意見が多数意見に変わる課程である」。
(7)現在はまだ強気意見が少数派、弱気意見が多数派であるが、弱気から強気への変化は3合目を過ぎて最盛期に向かうところかと思う。
(8)しかし仕手銘柄の多くは優良株でも利益成長株でもないから、弱気派の空売りを誘い込みやすいが、必ず終わりがある。
(9)それゆえ仕手株は利食いのタイミングが重要である。特に相場の天井圏で買い方の利益が極大になり、利食いが早すぎると悔いを残す。
(10)そんな時には「利食い千人力」、「腹八分目」という自制の格言がある。