2014年3月10日(月) |
ボナノッテの彫刻「男と鳥」とわが家の梅の花 |
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1972年、連合赤軍の岡本公三がイスラエルのテルアビブ空港に乱入し、多数の民間人を射殺するという事件が起こった。 当時イタリアの新進彫刻家であったチェッコ・ボナノッテは、その悲劇的事件をテーマとして彫刻「男と鳥」を制作した。たまたま親しくしていたヒロ画廊の藤井社長がボナノッテの個展を開催し、「男と鳥」を出展したので、私が乱射事件の贖罪(しょくざい)を祈念して買い取ることになった。 ボナノッテは早熟の才能を発揮し、若くしてローマ国立美術学校(ローマアカデミー)で教鞭を取った。 それから44年を経過した今、「男と鳥」はわが家にどっかりと腰を据えて、いつのまにか家族の欠くべからざる一員となっている。そして写真の通り「男と鳥」は梅の木の下で世界平和を願い、梅の花の季節を迎えて花見の主役を演じている。 連合赤軍の乱射事件は今では人々の記憶から完全に消えたが、ボナノッテはバチカンの歴代法王の依頼を受けて次々に重要な作品を制作した。中でもキリスト生誕2000年を祝う大聖年にはバチカン美術館で高さ8.5メートルに及ぶ大扉「ポルタ・ヌォーヴァ(新しい扉)」を制作した。 ちなみに西暦1年はキリスト生誕の年だから、西暦2014年の今年は生誕以来2014年目となる。日本の暦は初代天皇である神武天皇が即位した年を紀元元年としており、今年は紀元2672年となる。 ボナノッテは日本でも東京のバチカン大使館内の教会や大阪のカトリック大阪梅田教会で建築と内装のすべてを一体として制作し、2012年には高松宮記念世界文化賞を受賞した。 もしテルアビブ空港乱射事件がなければ、ボナノッテが「男と鳥」を制作することも、その彫刻がわが家の庭に鎮座することもなかった。今さらながら人生は奇縁有縁の見えない糸で結ばれていると感じている。 |
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