2013/9/30

  2013年9月30日(月)
  元サムスン電子社員高村忠美氏が内部告発。
  「砂上の楼閣・サムスンの突然死は近い」。

(一)日本の中小企業に部品を依存するサムスン。
(1)韓国経済を代表する超巨大企業サムスンの元社員高村忠美氏は、月刊WiLL 11月号に寄稿した内部告発で、サムスンの経営が危機的状況に陥っていることを具体的に述べている。サムスンの危機は韓国経済の行方を占う上できわめて重要な指摘だと思うので、高村氏の主張を紹介しておきたい。
(2)私はクラブ9で日本の製造業の特徴を次の通りに指摘してきた。「日本には部品産業の裾野を広大な中小企業群が形成し、製造業の技術開発力を縁の下でガッチリと支えている。韓国にはこの様な中小企業が皆無に近いから、サムスンは日本製品をパクリ、日本から部品を輸入し、組み立てるアセンブル業に過ぎない」と。
(3)高村氏も同じ視点から、サムスンを含む韓国の製造業は大半の部品調達を日本企業に依存しているから、韓国の対日貿易赤字は2010年2.8兆円、2011年2.5兆円で、今後も赤字幅が縮小する可能性が乏しいと指摘している。
(二)サムスンに学んではならない。

(1)日経新聞はサムスンの4〜6月期決算を営業益最高と報じている。書店ではサムスン礼賛本が目につく。しかし高村氏は外国人投資家がサムスン株を売り始めているという。
(2)高村氏は日本の家電会社に勤務していたが、その経営手法に失望し、サムスンに入社した。しかしサムスンも「突然死が近い」と確信し、表題のレポートを作成してサムスンに学んではいけないと主張している。

(三)スマートフォンが爆発炎上。

(1)サムスン財閥はサムスン電子が圧倒的に大きく、その他のグループ企業はサムスンの一ケタ以下だから、サムスン電子を見ればサムスンがわかる。
(2)サムスンで現在成功している事業はスマートフォンである。
(3)日本から覇権を奪ったテレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等は皆日本製のパクリで、日本からパーツを輸入して組み立てるアセンブル業に過ぎない。しかし韓国のアセンブル技術にも問題点が多い。
(4)米国では2006年から2008年までに販売したテレビ700万台で不具合が発生し、集団訴訟に発展した。2009年には冷蔵庫の爆発事故が相次ぎ、リコール台数は韓国、欧州で40万台に達した。洗濯機の火災事故も多発している。
(5)現在主力製品に浮上しているスマートフォン「ギャラクシー」も爆発炎上が頻発している。
(6)サムスンは大半の基幹部品を日本から輸入しているから、韓国の対日貿易は大幅な赤字が続いている。5月1日付朝鮮日報は、「液晶パネル大国・韓国、重要部品の国産化率ゼロ」と嘆いている。
(7)日本の基幹部品の性能、品質、コスト競争力は終始一貫、世界の最高水準を保持しているから、日本から大半の部品を輸入しなければサムスンの経営は成り立たない。

(四)頻発する労災事故。

(1)韓国では橋やビルの倒壊がめずらしくないが、サムスンでもフッ酸流出等の重大事故が頻発している。
(2)サムソンの社員はこれらの事故について知らされていない。事故が起こった後でも安全教育が行われていないから、重大事故が繰り返されるのである。
(五)相次ぐ参入失敗。

(1)韓国や中国の生産コストは日本より割高である。
(2)コスト高の原因は主として、1. 人件費の上昇、2. 労働の生産性が低い、3. 不良品の発生率が高い、点にある。
(3)サムスンではLED(発光ダイオード)や太陽光パネル事業の大幅縮小が始まっている。京郷新聞はサムスン、LGがLED事業で大赤字を出したと報じている。サムソンはX線CT等、医療分野への進出を試みたが、これにも成功していない。
(4)サムスン製の自動改札装置はトラブル続きで、6億円の設備が廃棄された。半導体事業でも参入失敗が相次いでいる。
(5)日本の評論家がサムソンに比べて「日本企業のコストが高い」という誤った神話をまき散らしたために多くの企業が国内事業を縮小し、人材をリストラして日本経済のデフレに拍車をかけ、国内産業の荒廃を招いた。日本の企業はこの様な弱気の社内評論家を一掃する必要がある。
(6)中国や韓国のコストが安い時代はとっくに終わった。日本は地方の若年層を雇用して低コストを追求するべきである。
(7)5月21日付読売新聞は「米国の製造業では中国生産から米国生産に回帰する動きが強まっている」と報じている。
(8)8月21日付け産経新聞は「中国撤退セミナー盛況」と報じている。
(9)尖閣をめぐる対立で日系企業の中国進出意欲が減退しており、日本企業の国内回帰が進むだろう。

