2012/6/25

  2012年6月25日(月)
  I。オリンパス。厚顔極まる現経営陣。
  II。日本ケミカルリサーチ。チャートに注目。

 I。オリンパス。厚顔極まる現経営陣。
(一)パナソニックが厚顔極まる提携条件を拒否。

(1)先週はパナソニックが提携交渉を打ち切り、今度はソニーが提携の主役に浮上した。
(2)医療機器部門を拡大したいソニーと、カメラ部門を黒字化したいオリンパスは製品面でも技術面でも補完関係にある。
(3)しかし22日付け朝日新聞はパナソニックが出資を断念したのは、オリンパスが「企業買収に発展するような追加出資を行わない」という条件をつけたからだと報じた。
(4)オリンパスの経営者は提携の前提として「500億円の持参金はもらうが経営権は渡さない」と、現在の経営者の身分保障を求めたのである。
(5)何という厚顔、何という不見識な要求だろう。これではオリンパスの再建に全力投入しようとしたパナソニックの意気込みが報われない。パナソニックが憤慨して席を蹴ったのは当然である。
(6)オリンパスが同じ条件を提示すれば、ソニーも提携交渉から降りるだろう。

(二)第三者割り当て増資の株価に注目。

(1)投資家の注目点は、第三者割り当て増資の株価である。
(2)チャートの週足を見ると、不祥事が発生する以前は2,500円が地相場であったが、不祥事発生を受けて400円に大暴落した後、現在は1,300円が平均株価である。
(3)増資金額は同じ500億円でも、株価は算定期間を過去3ヶ月にするか、6ヶ月か、1年かによって、大幅に変化し、その株価は現在の市場株価に影響する。
(4)投資家は当然「株価を高くして発行株式数を減らす」ことを期待する。発行株式数は将来にわたって株式の需給関係、1株当たりの財務指標、配当負担等に影響するからである。

(三)富士フイルムのTOBを期待。

(1)オリンパスの経営者に本気で再建を果たす気迫があれば、「500億円はほしいが経営権は渡さない」という甘ったれた発想を捨てて、公開市場の自由な競争によって最高の買収金額を提示した企業のTOBを受け入れるべきだろう。
(2)最大の資本を出資する企業に経営を委ねれば、必ず最短の時間で、最大の復活を果たし、最高の株価を実現するだろう。それが資本主義社会における資本の論理である。
(3)私はオリンパスの粉飾決算が表面化したとき、「クラブ9」で即座に富士フイルムが公開市場で買収に乗り出してほしいと述べた。富士フイルムの古森社長にも同文のメールを送った。
(4)富士フイルムは医療機器とカメラの両面でオリンパスの業態に近いが、何よりも日本の全上場企業の中で最も傑出した経営実績と2兆円に及ぶ巨大な利益剰余金を構築しており、富山化学やジャパンティッシュを買収した実績もある。
(5)唯一の懸念は業態が近すぎて買収が独禁法に抵触しないかという一点にある。
(6)米国の株式市場であればオリンパス問題はとっくにTOBによって決着がついていただろう。資本主義社会の常識に従えば、現経営陣はあくまでも暫定で、早期に新しい大株主に経営権を引き継ぐべきであった。
(7)そうすればウッドフォードごときに12億円を脅し取られる不祥事も起こらなかった。

 II。日本ケミカルリサーチ。チャートに注目。

(1)先週、私は日本ケミカルについて「小型株ながら、世界のバイオ技術の最先端を行く企業である」とコメントした。
(2)そのチャートが一目均衡表の雲を下から上に突き抜けた。変化の指標と見られるのでコメントと併せて注目されたい。