2012/5/28

  2012年5月28日(月)
  続・橋下維新は京阪神都を日本の首都にせよ。

 伊丹空港を廃港にすれば、不動産の高さ制限(200メートル)が消滅する。
 大阪圏の不動産相場が高騰し、インフレ効果で景気が劇的に好転する。
(一)伊丹空港は京阪神都の金の卵、打出の小槌となる。

(1)かねてから橋下維新が主張してきた通り、大阪空港と関西空港の統合案はほぼ固まった。しかし空港周辺の11市協が「伊丹廃港」の文言を削除し、空港存続に転じたから、大阪市と吹田市が11市協からの脱退を表明した。
(2)そもそも表題に掲げた通り、橋下維新が先ず京阪神3府県を統合して京阪神都を結成しておけば、3府県の利害や対立を未然に調整することができた。京阪神都の結成は現在も緊急の課題である。
(3)私は大阪府、大阪市、吹田市の伊丹廃港に大賛成である。しかし賛成の根拠は別にある。松井知事と橋下市長は大阪空港に潜んでいる巨大な宝の山にまだ気がついていない。
(4)11市協の市長も、伊丹空港の跡地が巨大な価値を創造する打ち出の小槌となることを知れば、廃港派の急先鋒となるだろう。
(5)政府は伊丹空港の維持と機能強化に傾いているが、空港跡地の再開発が関西経済発展の起爆剤となることを知れば、構想を一変させるだろう。
(6)以下に伊丹空港跡地311ヘクタールの巨大な潜在価値について、具体的に私見を述べたい。

(二)伊丹廃港で大阪圏の不動産は暴騰する。

(1)根拠は単純にして明快である。飛行場がなくなれば離着陸の安全のために周辺区域の建築物に課せられた「200メートルの高さ制限」が消滅する。
(2)高さ制限がなくなれば、伊丹空港の跡地311ヘクタールはもちろん、大阪市を始めとする周辺地域の不動産相場が急騰する。
(3)大阪空港は北側を箕面・六甲山系に囲まれているために、和歌山方面から帰着する飛行機は大阪市内上空を急降下して着陸しなくてはならない。
(4)その空港がなくなれば200メートル規制は要らなくなる。空港の地元3市を悩ませてきた騒音公害の補償問題も消滅する。
(5)兵庫県の井戸知事は伊丹空港存続論の先鋒であるが、伊丹廃港こそ赤字の神戸空港を活性化する好機となる。伊丹空港と神戸空港は高速道路で10〜20分の至近距離にあり、伊丹空港の機能をそっくり肩代わりすることができる。

(三)不動産相場の高騰を試算する。

(1)不動産業者に問い合わせたところ、例えば10階建て・高さ50メートルのビルを20階建て・高さ100メートルにすれば、容積率が2倍になり、ビルの価格は2倍になる。少なくとも相場は2倍を目指して高騰するという。
(2)先にJR大阪駅北側の梅田北ヤードを再開発したときにも、高さ制限のために新宿副都心のような高層化による有効活用ができない点が問題となった。
(3)御堂筋に面したビルは現在も一部の例外を除いて50メートルに規制されているが、それらの高さ制限も伊丹廃港と同時に撤廃するべきである。
(4)大阪市と周辺地域の不動産相場は高騰し、不動産相場の高騰を受けてビルやマンションの立て替え需要が盛り上がり、大阪圏の景気は超大型の資産効果で劇的に好転するだろう。
(5)田中角栄が日本列島を大改造して日本全域に高速道路と新幹線を張り巡らせたときにも全国の不動産相場が高騰し、その資産インフレ効果をバネにして日本経済は空前の高度成長時代に踏み出した。
(6)日本経済が景気低迷から脱出できない決定的な原因は長期にわたるデフレである。製品が値下がりするときに設備投資する企業はない。値上がりが必至だと思えば、国民は預貯金をはたいて不動産やモノに投資する。これが経済原則のイロハである。
(7)大阪で新規にそれほど大きなビル需要が生まれるかといえば、巨大な需要が待ち構えている。
(8)折しも、東大地震研の平田教授はマグニチュード7の東京直下型巨大地震が4年以内に発生する確率は50%以上と発表した。石原東京都知事自身が首都機能の一部移転を急げと主張している。首都機能の受け皿は大阪以外にない。
(9)首都機能の一部が大阪に移転し、つれて首都圏の人口3,100万人のうち5%が大阪に移住したとすれば150万人の住宅需要が発生する。それらは、大阪にとって対応不可能なほど巨大な不動産需要となる。

(四)霞ヶ関をそっくり伊丹空港跡地に収容する。

(1)伊丹空港の敷地面積は、311ヘクタール(311万平方キロメートル)で、兵庫県の伊丹市、大阪府の豊中市・池田市の3市にまたがっている。
(2)高さ制限を含む一切の規制から解放された311ヘクタールの巨大空間に、日本の建設業界の頭脳と先端技術を投入して首都機能を建設すれば、霞ヶ関の中央省庁、国会、そこで働く人々の居住区域など、首都が必要とする政府機能の中核と人口をそっくり収容する理想の新首都が出現する。
(3)不動産の高さ制限撤廃で、大阪市の不動産はもちろん、周辺11市の不動産相場が連鎖して高騰し、含み益も激増する。周辺11市の空港存続論者は巨大な経済効果を見て、沈黙するだろう。
(4)赤字財政に悩まされてきた大阪市、大阪府も、保有不動産が生み出す巨大な含み益によって累積赤字を一掃し、首都機能の肩代わりを自力で断行する資金源が確保できる。
(5)さらに大阪市が大阪湾の大規模な埋め立てによって公有地を創造すれば、3,100万人の東京圏人口の一部を受け入れることができる。橋下市長が持て余している咲き州庁舎(ワールド・トレード・センター)は当初の構想通り、京阪神都の都庁となりうる。市内のオフィスビルやマンションの高層化は職住接近の利便性を提供するだろう。

(五)「反対よりも提案」、「批判よりも実行」の橋下維新へ。

(1)橋下市長と松井知事は、高さ制限撤廃によって激増する不動産の評価益と再開発が生み出す経済効果を、内閣府の協力を得て、具体的な金額を算出してほしい。
(2)正確な数値の算出は内閣府にも困難と思うが、政府は5年以内に50%と予想されるマグニチュード7の東京直下型地震に備えて、東京圏と大阪圏についてはすでに被害と復興需要を試算していると思われる。
(3)もっとも大阪圏で200メートルの高さ制限がなくなった場合の波及効果は、政府も想定していないだろうが、私はきわめて重要なポイントだと思う。
(4)私の直感では、大阪圏で10兆円を大幅に超える不動産バブルが発生し、予期せざる好況に発展する可能性がある。大阪の好況は政府の財政投融資と同様に日本全体の経済活動を刺激するだろう。
(5)橋下維新が断固として伊丹空港の廃港と再開発に取り組めば、政権与党としての信頼と支持を広げるだろう。
(6)私は「反対よりも提案」、「批判よりも実行」を橋下維新に期待したい。