2012/7/17

  2012年7月17日(火)
 I。ナノキャリア。
    フンボルト賞に続いてノーベル賞受賞も。
 II。小沢一郎に対するマスコミの集団的いじめ。

 I。ナノキャリア。フンボルト賞に続いてノーベル賞受賞も。
ナノキャリア日足

(1)ナノキャリアの創立以来のアドバイザーである東大片岡教授が3月26日、ドラッグデリバリーシステムの開発によってドイツのフンボルト賞を受賞した。ノーベル賞受賞の呼び声も高い。
(2)日本人の3人に1人がガンで死亡している。これまで多数の抗がん剤が開発されたが、副作用で苦しんだ。その副作用を抑えて抗がん剤を効果的に作用させるシステムがドラッグデリバリーシステムである。
(3)システムの中核をなすミセル化ナノ粒子は急成長したガン周辺の血管に隙間が多い性質を利用する。ミセル化ナノ粒子はガン周辺にできる数百ナノメートル(1ナノは10億分の1)の隙間を通り抜けて患部に到達する。
(4)抗がん剤を取りこんだ20〜100ナノメートルのカプセルは、ゆっくりと抗がん剤を放出するように速度を調整できるから、ナノ粒子が全身を循環しても薬効成分の濃度はあまり高くならず、副作用を抑えることができる。
(5)ナノキャリアは効果が高い抗がん剤と組み合わせたDDS薬剤を開発している。
(6)中冨社長は米国でベンチャー企業をナスダックに上場させた実績があり、ナノキャリアをナスダック市場に上場させるのではないかという期待もある。
(7)ナノキャリアは研究開発費を自力で賄っているために累積赤字が急増しているが、投資家の評価と人気は揺るがない。実力、人気ともベンチャービジネス、ベンチャーキャピタルの最右翼だろう。
(8)チャートは一目均衡表の雲を突破した後、一押し入れたところである。高値を更新する条件は成熟しつつある。

 II。小沢一郎に対するマスコミの集団的いじめ。

(1)マスコミは小沢一郎を「壊し屋」と批判するが、私は小沢一郎ほど言行が一致してわかりやすい政治家を他に知らない。
(2)小沢一郎は「自民党の独裁政権を倒すために」二度にわたって「自民党政権を打倒し」ついに絶対多数の民主党政権を樹立した。
(3)しかし増税しないという選挙公約に違反した野田首相に対して、小沢一郎は断固として増税反対を主張し、離党して「国民の生活が第一の党」を結成した。
(4)首尾一貫、論理明快な小沢一郎に対して、野田首相は自ら選挙公約に違反して増税を強行したばかりか、次回選挙では「増税」に反対する候補者を除名し、対立候補を立てると述べたが、さすがに党内で総スカンを浴びて撤回した。
(5)野田首相は増税論を通すために、政敵である大蔵省出身の谷垣自民党総裁と野合した。ジキルとハイドのように冷静と狂気の二つの顔を使い分けている。
(6)ところが日本のマスコミは変節常ならぬ野田首相を批判しないばかりか、終始一貫、言行一致の小沢一郎を、政策とは無縁の「壊し屋」というレッテルを貼り付けて批判している。インテリ集団のいじめは小学生のいじめよりも陰湿、卑怯、悪質である。
(7)私は、理論的にも野田首相の増税政策は時代錯誤だと思う。「今増税を断行しなければギリシャやスペインの二の舞になる」という財務省の主張が真っ赤な嘘いつわりであることは、すでに事実が明快に証明している。すなわちギリシャとスペインの国債相場は暴落したが、同じ期間に、日本の国債相場は逆に急騰したのである。
(8)それは当然の結果で、ギリシャ、スペインの赤字国債を買っているのは外国資本であるが、日本の赤字国債の90%以上を買っているのは日本国民と日本の金融機関である。
(9)日本人が構築した1,400兆円という巨大な金融資産を有効に活用するために、国家が借り上げて財政投融資に振り向けることは、ケインズ以来の経済政策の王道である。
(10)まして民主党は「脱デフレを優先し、増税しない」という政策を党内で練り上げて選挙公約に掲げたのだから、小沢一郎の増税反対論が正しく、増税派に豹変した野田首相が間違っている。
(11)ところがマスコミは豹変した野田首相ではなく、正論を貫いた小沢一郎を批判するために、政策とは無縁の「壊し屋」というレッテルを持ち出した。私には「正義」と「正論」を捨てたマスコミが集団的ヒステリーを起こしたように見える。
(12)マスコミはなまじインテリ集団であるだけに、その集団ヒステリーは小学生の「いじめ」よりも悪質で、陰湿である。