2012/5/7

  2012年5月7日(月)
  超大型技術開発を発表したナノキャリア

ナノキャリア日足

(1)相場は調整期に入ったと考えざるをえない。しかし大型株に比べれば小型株、新興市場株には活力も人気もある。
(2)東証マザーズのナノキャリアはがん領域に特化したバイオベンチャーで、連休中もチャートが強い下値抵抗力を示した。
(3)業績面では先行投資のために営業赤字が続いているが、ホームページを見れば特許に関する情報開示が相次いでいる。
(4)中でも4月26日発表の「放出持続型ドセタキセルミセル製剤に関する物質特許が欧州にて特許査定を受けた」との発表が注目を集めた。推定される市場規模がきわめて大きいのに対してナノキャリアの年間売上高は3億円に過ぎないから、株価と業績に関するインパクトを推定することは不可能に近い。
(5)以下に開示された情報のみを要約しておきたい。
(6)ドセタキセルはフランスのサノフィアペンディス社がタキソテールという商品名で1994年から販売している超大型の抗がん剤で、広範囲のがんに使用され、世界で年間2,500億円の販売実績を持つ(2010年度)。
(7)しかし副作用が大きいという欠点がある。
(8)ドセタキセルミセル製剤は、「ミセル化ナノ粒子からドセタキセルを放出する速度を精密に調整する」画期的な技術を用いて、薬効を拡大する一方、悪心・嘔吐等の消化管毒性やむくみ等の副作用を大幅に抑制する効果が期待できる。
(9)ドセタキセルミセル製剤の特許技術が臨床テストで薬効を証明すれば、世界の製薬会社はナノキャリアの特許技術を導入して新たな市場の獲得に乗り出すだろう。
(10)今回の技術開発のインパクトは次のごとくだろう。第1に、既存の有力薬品が市場を大幅に拡大することができる。第2に、副作用を大幅に抑制することができる。第3に、臨床テスト期間を大幅に短縮することができる。
(11)ドセタキセルミセル製剤の市場規模と、今後予想される新薬の市場規模はナノキャリア自身の発表を待つほか無い。