2013/5/7

  2013年5月7日(火)

(一)タカラバイオがストップ高。
タカラバイオ日足

(1)日経平均は先週末までの4日間に284円も下落したが、同じ4日間にタカラバイオは1,975円から2,800円まで41%、825円も暴騰した。
(2)連休の間に何が起こるかわからなかったから、株を利食いしてのんびり休暇を楽しもうと考えた常識派にとっては、虚を突かれた展開となった。
(3)4月まで円安を好機として株高を牽引した国内、海外の機関投資家が連休を控えて利食い売りに転じたが、タカラバイオの突然のブレイクは、連休明けの相場に大きな期待をつないだ。
(4)買ったのは個人投資家だろう。安倍政権が大胆な金融緩和政策を進めると共にバイオ市場の育成を政策目標に掲げたために、個人投資家は連休明けを待ちきれずに資金を株式市場に投入した。その資金が大引けにかけて奔流となってタカラバイオに集中した。
(5)タカラバイオが個人投資家の目標となった背景には十分な根拠がある。
(6)第1に、山中教授が iPS細胞を発明してノーベル賞を受賞した。その山中教授から終始一貫 iPS細胞の生産を受注していたのはタカラバイオである。
(7)第2に、安倍政権の全面的支援を受けて、山中教授の iPS細胞の研究は加速したから、タカラバイオの iPS受注量もまた激増した。
(8)その結果、タカラバイオに投資資金と投機資金が集中し、株価が騰勢を強めたと思われる。
(9)第3に、株主構成と需給関係も支援した。タカラバイオは親会社であるタカラHDが71%を保有しており、浮動株は13.5%に過ぎない。13.5%の浮動株の争奪戦が進むにつれて、需給関係がますます逼迫し、株価は尻上がりに高騰し、ストップ高を演じた。
(10)山中教授の iPS細胞の生産を受託しているのはタカラバイオだけである。タカラバイオのバイオ技術は親会社であるタカラHDの酒造技術に由来しており、タカラバイオに代わりうる企業は簡単には現れないだろう。
(11)タカラバイオに一極集中したバイオ株人気は一段と拡大する可能性がある、と私は思う。

(二)富士フイルムに要注目。

(1)第2のタカラバイオが現れるとすれば富士フイルムが有力候補だろう。富士フイルムは先に富山化学を買収し、富山化学の子会社であったジャパンティッシュもまた富士フイルムの傘下となった。
(2)そのジャパンティッシュが先週、タカラバイオと共にストップ高を演じた。
(3)非上場ながら富山化学もまた大型の材料をはらんでいる。富山化学は鳥インフルエンザの特効薬T-705の製造認可を厚労省に申請してすでに2年1ヶ月を経過した。富山化学に問い合わせたところ、認可は時間の問題だろうと発言している。
(4)T-705は薬効が広範囲に及ぶ大型新薬である。抗生物質ではないから、耐性菌が出ない。
(5)鳥インフルエンザにはタミフル、リレンザが有効と報じられているが、本命はT-705とする評価が高い。
(6)T-705に厚労省の認可が下りれば親会社である富士フイルムの株価を刺激するだろう。