(1)今回の世界的株価大暴落は金融市場の破たんから始まった。中でも最大の暴落銘柄はシティグループとAIGであった。
(2)世界最大の銀行であるシティグループは60兆円に達する証券化商品を保有し、60兆円の保有商品が暴落したために株価は5,000円台から100円まで。50分の1にたたき売られた。
(3)AIGは世界1の保険会社であるが、新規事業のCDS(先週のクラブ9参照)の保証料の負担が激増し、倒産の危機に追い込まれた。株価は7,000円台から36円まで、実に200分の1に大暴落した。
(4)両社は共に米政府とFRBの支援を受けてかろうじて命脈を保っていたが、3月初旬に株価がようやく底値圏からはい上がり、先週末には両社を倒産の瀬戸際に追いつめた悪材料が解消に向かう徴候を折り込んだ。
(5)シティは1〜3月決算の黒字期待に加えて時価会計基準の緩和が決定し、保有証券の評価損が評価益に逆転する可能性が濃厚になった。
(6)4月10日付日経によれば、AIGを追いつめたCDSの保証料が2月の底値から40%も急回復した。
(7)両社は借り株を用いた組織的な売り崩しによって大暴落し、大暴落が倒産説を沸騰させた。米国の証券取引委員会は、「借り株を用いた売りたたき」を禁止するカラ売り規制に乗り出す方針を固めた。実施されれば需給面から株価の反騰を支援するだろう。
(8)両社を倒産の瀬戸際に追い込んだ悪材料が縮小するにつれて、株価は高値奪回を目指すだろう。ちなみに昨年の高値は、シティ 3,250円、AIG 6,500円である。また第1四半期の決算発表はシティ 4月17日、AIG 5月8日である。
(9)もちろんリスクはある。4月12日付日経ヴェリタスは「政府の管理下にあるシティは第1四半期も赤字を予想する向きが多い」と報じている。評価損益の修整が、4−6月期に繰り延べされる可能性もある。
(10)私の強気は少数意見であるが、少数意見であればあるほど的中した場合のインパクトが大きい。2銘柄は暴落局面の指標となったが、反騰局面でも指標株となるだろう。