2011/10/24

  2011年10月24日(月)
  続・オリンパスに関する大胆な私見。

オリンパス日足
(一)前回(10月20日付)の私の論点。

(1)「ジャイラス買収の手数料が過大であった」というウッドフォード前社長の指摘は正しい。
(2)しかし、「買収した企業の業績悪化については責任があるが、支払手数料や買収企業の赤字処理は公認会計士の監査を得て適切に処理した」という菊川会長の釈明も正しい。
(3)すなわち「かりに菊川会長が支払った手数料が過大であったとしても、会計処理が適正に行われていれば新たな赤字は発生しない」点が重要である。上場会社の決算は公認会計士が全責任を負って監査しているからである。
(4)ただし買収を斡旋したAXAMが手数料の一部を返済した場合や、手数料の一部がタックスヘイブンにプールされている場合は、利益が増える。
(5)オリンパスは世界の内視鏡カメラ市場の70%を占有する優良企業である。株価が暴落すれば買収コストが下がるから、買収に名乗りを上げる企業が増えるだろう。
(6)以上の前回の論点は今回も変わらない。

(二)巨大な出来高の大半は「借り株」である。

(1)チャートの通り、株価は1週間で半値に暴落した。人気がオリンパス1社に集中し、市場出来高の50%を占めた日もある。
(2)ヘッジファンドの大規模な借り株がなければ、これほど巨大な出来高にはならない。借り株は現物株の売りとなるから、三市場の空売りに現れず、逆日歩もつかない。
(3)欧州では借り株を株価急落の原因と見て規制に乗り出した。オリンパスでは暴落に驚いた一部の生保が、ヘッジファンドに貸した株の返済を求めている。
(4)一大仕手人気に発展したオリンパスの株価は事実上「借り株」が支配している。

(三)大仕手戦の行方を推理する。

(1)先週は売り方の一方的な勝利となったが、売り方に弱点がないわけではない。
(2)第1に、オリンパス自身は業績の減額修正を行わない可能性が高い。
(3)第2に、巨大な借り株は必ず買い戻さなくてはならない。
(4)借り株を用いた空売りは信用取引の取り組みを悪化させるが、一旦買い戻しに転じれば、一気に株不足が表面化し、逆日歩がつく。
(5)第3に、株価が下がれば下がるほど、オリンパスを買収したい企業が増える。もし買収が表面化すれば、新期買いに買い戻しが加わって大踏み上げに発展する可能性が高い。
(6)強弱の材料は流動的、株価の行方も流動的である。