2011/9/26

  2011年9月26日(月)
 相場観。
 いま何が起こってもおかしくない。
 大波乱が続出した世界の金融市場。

NY金
NY石油
(一)金、石油,ガソリン、新興国通貨が暴落。

(1)先週、世界の金融市場で劇的な大波乱が続出した。
(2)第1に、株式の値下がりをヘッジするために買われていた金が急落した。金と共に銀、プラチナを含む貴金属が一斉に下放れた。
(3)第2に、新興国の台頭で需給が逼迫すると見られていた石油も下放れた。
(4)第3に、米国のガソリン相場は6週連続で値下がりしている。
(5)為替市場では、暴騰していた新興国の通貨が暴落した。売り介入で自国通貨の値下がりを競っていた新興国が、一転して買い支えを競っている。

(二)バーナンキ議長の金融政策とNYダウ。

(1)米バーナンキFRB議長は先週、インフレ進行を懸念してQE3(第三次金融緩和)の実施を見送り、次善の策として、長期国債を買って長期金利を引き下げた。QE3の見送りに失望して、NYダウが暴落した。
(2)しかしその直後に金、プラチナ、銀、石油が急落し、インフレ懸念どころか、デフレ懸念を示す指標が続出した。
(3)貴金属と石油の下落が鮮明となれば、バーナンキ議長がQE3をためらう理由はなくなる。
(4)一方、米国人は自家用車のガソリンを1ヶ月に3度満タンにするから、ガソリンが大幅に値下がりすれば家計が楽になり、消費が増える。
(5)また、ここへ来て住宅市場の底入れを示す指標が相次いでおり、長期金利の引き下げは住宅市場をさらにてこ入れする要因となる。
(6)ガソリンの値下がりと住宅市場の底入れは米国の景気好転を示す指標である。
(7)デフレ進行と景気好転に対応してバーナンキ議長がQE3を断行すれば、NYダウは反騰に転じる可能性が高い。

(三)欧州は債務危機克服へ、安定資金を強化。

(1)欧州では先週、G20の財務省、中央銀行の支援を受けて、「EUは協調して力強い国際的対応を取る」と確約。金融システムと市場安定に向けて「必要なすべての行動を取る」と表明した。
(2)政策の方向は鮮明となった。関係各国はもはや決断を先送りできないだろう。
(3)ギリシャが財政再建で、ドイツがギリシャ支援で、議会と国民の説得に成功すれば、ユーロ圏は破たんを回避し、通貨と国債と株価が反騰に転じるだろう。

(四)一波は万波を呼ぶ。

(1)世界の株式市場を弱気論がおおい尽くしている。日経は依然として弱気論を主導しているが、世界の株価は暴落課程でありとあらゆる弱気論を折り込んでいる。
(2)そんな状況下で金、石油、新興国通貨が暴落するという予想外の変化が突発した。米欧日の政府に大きな政策対応の余地が生まれた。
(3)投機筋は金融市場の急変に対応して待ったなしで対応を迫られている。
(4)特にヘッジファンドは、資金量の何倍ものレバレッジ(テコ)を利かせて株式相場を売り崩して来たから、反対売買に走れば相場の逆転を加速する。為替市場では個人投資家でさえ担保力の30倍の相場を張っている。
(5)例えば、「株式売り、金・石油買い」のヘッジを組んでいたヘッジファンドは、「株式買い、金・石油売り」の反対売買を迫られる。
(6)例えば、新興国の為替を集中買いしていたファンドは、踏み上げを迫られている。
(7)例えば、円買いに群がっていた投機筋は、円売りに転じる可能性がある。
(8)例えば、世界中の政府が公然と為替市場に介入しているときに、日本政府だけが急騰する円相場に介入しなければ、国民と産業界の怒りを買うだろう。
(9)一波は万波を呼ぶ。常識を覆す大逆転、大波乱が頻発し始めた金融市場では何が起こってもおかしくない、と私は思う。