2012/2/13

  2012年2月13日(月)
 I。アイフル。驚異の黒字大転換と大増益決算を発表。
 II。オリンパス。本日の決算発表に注目。仕手戦に影響大。
   オリンパス事件を見守ってきた私の感慨。
 III。新サイト・KYO-ONNA(5)。

 I。アイフル。驚異の黒字大転換と大増益決算を発表。

(1)アイフルは2月10日引け後に、黒字大転換と驚異的な大増益決算を発表した。株価の大幅な水準訂正は必至だろう。
(2)私は先週、アイフルは前期の1株当たり141円の赤字から60円以上の大幅黒字に大転換するだろうと予想したが、実際には第3四半期までの9ヶ月ですでに1株利益が70円に達していた。
(3)アイフル自身は通期の業績予想を出さなかったが、第3四半期の増益幅から推定して通期の1株利益は100円を突破するだろう。
(4)振り返れば昨年9月、私はクラブ9でプロミスを連続推奨していたが、突然親会社の三井住友銀行が買収を宣言した。
(5)その1年前には、サラ金トップの武富士が過払い金の返済請求に耐えきれずに倒産し、プロミス、アコム、アイフルのサラ金3社はあおりを受けて暴落した。しかしそれからわずか1年にして、三井住友銀行は傘下のプロミスの黒字大転換にめどをつけたからこそ、買収に踏み切ったに違いなかった。
(6)私は当然アコムとアイフルも最悪期を脱出したと直感した。特に株価が100円前後に低迷し、経営基盤が弱いと見られていたアイフルが復活すれば意外性があり、株価の変化率が高くなると思った。
(7)果たして2月1日には先ずアコムが第3四半期決算を発表し、通期の1株利益予想が前期の1,294円の大赤字から今期は274円の黒字予想に大転換した。
(8)私はアイフルの黒字大転換を確信し、6日付けで強力に推奨したところ、週末の決算発表で私の強気予想をもはるかに上回る大幅黒字を発表したのである。
(9)さて、通期の1株利益を100円と見れば株価倍増は当然と思うが、値上がり幅をいつどのように収穫するかは読者各位の腕の見せ所となる。

 II。オリンパス。本日の決算発表に注目。仕手戦に影響大。
   オリンパス事件を見守ってきた私の感慨。
オリンパス
(一)本日の決算発表に注目。仕手戦に影響大。

(A)株価大暴落の経過。
(1)オリンパスの株価は昨年10月、社長を解任されたウッドフォード氏が1,320億円に上る粉飾決算を隠蔽していたと暴露し、金融市場を揺るがす大事件に発展した。
(2)ウッドフォード氏の告発を最初に報道したのは米ニューヨークタイムズと英フィナンシャルタイムズであった。欧米を代表する超一流二紙は日本の上場企業全体に情報を隠蔽する体質があるのではないかという疑念を表明した。
(3)これをきっかけに、マスコミのオリンパス非難が沸騰し、日経が上場廃止説を報道するなど、虚説、風説を交えて嵐のような悪材料探しが吹き荒れた。
(4)その結果、オリンパス株は<チャート1>の通り、2,200〜2,500円の地相場から500円割れへ、一直線に大暴落した。
(5)極めつきは筆頭株主である日本生命の「大底たたき売り」であった。日本生命は日本最大の長期資金を扱う機関投資家である。私は誰よりも正確に実情を把握しうる立場にある日本生命の狼狽ぶりを、軽薄の極みと批判した。
(6)この時外資系機関投資家1社が日本生命売りに猛然と買い向かった。両社は共に持ち株が5%を超えていたから「5%ルール」に従って売買情報を即座に開示した。そのために私は両社の売買をリアルタイムで知り得たのである。
(7)私は終始一貫して「株価はオリンパスの実態価値をかけ離れて売られ過ぎている」と主張し、投資家に冷静な判断を促した。

(B)株価修復の経過。
(1)不祥事の発覚を受けてオリンパスは即座に第三者委員会を設立し、その調査内容を次々に公表した。
(2)第1に、オリンパスは野村證券に委託した資金運用で1,320億円に上る損失が発生したが、その後も野村證券の助言に従ってケイマン諸島のタックスヘイブンに架空の企業買収をでっち上げる等の決算操作を行い、赤字を隠蔽した。私は、オリンパスは野村證券を告訴し、賠償金を請求するべきだと主張した。
(3)第2に、第三者委員会が過年度の決算を全面的に修正した結果、オリンパスは1,000億円の自己資本を失ったが、赤字そのものは償却済みであり、現在の決算に後遺症は及ばないと報告した。
(4)第3に、オリンパスは粉飾決算を行ったが、その間に一度も債務超過に陥っていなかった点を考慮して、東証は上場廃止処分を見送った。
(5)上場廃止が見送られて、株価は1,200円台へV字型に回復した。

