2012/7/23

  2012年7月23日(月)

(一)富士フイルム。株価不振の超優良株。
富士フイルム

(1)往年の値がさ優良株を代表するソニーやパナソニックは本業の家電が構造的不況に直面し、未だ業績回復のめどさえ立たない。それでもさすがに1,000円割れのソニーを買いたいという声が出始めた。
(2)富士フイルムもまたチャート上では、ソニーやパナソニックと同様の下降傾向をたどり、株価は新安値を更新中である。しかし肝心の業績面では、収益力、財務内容が好転一途で、すでに日本を代表する優良企業に変身している。
(3)世界の家電業界はケータイやiPad等の革新的な新製品を次々に開発し、一貫して拡大成長を続けているが、日本の家電は韓国、台湾との国際的競合に敗退し、未だに復活の気配が見えない。
(4)富士フイルムは主力業務のフィルム事業がデジタル革命に遭遇して完全に消滅するという、家電業界よりもはるかに厳しい経営危機に直面した。世界屈指の超優良企業であった米コダックはとっくに倒産した。
(5)しかし富士フイルムは医療画像、内視鏡、液晶フィルム等の新規事業に大転換し、現在もナノ技術をベースにした化粧品・薬品の開発等、ニュービジネスを次々に立ち上げて、みごとに復活再生を果たした。2兆円の利益剰余金を積み上げた財務内容もまた日本を代表する優良株の証明である。
(6)一方で、富士フイルムはオリンパス支援に対する強い意欲を隠そうとしない。資金力、技術力、経営力のどの点を見ても、他のいかなる企業よりも大きな提携効果を実現するだろう。
(7)あえて私見を述べれば、富士フイルムは優柔不断のオリンパスをTOBによって即座に傘下に収めるべきである。米国市場であれば、オリンパスの再建問題はTOBによってとっくに決着がついていただろう。
(8)もし富士フイルムが敵対的買収に踏み切れば、日本の上場企業の経営者に与えるインパクトはきわめて大きい。日本の株式市場はその英断を大歓迎するだろう。
(9)いずれにせよ、東京市場が本格的に底入れする時には富士フイルムが新しい指標株になっていると私は思う。

(二)一目均衡表の雲を抜けた日本海洋開発と三井海洋。

(1)このところ、オリンパス、日本ケミカル、ナノキャリア、ヨータイ等、業績が順調で、日足が一目均衡表の雲を下から上へ突破した銘柄を連続して取り上げたところ、期待通りに株価が上放れた。
(2)直近では日本海洋掘削、三井海洋が一目均衡表の雲を突き抜けた。
(3)海洋資源の開発は日本企業の独壇場である。両社はブラジル近海の石油資源の開発等、世界の海洋開発で独占的な実績を残している。
(4)先ず三井海洋と三井造船が海上にプラットフォームを建設し、日本海洋開発がプラットフォームから海底へパイプを打ち込んでボーリングする。
(5)日本近海でも泥中に含まれた大量のレアメタルや、メタンハイドレート(シャーベット状の天然ガス)の大量埋蔵量が相次いで確認された。
(6)米国では陸上のオイルシェールガスの開発が本格化し、天然ガス相場を下落させるほどの巨大産業に急成長した。
(7)日本政府が日本近海の鉱物資源の開発に乗り出すのも時間の問題となったから、関連銘柄が評価されるタイミングは近いだろう。

(三)マスコミの小沢批判に変化の兆し。

(1)小沢批判一色のマスコミにはめずらしく、8月3日付週刊ポストが<「次の選挙は圧勝する」と断言した小沢の「自信の根拠」>という大見出しで小沢一郎擁護の特集記事を組んだ。要旨は以下のごとくである。
(2)第1に、小沢嫌いの大新聞5誌は、今度こそ小沢一郎は再起不能になったという論調で、次のごとく足並みをそろえた。<孤立深める船出(毎日)>、<多難な船出(日経)>、<展望なき船出(産経)>、<小沢王国分裂(朝日)>、<大衆迎合の色濃い「生活第一」(読売)>。
(3)第2に、圧倒的なマスコミの支援を得て、官邸は小沢を切れば内閣支持率が上がると期待したが、現実には過去最低の21.35%に下落し、民主党の支持率もまた6.7%へと凋落した。
(4)第3に、大新聞が結束して強行した大規模な世論操作にかかわらず、小沢新党の勢力と国民的人気は増勢一途をたどっている。
(5)私は一貫して「増税反対の公約を守った小沢一郎が公約違反の野田総理を圧倒するのは理論的にも実践的にも当然だ」と小沢一郎の正当性を支持しているが、現実に小沢新党の勢力は増勢一途で、すでに内閣不信任案の成立が視野に入り、野田内閣を窮地に追い込んでいる。
(6)機を見るに敏な橋下維新が「国民生活が第一」の小沢一郎と手を組む可能性も十二分にある。私は今回もまた小沢一郎が次期総選挙で圧勝する可能性が高いと思う。
(7)日本の大新聞がいくら小沢一郎を「壊し屋」と批判しても、多数の日本国民は小沢一郎の揺るがない政治姿勢を支持している。
(8)私は昔も今も田中角栄と小沢一郎を不世出の政治家と高く評価している。政治家の資質は政治を改革し、国民の富を増大させる能力にある。クリーンであっても無能な政治家を国民が評価しないのは当然である。
(9)週刊ポストの小沢擁護論はマスコミの論調変化の兆しではないだろうか。