(六)品質が悪く、値段も高い。

(1)中国、韓国とも、カントリーリスクが高く、コストも高い。
(2)両国とも、インフラが貧弱で、そもそもインフラの基盤がないから、海外から移植した技術と人材が根付きにくい。外国人技術者が退職すると、化学薬品の流出事故や爆発炎上事故が相次ぐ。
(3)国民の大半が貧困に取り残されている国では内需が育たない。
(4)ちなみに韓国の量販店が扱っている家電製品は日本より品質が悪く、値段も高い。
(5)おまけに2012年末以降は円が対ドル、対ウォンで安くなり、韓国との国際競争力が有利になっている。

(七)不可解なサムスンの最高益更新。

(1)サムスンは技術水準の低さにもかかわらず、営業利益が過去最高を更新しているが、経営面で不可解な現象が見える。
(2)年初に発表したサムスンの2012年通期決算は、売上高が17兆円、営業利益2.5兆円と過去最高であった。2013年に入っても絶好調の決算が続いている。
(3)しかし絶好調にもかかわらず、サムスンの設備投資は急減しており、京郷新聞はサムソンが2013年の半導体設備投資を半減すると報じている。社員のボーナスも激減している。外国人投資家はサムスン株を売っており、サムスンの絶好調の決算自体が疑問視されている。
(4)なりふり構わぬ支出削減も続いている。韓国人社員のボーナスは2013年に入って、IT・モバイル部門以外は大幅に削減された。
(5)過去最高の業績を更新し続けている企業が次々に投資をキャンセルし、社員のボーナスを削減しているのはなぜか。

(八)サムソン栄えて国滅ぶ。

(1)リーマンショックから1年後の2009年10月14日付け朝鮮日報によれば、カン・マンス国家競争力強化委員長が「サムスン電子と現代自動車が過去最高益を挙げたというが、為替効果と『財政出動効果』を差し引けば創業以来最大の大赤字だ」と指摘した。
(2)サムスンや現代等、一部の大企業が政府から『財政出動』という名目で補助金を受け取っているという噂が国民の間でささやかれている。「サムスン栄えて国滅ぶ」という噂の通り、国家と国民がボロボロになりながら、サムスンを支えているのである。
(3)しかし国家が丸ごと破たんする日は近い。国民の貧困化が進行し、国家への信頼が危うくなっている点で、韓国は北朝鮮と似ている。
(4)日本にはまだ独自に製品を開発する活力のある企業が残っている。そういった企業の一部に、韓国を見習って有形無形の「資産」をそぎ落とそうとする動きが見えるが、これこそ自滅を目指す経営であり、狂気の沙汰である。
(5)一部のマスコミや経営コンサルタントが、「アジアに成長著しい理想的な資本主義国家があり、それは韓国である」というわい曲された情報を垂れ流しているため、鵜呑みにする日本人が少なくない。
(6)サムスンを初めとする韓国企業にはインフラと人材ができあがっておらず、現在の繁栄は砂上の楼閣である。いま日本企業に求めるべきは、サムスンを反面教師として日本型経営に立ち帰ることである。
(7)韓国の国民の間ではサムスンや現代が政府から補助金を受け取って決算をかさ上げしているといううわさがある。国家と国民がぼろぼろになりながらサムソンを支えているというのである。
(8)日本の優良企業の中には、サムソンに見習ってリストラをするべきだという動きがあるが、自滅を目指す狂気の沙汰である。
(9)サムスンを初めとする韓国企業はインフラと人材ができあがっていないから危ういのである。いま日本企業に求められるのはサムスンを反面教師として日本型経営に回帰することである。