2013/3/18

  2013年3月18日(月)
  日本ケミカルはバイオの中のバイオ。

JCR日足

(1)山中伸弥教授がiPS細胞を開発して以来、バイオが製薬業界の、そして株式市場の人気の焦点に浮上した。
(2)iPS細胞はこれから量産技術を確立し、動物による前臨床と臨床試験を経て、最終製品として商品化する。その永くて多様な開発課程へいま多くの企業が参入を競い合っている。
(3)日本ケミカルはiPSとは無縁の薬品株であるが、チャートを一連のiPS関連銘柄と比較すれば株価の歩みはiPS関連銘柄よりも先行して上昇し、着実に下値を切り上げている。
(4)私が日本ケミカルをバイオ関連銘柄の最右翼と見て繰り返しクラブ9で取り上げるようになったのは本社工場を見学したときからである。数年前に始めて神戸西郊の西神ニュータウンに立地する日本ケミカルを訪問したとき、工場には大きなタンクばかりが静かに林立しており、意外な風景を見てとまどった。
(5)日本ケミカルはすべての製品をタンクで培養していた。そしてタンクによる薬品の培養こそがバイオ企業の一つの典型であることを私は知った。
(6)日本ケミカルは芦田会長を筆頭に社員の40%以上が研究に従事する開発型企業である。個性的で、傑出した開発力に注目した英グラクソのマーク・デュノワイエ会長は自ら決断して発行株式の26%を取得し、全面的な包括提携契約を結んだ。世界の製薬業界は買収、合併を繰り返し、グラクソの世界ランキングは2位と4位の間に位置しているが、年間売上高145億円の日本ケミカルに比べるとおよそ200倍の巨大企業である。
(7)技術屋であるグラクソの会長は技術屋である日本ケミカルの芦田会長と意気投合して出資を決断し、新薬開発に資金を拠出する一方、主力薬品の腎性貧血治療薬エポエチンアルファの海外販売権を取得し、間もなく発売を開始する。
(8)芦田会長はかねてから「今3月期までは雌伏期であるが、来3月期以降が飛躍期になる」と述べておられたが、飛躍の根拠となるエポエチンの海外販売が目前となり、いよいよ日本の神戸から世界市場へ進出する。腎性貧血治療薬の海外の市場規模は2.2兆円で、グラクソがシェア1%を取得するごとに日本ケミカルの売上高が倍増する。
(9)新しい四季報は来期の業績を微増益としているが、14年3月期の業績が飛躍的に好転することはグラクソの販売力をみれば明らかだろう。
(10)株価はこれまで理想買いで上昇してきたが、ここからはiPS関連銘柄に先駆けて現実買いに移る。グラクソの販売実績に注目したい。