2012/10/1

  2012年10月1日(月)

(一)提携内容は「オリンパス売り、ソニー買い」。

(1)オリンパスとソニーの提携内容が明らかとなった。私は不祥事発生以来、一貫してオリンパスを擁護してきたので、率直に感想を述べておきたい。
(2)第1に、ソニーはオリンパスが発行する500億円の第三者割り当て増資を引き受けて出資比率11%の筆頭株主となり、取締役を派遣する。取得価格は1株1,400円強。
(3)第2に、新会社を設立し、ソニーの画像技術とオリンパスの内視鏡技術を組み合わせて、新型内視鏡を開発する。
(4)第3に、ソニーは新会社の株式の過半数を出資し、医療機器事業に本格進出する。
(5)第4に、ソニーはオリンパスの不振のカメラ事業を支援する。
(6)これらの提携内容を見れば、ソニーは国際市場で数々のM&Aを実践し、百戦錬磨のノウハウを蓄積しただけに、オリンパスの成長部門を分離してソニーの支配下に置いた。
(7)逆にオリンパスは経営の安定と引き替えに将来の成長力を失う結果となった。
(8)私はテルモがマスコミに公開した経営統合提案がベストだと述べたが、オリンパスの笹社長は身の丈に合ったテルモの提案を退けてビッグネームのソニーに飛びついたのである。
(9)私はこれまでに再三笹社長の器量不足を指摘したが、不安は現実となった。ソニーは役者が一枚も二枚も上で、オリンパスをソニー本位に料理した。今回の提携を投資家・株主から見れば「ソニー買い、オリンパス売り」と評さざるを得ない。

(二)アコムは雄大な上昇局面へ。

(1)予想通り、アコムが先週、4年ぶりに戻り高値を更新した。
(2)アコムの雄大な波動を一望するために、チャートは月足を用いた。
(3)チャート上の次の目標株価は2008年11月の4,400円で、そこまでは節目がない。
(4)親会社の三菱東京UFJ銀行は金余り時代を迎えて融資先が減少しているから、アコムのサラ金支援に全力を投入し始めた。さらに三菱東京UFJはアコムのノウハウを援用して地銀のサラ金進出を支援し、保証料1.5%を稼いでいる。
(5)プロミスを買収した三井住友銀行も、社員にプロミスのキャッシュカードを持たせてサラ金部門のPRに注力している。
(6)サラ金で無担保、即時融資の無人店舗を全国展開している国は世界で日本だけである。アコムが構築したネットワークは親会社の収益にも貢献するだろう。
(7)過去の過払い利息の返還訴訟によってサラ金業界は大不況に直面し、業界トップの武富士が倒産した。アコムは増勢一途の支払い負担がようやく横ばいとなって、業績予想が好転し始めた。
(8)アコムの1株当たり利益予想(四季報)は今期290円、来期344円で、株価に割安感が生まれている。
(9)チャートの目標値とした4,400円は、三菱東京UFJ銀行がアコムを買収した際の取得株価と同じで、銀行にとっても挽回したい目標株価である。ちなみにアコムの史上最高株価は14,830円である。