2012/10/9

  2012年10月9日(火)
  バイオ関連の材料株、ナノキャリアと日本ケミカル。

(一)ナノキャリア。フンボルト賞受賞の革新的技術。
ナノキャリア日足

(1)研究開発を主導する東大大学院の片岡一則教授が今年、ドイツのフンボルト賞を受賞した。フンボルト賞はノーベル賞の登竜門と見られている。
(2)当社は画期的なガン治療薬ナノブランチンのフェーズ I / IIを、これまで台湾、シンガポールで実施してきたが、先週、国内でも開始すると発表した。
(3)当社は自社開発のテクノロジーに基づくミセルナノ粒子をコア技術として、主にガン領域で新薬を開発している。
(4)従来の抗がん剤は正常細胞にも働くために患者の体力が消耗したが、ミセル化ナノ粒子医薬品は病変部に集まる比率が高く、副作用が軽減される。その技術は広範囲の医薬品に適用可能である。
(5)これまでは自力開発のために赤字が累積していたが、オリエント・ユーロファーマ社とライセンス供与契約を結び、累積赤字が一挙に半減した。
(6)米ナスダック上場を目指しているという情報もある。

(二)日本ケミカルリサーチ(JCR)。グラクソ支援で世界市場に飛躍。
JCR日足

(1)日経は10月5日、「英グラクソが希少疾患薬を強化し、40〜50製品を投入する」と報じた。
(2)日本でグラクソはすでに「ライソゾーム病」等の希少疾病薬を開発するJCRの筆頭大株主となり、全面的な包括提携契約を結んでいる。
(3)これまで海外の販売網を持たなかったJCRが、いきなり世界第3位の製薬大手グラクソの販売網を得た効果は絶大である。
(4)第1に、希少疾病薬でもグラクソの販売網をもってすれば大型新薬に一変する。
(5)第2に、グラクソは来年3月からJCRのエポエチンアルファを海外市場で販売すると表明している。
(6)エポエチンが対象とする腎性貧血治療薬の海外市場は12兆円の巨大市場である。さらにグラクソは世界各国でエポエチンの販売認可を取得する度にライセンス料を支払うから、この一品目だけで来期の売上高と利益は桁違いに激増する。
(7)売上高145億円のJCRが売上高200倍、2.7兆円のグラクソの販売力を得てどのように変身するか。見届けてみる価値がある、と私は思う。