2012/7/2

  2012年7月2日(月)

(一)チャンスはピンチ。ピンチはチャンス。

(1)先週末に、強気派にとって「ピンチがチャンスに逆転か」と思われるいくつかの兆候が現れた。
(2)第一に、ヨーロッパでギリシャ国債の売りたたきに成功した弱気筋が、余勢を駆って大国スペインの国債を売り込んでいたが、週末にはEUがスペインの民間銀行に直接資本注入することによって民間の不良債権と政府債務とを切り離すことに成功した。今週は一転して窮地に追い込まれた空売り筋がスペイン国債やギリシャ国債の買い戻しを迫られる可能性がある。
(3)第二に、日本の生損保、銀行、パナソニック等が株価下落による保有株の損失を回避するために20%に上る保有株式の売却を決断し、6月末に目標を達成したと胸を張っていた。しかし機関投資家の大規模な集中売りが終われば、売り圧力が解消して株価が反騰に転じる可能性がある。
(4)例えば昨年、オリンパスが不祥事件を起こしたときにも、筆頭株主の日本生命が持ち株を大量にたたき売ったが、そこで記録した安値500円が歴史的な底値となった。今回も機関投資家が断行した株式の大量売りが安値叩きとなって裏目に出る可能性がある。
(5)テレビに登場するエコノミストやコメンテーターの解説も弱気一色であった。ギリシャ国債やスペイン国債の暴落をNHKの女性アナウンサーが自信満々で解説する一方で、「EUの金融当局が反撃に成功する」という強気のコメントは滅多に見かけなかった。
(6)優等生はみな切磋琢磨してよく勉強するから、弱気のトレンドが続けば続くほど弱気論が多数意見を形成しやすい。しかし相場の大逆転は多数意見が極まったときに起こる。
(7)欧米では相場の「大天井」をバイイングクライマックス、「大底」をセリングクライマックスと呼ぶ。大天井では強気論者が、大底では弱気論者が、圧倒的な多数派を形成して人気の頂点を形成するからである。
(8)日本の機関投資家は一般に集団で資金を運用するから、上がれば強気、下がれば弱気に傾きやすい。これに対して一人の責任運用が主流の欧米ではしばしば個性豊かなファンドマネージャーが現れる。
(9)例えばかつて世界最大の「マゼランファンド」を運用していたピーター・リンチは倒産の噂に包まれていたクライスラーを自ら訪問、取材し、断固として「死ぬほど」大量に買い向かった。
(10)クライスラーは20倍に大暴騰してピーター・リンチは「ツエンティ−バーガー(20階建てのハンバーグ)」の尊称を奉られた。当時は2階建てのハンバーグが売り出さて人気を集めていたから、ピーター・リンチは「株価を20倍にした男」として羨望(せんぼう)と尊敬を集めたのである。

(二)オリンパスは2番底入れが鮮明。
オリンパス日足

(1)1週前にもオリンパスを取り上げたが、先週にはチャートの日足が一目均衡表を下から上に突き抜けた。
(2)その途端に株価は一気に、大きく上放れて、二番底入れを鮮明にした。
(3)先週はめずらしく、次項の通り一目均衡表の陽転が続出した。

(三)一目均衡表の陽転が続出。

(1)これまでにクラブ9で何度か取り上げた三井海洋開発と日本海洋掘削も急騰して一目均衡表が一気に陽転した。
(2)株価は東京大学が南鳥島沖でレアメタル200年分の埋蔵量を発見したという情報に反応したが、日本海では天然ガス換算で100年分に相当するメタンハイドレートも発見されており、日本がにわかに海洋資源大国に大変身する可能性が高まってきた。
(3)両社はブラジルを始め、世界各地で海底油田の開発を主導しており、海上のプラットフォーム建設から掘削までを一貫施工する技術で世界ダントツである。収益力も高い。
(4)レアメタルは泥中にあり、メタンハイドレートは海中で氷柱状に林立している、と報じられているから、両社の技術力をもってすれば採掘は比較的容易と思われる。今後の情報開示に注目したい。
(5)不動産、建設、金融等、これまで人気の圏外にあった業種でもチャート上の陽転銘柄が続出している。
(6)チャートを見る限り、7月相場は有望である。

(四)小沢一郎の増税反対論を支持する。

(1)民主党の政策論争で、大半のマスコミが野田総理の増税論を支持しているが、私は小沢一郎の増税反対論が正しいと思う。
(2)日本経済の最大にして緊急の課題は「デフレ経済からの脱却」である。デフレの克服なくして景気回復はなく、税収入の増加も期待できない。ましてデフレ下の増税は首つりの足を引っ張る愚策である。
(3)にもかかわらず、野田総理は財務官僚に洗脳されてマニフェストに記載されていない増税に走った。増税で自民党と合意したが、自民党の谷垣総裁は大蔵省OBで財務省の代弁者である。選挙に不利な増税を野田総理に押しつけた上で厚顔にも早期解散、総選挙を迫っている。好きなようにあしらわれている野田総理はあまりにも未熟である。
(4)日本は財政赤字大国であるが、赤字国債の90%は国内の資金で消化している。そもそもギリシャやスペインのように国家財政の赤字を海外からの借金で穴埋めしている国家と同列に論じることが間違いである。
(5)野田総理は増税の前に国民が蓄積した巨額の預貯金を活用してデフレ経済をインフレ経済に転換させる責任がある。
(6)マスコミが肝心の政策論を棚上げして、政治家小沢一郎を「壊し屋」とか「離縁状」とかによって批判するのは、筋違いの言いがかりである。
(7)日本が今必要としている政治家は「クリーンであるが無能」な政治家ではなく、「国家と国民を富ますことができる才能」を持った政治家である。