2013/5/20

  2013年5月20日(月)

(一)上昇する日本経済と低迷する韓国経済
ウォン対円週足

(1)韓国のパク・クネ大統領はわざわざ米国を訪問し、オバマ大統領との会談で日本の歴史認識や慰安婦問題を持ち出して米国から日本を批判した。この情報にはアメリカのマスコミよりも日本のマスコミが飛びついたが、大多数の日本人は「何を今さら」と感じただろう。
(2)最近では急上昇する日本経済と対照的に韓国経済の低迷が目立っているが、パク大統領は自国経済に対する効果的なてこ入れ策が見つからない。国民の政府批判をかわすためにパク大統領自ら訪米し、歴史認識や慰安婦問題を海外から発信することによって日本に対する劣等感を払拭しようとしたと思われるが、かえって手詰まりのあせりを感じさせた。
(3)日本では安倍政権が発足するや、矢継ぎ早に繰り出した金融緩和、規制緩和の経済政策が国民の支持を集め、生産と消費が回復し、景気回復が鮮明となった。年内には産業界の賃上げが実現し、日本国民は景気回復を実感するだろう。
(4)これに対して、日本企業との輸出競争力が急低下した韓国企業は景気低迷を脱出するための筋道が見えない。
(5)最大の原因は、ウォン高・円安の進行だろう。
(6)<チャート・ウォン対円 週足>をご覧頂きたい。李明博前大統領は自ら為替市場に介入して、青線で表示した通りウォン安を実現し、ウォン安をテコとして日本経済を追撃した。
(7)しかしパク政権は李明博政権のウォン安政策の反動で、赤線で表示した通りウォンの急反発に直面し、日本に対する競争力を失った。
(8)おまけに日本では安倍政権の大胆な金融緩和政策を受けて景気が好転したばかりか、金利低下を反映して円安が進行した。
(9)ウォン高、円安のダブルパンチを受けて韓国経済の対日競争力が急低下したが、パク大統領が景気てこ入れ策を見いだすことは困難だろう。
(10)手詰まりとなったパク大統領は、訪米してオバマ大統領と会談し、米国から筋違いの従軍慰安婦や歴史認識を発信して日本を批判する以外に自国民の不満をかわす方法が見いだせなかったのだろう。

(二)底が浅い韓国経済。

(1)韓国経済は底が浅い。そもそも自国で開発した技術やノウハウが乏しい。韓国にはノーベル賞や主要な国際賞を受賞した人物がいない。まれに大発明が報じられるとねつ造であったりする。
(2)歴史的に見ても韓国経済は日本企業のものまねと日本技術のパクリによって成長してきた。
(3)鉄鋼、造船、家電、自動車という韓国産業の発展過程はそっくり日本の産業発展の後追いである。
(4)サムスン(電気)、ヒュンダイ(自動車)、ポスコ(鉄鋼)、サムスン重工業(造船)、ヒュンダイ重工業(造船)等の大企業もまた、日本企業の経営や技術の模倣によって成長した。
(5)しかしものまねで追いつくことはできても追い抜くことは出来ない。追い抜くためにはオリジナルの技術とノウハウが不可欠だからである。
(6)韓国の現代自動車は昨年、米国で燃費効率を20%も過大に表示していたことが米国政府の調査で露見し、厳しいペナルティーを科された。また韓国の製鉄会社が昨年、新日鐵のノウハウを盗むという事件も表面化した。
(7)前政権は為替市場に介入し、ウォン安によって対日競争力を強化したが、現政権は前政権によるウォン安政策の反動でウォン高に悩まされている。そもそも為替市場への政府介入は禁じ手である。
(8)折しも日本では安倍内閣が成立し、大胆な金融緩和政策に打って出たから、金利が低下し、金利低下が円安を誘発した。
(9)日本の円安は韓国にとってウォン高となる。日本企業の韓国に対する輸出競争力が回復した結果、国内景気が好転し、消費が拡大し、株価が急騰した。
(10)しかし日本の円安は低金利政策の結果であって、政府は為替市場に介入していないから、パク大統領は円安にクレームをつけることができない。
(11)韓国の製造業は今、生産コストと為替レートの両面で対日競争力が低下しているが、挽回のための特効薬を見いだすことは困難だろう。
(12)経済的にも政治的にも八方ふさがりとなったパク大統領は訪米してオバマ大統領に会い、日本の歴史認識や慰安婦問題を国際世論に訴えて同情を買う以外のパフォーマンスが見いだせなかったのだろう。

(三)三井海洋と日本海洋掘削。
三井海洋日足

海洋掘削日足

(1)三井海洋は海上にプラットフォームを構築する。日本海洋掘削はそのプラットフォーム上から海底資源を掘削する。
(2)両社は共に世界のオンリーワン企業で、競合する会社がなく、収益力が高い。
(3)両社は世界各地の海底資源採掘でこれまでに傑出した技術と実績を蓄積している。
(4)安倍内閣は日本列島近海で海洋資源の開発に乗り出す構想を固めつつある。
(5)両社はオンリーワン企業だけに、長期に持続するほど、大きく報われるだろう。