2011/10/11

  2011年10月11日(火)
  株式相場底入れの兆候が急浮上。

(一)弱気論一色のマスコミ報道。

(1)ギリシャ発の金融市場破たん説が、米国、日本に波及し、マスコミ報道は弱気一色となった。しかし私はマスコミとエコノミストが弱気一色に傾いたゆえに、相場の転機が近いと感じる。
(2)株式市場には経験則に基づいた多くの格言がある。
(3)例えば、「弱気論者が理路整然と弱気論を主張するようになれば、相場は弱気論を折り込んでしまっている」という格言がある。
(4)例えば、「どんな好材料、悪材料でも周知の事実となれば相場は折り込み済み」という格言もある。シンプルに「知ったらしまい」という格言もある。
(5)今では、私は日経やテレビを占拠した評論家がどんなに弱気論を競い合っても、論旨に新鮮さや意外性や驚きを感じなくなっている。
(6)クラブ9はコラムの冒頭に投資原則2箇条を掲げている。その2箇条を私は20年前に野村證券のY氏に教わり、私の相場観の基本とした。

(二)重要な変化の兆候が点灯。

(1)過去3週間に、商品、為替市場で重要な変化が突発した。
(2)第1に、新興国の株価と為替が暴騰から暴落に転じた。
(3)第2に、石油相場が大天井を形成した。
(4)第3に、金、銀、プラチナの貴金属相場が暴騰から暴落に転じた。
(5)第4に、銅、ニッケル、アルミ等の非鉄相場が急落した。
(6)第5に、穀物相場が急落した。
(7)私はこれらの一連の変化はヘッジファンドを初めとする投機筋の思惑が外れた結果だと推定している。
(8)商品相場や為替相場はレバレッジ(テコ)を利かせたきわめて投機的な市場である。投機筋は資金量の何倍もの相場を仕掛けるから、成功すれば巨大な利益を得るが、失敗すれば破たんの危機に瀕する。
(9)例えばヘッジファンドはこれまでに「株式売り・金買い」のヘッジを組んで成功していたが、連戦連勝で建て玉が急膨張しているから、裏目が出ると金を売り、株式を買い戻さなくてはならなくなる。商品相場や為替相場の大波乱は投機筋が反対売買に転じたことを示している。
(10)この様な大波乱は相場の天井圏や底値圏で発生しやすい。

(三)米国の金融政策大転換が近い。

(1)商品相場の連鎖的暴落は米国、欧州、日本の金融政策を「インフレ対策からデフレ対策」へ大転換させるだろう。
(2)米国のバーナンキFRB議長は先月、インフレ進行を懸念してQE3(第三次金融緩和)を見送ったから、株価が急落した。
(3)しかしその後に、商品相場が全面的に暴落し、インフレ懸念がデフレ懸念に一変し、バーナンキ議長はQE3をためらう理由がなくなった。
(4)バーナンキが動けば、景気と金融をてこ入れしたい欧州が追随するだろう。
(5)中でも「デフレからの脱却」を最大の政策課題とする日銀は、ここで超低金利政策と同時に円を大増発すれば、デフレ阻止と円安を同時に追求することが出来る。
(6)低金利と量的緩和で主要国の足並みがそろえば、インフレ期待が盛り上がり、株価は反騰に転じるだろう。

(四)「買い手がいない」という日経説に疑問。

(1)日経は生損保や銀行は株式を持てば持つほど評価損が増えて自己資本が目減りするから、今後も保有株を売り続けるだろうと述べる。
(2)「売り手ばかりで買い手がいない」という日経の論理は「株価が限りなく下げ続ける」という弱気論を前提としているが、「株価の反騰が近い」という強気論を前提とすれば、論旨が全く逆になる。
(3)日本企業の株価は國際競争力から見ても、純資産倍率、配当利回り等の財務指標から見ても、世界で最も割安である。
(4)私は需給関係の逆転が近いと思っており、日本の機関投資家が株式を売り続ける可能性も低いと思う。
(5)次項で最も私の印象に残っている需給関係の大逆転を検証したい。

(五)「ユダヤ資本の手先」となった竹中大臣。

(1)小泉内閣で金融担当大臣に大抜擢された竹中平蔵氏は、バブルで大膨張した過剰流動性を一掃するために、借金の大きな企業を過剰債務、融資の大きな銀行を過剰融資と断定して、ダイエーや三和銀行等の大企業を倒産へ追い込んだ。
(2)金融庁の厳しい行政指導を受けてすべての銀行が一斉に融資を絞り込んだから、糧道を断たれた企業は問答無用で株式や不動産をたたき売った。
(3)この時、大暴落した株式と不動産を海外のユダヤ資本が一手に買い向かった。
(4)当時私は、毎週のように「竹中平蔵はユダヤ資本の手先か」という見出しで金融行政を批判した。
(5)果たして、ダイエーや三和銀行が倒産した翌年には株価と地価が大反騰に転じ、底値を買ったユダヤ資本は年率40%の暴利をむさぼった。儲けすぎた利益をタックスヘイブンに送金して摘発されたユダヤ資本もあった。
(6)この時、竹中氏の手足となって大企業30社を名指しでつぶせと糾弾した木村剛が論功行賞として日本振興銀行の設立を認可された。しかし日本振興銀行は乱脈経営と内部紛争であっという間に崩壊した。
(7)竹中大臣が強大な権力と利権を与えた木村剛はこの程度の浅薄な人物であったのに対して、木村剛に倒産させられた企業は即座にみな復活した。
(8)市場の論理を無視した竹中大臣の金融政策は狂気に満ちていたが、現在の日経やエコノミストもまた弱気論を大合唱し、ユダヤ資本の手先を演じているように見える。

(六)ユダヤ資本に学べ。

(1)いま米国各地で「職よこせ」のデモが発生している。背景にはアメリカの富を独占した金持ちに対する反感がある。
(2)彼らが想定している金持ちは、欧米の銀行、証券、保険を独占しているユダヤ資本とユダヤ人だろう。この点を見落とすと、拡大膨張するデモの本質が見えない。
(3)私たちは竹中時代に大暴落した株式、不動産を一手に買い向かい、直後の急騰で巨利を得たユダヤ資本の実力を知っているが、欧米社会に潜在する宗教上の対立と反感については殆ど知らない。
(4)ユダヤ教徒であるユダヤ人は古代ユダヤ王国滅亡以来3000年の永きにわたって流浪の民となり、金貸しで生計を支えてきた。ユダヤ教徒はキリスト教徒とイスラム教徒が戒律によって禁止された金貸しを専業としたのである。
(5)銀行が巨大化し、近代化した現在も、欧米のキリスト教徒には高利貸しに対する抜きがたい反感と差別が潜在している。
(6)日本では土着の神道と外来宗教が平和裏に共存しており、宗教上の対立や差別が存在しない。
(7)それゆえ私たちは今、暴落の度に大もうけするユダヤ資本のノウハウを冷静かつ客観的に学ぶ好機を迎えている。