2012/5/21

  2012年5月21日(月)
 I。金融不安の連鎖に揺れる世界の株式市場。
 II。橋下維新は京阪神都を日本の首都とせよ。 

 I。金融不安の連鎖に揺れる世界の株式市場。

(1)東京市場は先週、連日にわたる厳しい急落に直面した。
(2)2008年のリーマンショックも厳しかったが、当時は問題の所在がはっきりしており、強気筋にとっては買いの好機となった。今回はギリシャ不安の連鎖がいつ終息するか、予想がつかない。
(3)財務省に洗脳された野田政権は増税論一辺倒である。優柔不断の日銀はデフレを阻止する気構えが見えない。先週、好決算銘柄が大きく売り込まれたのは政治不信の表れだろう。
(4)しかし急落の連鎖の課程で悪材料もまた折り込まれつつある。信用取引の取り組みは大幅に改善し、空売りが急増した。
(5)米バーナンキFRB議長は景気悪化の可能性が見えれば第3次金融緩和に踏み切る構えである。白川日銀総裁も何もしないわけにはいかない。多くのチャーチストが株価は下げすぎ、と述べている。
(6)ニューヨーク市場ではフェイスブックが9兆円の時価総額を創造した。指数連動型ファンドは必ずフェイスブックを組み入れるから、9兆円が次第に流動化してニューヨーク市場の需給関係を改善するだろう。
(7)選挙を控えたギリシャの世論は、ユーロ圏離脱が現実味を帯びるにつれて緊縮財政支持に傾き始めている。

 II。橋下維新は京阪神都を日本の首都とせよ。
(一)橋下維新は東京都の猪瀬副知事に学べ。

(1)原発の廃止はすべての日本人の願いであるが、即時廃止論者や再稼働絶対反対論者など過激な反対論者ほど自然エネルギーの開発を主張する傾向が強い。
(2)しかし脱原発先進国のドイツでも、自然エネルギー発電はようやく20%に達したに過ぎない。さらにCO2削減を政策目標に掲げる一方で石炭火力発電所の新設を認可するなど、現実重視の政策が基本である。
(3)3月にはドイツとアメリカで太陽光発電のトップ企業が倒産した。電力会社が太陽光発電の値上げ要求を拒否したからである。太陽光発電に限らず、自然エネルギーによる発電はいずれもコストが高い。現実には化石燃料、中でも天然ガスを用いた発電コストが断然安い。
(4)そんな時に東京都の猪瀬副知事は、東京都庁が使用する電力のすべてを東京ガスと共同開発した天然ガス発電で賄うと発表した。さらに東電の発電量の30%に相当する天然ガス発電設備を自力で建設すると発表した。
(5)猪瀬副知事は先に石原都知事が尖閣列島買収を表明した際にも、一部の都民から都の予算を使うなという批判を浴びると、即座にそれならば個人の寄付を募ると表明した。民間の寄付金はすでに7.6億円に達し、買収にめどをつけた。
(6)私は橋下維新の改革を支持しているが、改革を達成した後にどういう政治、どういう日本を構築するかという構想が見えない点が心配である。原発を廃止して太陽光発電に転換すれば、電力料金が高騰して日本の製造業は壊滅するだろう。
(7)反対・批判一辺倒の橋下維新に比べると,ドイツのメルケル首相や東京都の猪瀬副知事は、理想は理想として、現実を重視し、柔軟に対応している。
(8)橋下維新が政権を奪取すれば反対一辺倒のスタッフは役割を終えて失業する。その時反対のプロたちは橋下政権に敵対する反政府勢力になりかねない。
(9)橋下維新が真に国政奪取を目指すからには、東京都の猪瀬副知事のように国家と国民の利益を冷静に見極める才能が必要となる。

(二)橋下維新は京阪神を統合して日本の首都とせよ。

(1)昨年の東北大震災は首都圏全域に膨大な帰宅不能者を生み、高層ビルや高層住宅の住民を恐怖に陥れた。
(2)超高層ビルの東京都知事室で連日にわたる余震を体験した石原都知事は、始めて首都機能の分散を口にしたが、今年に入って東大地震研、京大地震研が相次いで首都圏の直下型大地震の発生が近いと発表した。
(3)すなわち東大の平田教授はマグニチュード7の超大型地震が首都圏直下で発生する確率は4年以内に70%と発表し、その後修正を加えたがそれでも確率は4年以内に50%としている。
(4)さらに京大の蒲田教授は「富士山は100%噴火する」とした上で、かつて首都移転に反対していた石原都知事が現在は大坂に首都機能を分散する構想に賛成していると述べている。
(5)世界の主要都市を都市圏として比較すれば、横浜を含む日本の首都圏の人口は3,100万人で世界1である。
(6)その東京圏で直下型地震が発生すれば帰宅困難者は650万人、路上にあふれた人たちが帰宅を急げば、消防車、救急車の行く手を阻む。千代田区のトイレ不足率は82%で4〜5時間待ちの行列ができる。
(7)墨田区、江東区、大田区などには狭い路地をはさんで木造住宅が密集しており、大火災を防ぐことは不可能と見られる
(8)しかし3,100万人の巨大人口を擁する首都機能の肩代わりは小手先では解決できない。橋下維新は大阪が首都機能の一部を分担するのではなく、大阪自身が日本の首都となるための構想を緊急に具体化する必要がある。

(三)京阪神の統合は歴史的必然である。

(1)大阪が日本の首都となるために、橋下維新は先ず京阪神3府県を統合して皇居と空港と港湾を擁する「京阪神都」を結成する必要がある。
(2)第一に、京都の人たちの間にはご高齢の今上天皇を京都御所にお迎えしたいという願望が潜在している。そのためには皇室典範を改正して今上天皇が譲位して上皇位にお就きになり、皇太子に譲位されることが自然の流れとなる。
(3)第二に、京都は1000年にわたって天皇を戴く日本の首都であり、大阪は天下の台所として経済的発展を遂げた。
(4)織田信長は天下を統一して上洛を果たすと、本願寺門徒を攻略して大阪を支配し、南蛮貿易と鉄砲生産の拠点である堺を直轄した。
(5)大阪の堺筋は、当時は大阪湾岸を経由して京都、大阪、堺を結ぶ首都圏の幹線道路であった。
(6)御堂筋は、現在は大阪市を南北に貫く幹線道路であるが、戦国時代にはまだ海の中であった。
(7)信長の後を継いだ豊臣秀吉は大阪城を築き、大阪城を拠点として日本の政治経済を支配した。
(8)第三に、明治維新後に神戸港は日本の主たる輸出商品であった生糸と樟脳の輸出基地となった。神戸では鈴木商店(現在の双日の前身)が日本最大の貿易商社に急成長し、大半の外国商人は神戸に居留していた。
(9)かくして京阪神は歴史的に日本の政治、経済、文化の中心であった。東京が日本の首都となったのはわずかに第2次世界対戦結後の67年間だけである。
(10)橋下維新には東京一極集中と直下型大地震のリスクを回避するミッション(使命)がある。
(11)そして京阪神都を実現し、日本の政治経済の中核とすることも橋下維新に課せられた歴史的ミッションだと私は思う。

 今朝、金環日食を見た。