(1)5月24日付でナノキャリアは定款を変更し、発行可能株式数を491,852株から、1,301,228株に拡大すると発表した。
(2)現在の発行株式数は287,000株だから増資後は4.5倍へ、一挙に、大幅に拡大する。
(3)割当先を一社に絞るとすれば、米国のファイザー以外に考えられないが、私は新株主が多業種、多企業にわたるのではないかと思う。
(4)増資新株の引受先を見ればナノキャリアの革命的な変化の行方が見えると思うので、以下に引受先企業の業種と企業を推理したい。
(5)ナノキャリアは東京市場に上場して5年を経過したが、依然として前例のない極端な技術開発先行型企業である。決算は現在も赤字で、売上高は3億円台に過ぎないにもかかわらず、研究開発に惜しみなく資金を投入しているから、綱渡りの資金繰りを続けていたが、信越化学との提携によってようやく一息ついた。
(6)それだけに今回の大型増資による自己資金の調達はナノキャリアの資金繰りに革命的な変化をもたらす。変化の行方を探るためには新株の割り当先企業の顔ぶれを推定する必要がある。
(7)ナノキャリアの傑出したナノ技術を導入したい企業は多い。しかもナノ技術の応用範囲が多業種、多企業にわたるため、新株の割当先もまた製薬業界の枠を超えて広範囲の産業界に及ぶ可能性がある。以下に候補企業を予想したい。
(8)第1に、米ファイザー。ナノキャリアは早くから世界の製薬最大手である米ファイザー社に隣接して米国の営業所を開設している。ファイザーは最有力の割り当て先となるだろう。
(9)第2に、昨年提携関係を樹立した信越化学。
(10)第3に、台湾で合弁会社を設立する相手先企業。
(11)第4に、すでに提携関係にあるコーワ、エーザイ,武田等の製薬会社と、複数の化粧品会社。
(12)第5に、目薬・貼り薬の企業。ナノキャリアはナノレベルの超微細粒子だから注射薬、飲み薬はもちろん、目薬のロートや貼り薬のサロンパスも新薬の有望な提携対象となる。
(13)上場会社の中でも、ナノキャリアほど情報開示を頻繁に行っている企業はない。その頻度は日進月歩の旺盛な開発力を示している。
(14)それゆえ大型増資の割当先が明らかになれば、ナノキャリアの技術開発力と新薬が目標とする市場の多様さ、スケールが見えてくると私は思う。
(15)旺盛な技術開発力に対して赤字決算と綱渡りの資金繰りはナノキャリアのアキレス腱である。今回の大型増資はそのアキレス腱を自力で解消するための突破口となりうる。今後の増資関連の情報開示に注目したい。
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