(1)私は、プロミスの経営環境が劇的に変化したように日本の株式市場を取り巻く環境が劇的に変化しつつあると思う。
(2)第1に、昨年日本の製造業を苦しめた円の独歩高に変化の兆しが見える。特に貿易立国日本が主力市場とするアジア各国の通貨が円に対して反騰に転じた。
(3)昨年は中国を筆頭にアジア各国がこぞって自国通貨を安値に誘導したから、将来の値上がり益を求めて海外から投機資金が流入し、インフレが進行した。インフレを抑制するために金利を引き上げると、高金利を求めてさらに外貨が流入し、インフレを加速する。そのためアジア各国は通貨高を容認せざるを得ない状況に追い込まれている。
(4)とくに韓国は昨年、官民一体でウォンを円の半値に暴落させたから、日本は主力の電機、自動車ばかりか、原子力発電や新幹線まで韓国勢に市場を奪われた。しかし今年はその反動でウォンが高騰する可能性がある。
(5)第2に、日本の上場企業は200兆円の巨大なキャッシュを蓄積して、そのまま手元に蓄えている。米国では、内部留保が増えれば自社株買いや増配によって高株価を実現しなければ、株主が経営者の更迭を迫る。ライバル企業もまた、企業が蓄積した資産を担保に敵対的買収(レバレッジドバイアウト)を仕掛けて来る。
(6)第3に、投資信託を筆頭に海外資本が日本企業の大株主に浮上してきた。特に中国資本の日本株買いが急増している。30日付日経ヴェリタスは外国人株主の内訳を分析し、中国政府系資本と推定される大手ファンドの大口投資を指摘している。
(7)第4に、欧米の投資銀行の主たる業務は買収、合併の斡旋である。彼らは今、競って日本の拠点を増強している。
(8)日本には純資産倍率1倍以下の優良企業がごろごろしており、タダで買収した上におつりが来るほど内部留保が厚い。理論株価が世界で最も割安である上に、昨年は銀行や生損保などの安定株主が保ち合い株式を売って日本株を急落させた。その安値を買った外国資本が大株主に浮上した。
(9)今や日本企業は隙だらけで、特に技術水準が高い製造業が外国資本の草刈り場となる可能性が高い。
(10)第5に、日本の大手銀行は昨年、国債や株式を売って利益を上げたが、今年は一転して日本国債の格付けが下がり、国際相場が下落した。銀行は新たな収益源を創出する必要に迫られている。
(11)前項では三井住友銀行がサラ金やカード会社を取り込んで新たな収益源に変身させようとしたケースを述べたが、海外の投資銀行の先手を打って自ら取引先企業の買収合併を斡旋する好機を迎えている。
(12)かくして株価急騰の条件が随所で成熟しつつあるにもかかわらず、日本の株式市場には現在もなお不可解な弱気論が充満している。
(13)しかし投資家から見れば強気が少数意見である今がチャンスである。相場の世界には先人が残した格言、遺訓が山ほどあるが、大半は同じ意見である。すなわち故人曰く「人の行く、裏に道あり、花の山」と。
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