(C)底値圏で巨大な空売りが取り残された。
(1)<チャート2・三市場の取り組み>を参照されたい。
(2)決算粉飾が表面化した昨年10月には、1か月間に1,800万株に上る巨大な空売りを浴びて、株価は500円割れへ、大暴落した。
(3)しかし、上場廃止は見送りと決定した。
(4)高山社長は再三にわたり業績の落ち込みは軽微だと述べた。特に主力製品の内視鏡は世界中の病院や医師との信頼関係が厚いために、市場シェア70%は揺らいでいないないと述べた。
(5)その結果、株価は1,200円台に急反発し、1,000円割れを売り込んだ1,800万株のうち900万株が、現在も下値で取り残されている。
(6)一方、買残は株価上昇につれて利食いが進み、ピークの1,800万株から600万株へ縮小した。
(7)かくして現在も大幅な株不足が解消せず、逆日歩は昨年の10月25日から1日も欠かさずに継続している。

(D)悪材料が消滅し、好材料が続出した。
(1)第1に、東証が上場維持を正式に決定した。
(2)第2に、オリンパスは毀損(きそん)した自己資本1,000億円を補填するために、第3者割り当てによる優先株発行を決定した。
(3)内外の超一流企業が競って優先株の取得を表明した。日経は、オリンパスが優先株の割り当て先を富士フィルム、テルモ、ソニーの3社に絞り込んで各社の提案内容を審査中だと報じている。
(4)オリンパスは4月20日に臨時株主総会を開催し、取締役の全面的更迭と、優先株を取得する企業名を開示すると発表した。
(5)優先株を取得した企業が大株主として社長を送り込むという情報もある。

(E)需給関係から、3月には売り方窮地へ。
(1)建て玉の過半を占める日証金の決済期日は3月に到来する。
(2)1,000円〜500円に集中した空売りが1,300円前後で6ヶ月期日を迎えれば、売り方は追い証の差し入れが困難となり、買い戻さざるを得なくなる。
(3)買い戻しが集中すれば株価は急騰し、売り方の足元を見た買い方が追撃買いを入れるから、株価は下げ課程で空けた窓埋め(チャートの赤○)を目指して真空地帯を駆け上がり、2,000円台を回復する可能性がある。

(F)本日の決算発表に注目。
(1)2月13日(月曜日)に、オリンパスは第3四半期の決算を発表する。株価に対する影響は大きいだろう。
(2)このところ電機、自動車の大手がそろって巨額の赤字決算を発表したが、株価はみな急反発した。オリンパスの決算発表で減益幅が小幅に止まれば、株価は2,000円大台を奪還する可能性が高い。
(3)オリンパスは4月20日に臨時株主総会で新経営陣と、優先株の割当先を発表する。優先株を取得した企業は経営権を取得すると報じられているから、水面下で優先株の争奪戦が演じられているだろう。争奪戦が激化すればするほど転換株価が高くなる。
(4)転換価格が高値で決まれば株価は転換価格にさや寄せするだろう。

(二)オリンパス事件を見守ってきた私の感慨。

(1)株式市場ではオリンパスの株価をめぐって強弱観が鋭く対立し、激しい仕手戦を展開した。株価は2,500円と500円の間を乱高下したが、大事件の発生から5ヶ月を経過して、新しい経営体制が固まり、仕手相場に決着がつくときが来た。
(2)一方でオリンパスの買収問題が浮上し、優先株の取得争いが激化している。
(3)オリンパスが粉飾決算で世論の批判を浴びている間に、日本経済を代表する家電、自動車の巨大企業が軒並みに惨憺たる大赤字を計上したが、株価はみな反騰に転じ、経営者は赤字転落の責任を免れている。
(4)これに対してオリンパスは高い収益力を維持しているにもかかわらず、粉飾とは関係がない技術、営業担当の取締役までが解任されたばかりか、賠償責任を負わされている。不公平というほかない。
(5)しかしオリンパスが経営陣を更迭すれば不祥事は過去の事件となり、暴落した株価は修復されるだろう。
(6)不正を暴露したウッドフォード元社長は臨時株主総会の開催を求めて大株主に支援を要請したが、メーンバンクを始め大株主がそろって拒否した。当初は英雄となった前社長の反乱は今では無益なスタンドプレーとみなされている。オリンパス事件はすでに風化し始めているのである。
(7)さて、私自信は終始一貫、マスコミと投資家の過熱した多数意見を批判した。最終的な事件と株価の着地点を誰よりもクールに見通すことができたと思う。

 III。新サイト・KYO-ONNA (5)。
 今週の京女

 「恋の媚薬」(5月・三年坂にて)、「6月になったら」(6月・祇園さんにて)、「宵山」(7月・鉾町にて)、「室町の晩」(8月・室町通にて)、の試聴版をアップしました。
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