2011/9/20

  2011年9月20日(月)
 日本ケミカルは買いの好機。
 株価は下落したが、大材料の表面化が近い。

(一)安値圏に下落した株価。

JCR

(1)チャートの通り日本ケミカル(以下JCR)の株価は最安値圏に下落した。一昨年の高値1,590円からは3分の1近い急落である。しかし2月に100万株に達していた信用残は半分以下に縮小し、大きな売り圧力は一巡したと思われる。
(2)一方、大型の人気材料が表面化するタイミングが近づいている。
(3)第1に、JCRは一昨年6月に大型新薬・腎性貧血治療薬エポエチンアルファの製造販売の認可を取得した。後発薬ながら日本初の完全なバイオ技術を用いた開発で、世界でも2例目となる先端技術の成果であった。牛の胎児の血漿などを使わない完全なバイオ医薬品だから品質が安定し、コストが安い。厚労省は新薬に準じる薬価を付与した。
(4)腎性貧血治療薬市場は国内1,300億円、海外1兆4,000億円の巨大市場で、これまで2社が寡占していた市場に日本ケミカルが参入した。
(5)国内はキッセイ薬品が販売し、2010年6月発売以来現在まで、売上高は順調に拡大し、今年の4〜6月期には5.8億円となっている。
(6)しかし製薬業界で世界第2位、年間売上高3.4兆円のグラクソ・スミス・クライン(以下GSK)がエポエチンアルファの海外販売権を取得するに及んで、JCRの評価が一変した。

(二)グラクソ・スミス・クラインが筆頭株主に。

(1)GSKは昨年1月にエポエチンアルファの海外販売権を取得した。即座に世界各国で販売認可を申請しており、すでに1年8ヶ月を経過したから、認可の時期は確実に近づいている。
(2)GSKは製薬業界世界第2位、年商3.4兆円の超巨大企業である。腎性貧血治療薬の海外市場規模は1.4兆円だから、GSKがシェア1%を取得したとしても年商145億円のJCRの売上高は一挙に倍増する。
(3)数年後には売上高の過半が海外市場となり、JCRは多国籍企業に飛躍する可能性が高い。
(4)エポエチンアルファの販売権取得に賭けたGSKの意気込みは大きい。
(5)第1に、JCR株式の株式を3度にわたって取得し、25%を保有する筆頭株主となった。3度目の取得株価は1,300円台であった。将来はさらに33%程度へ買い増しする合意がある。
(6)第2に、GSKはJCRの最先端のバイオ技術に注目し、包括的提携契約を締結した。

(三)メディパルと新薬開発で提携。

(1)JCRは先週、武田薬品系で日本最大の医薬品卸のメディパルと3品目のバイオ新薬開発で提携した。
(2)メディパルはJCRに契約金3億円と研究開発費の一定割合を支払う。
(3)メディパルの急接近はJCRのバイオ技術の水準の高さを証明している。

(四)JCRは買いの好機。

(1)利益と売上高が短期間に数倍に大化けする可能性を持った企業はざらには現れない。
(2)GSKが海外市場で販売を開始したときにJCRが受領するパテント料はきわめて大きい。
(3)第1に、GSKが世界各国で販売認可を取得する度に頭金として特許料を受領する。第2に、売上高の一定比率を特許料として受領する。
(4)それゆえJCRの利益はGSKの販売開始と同時に急増し、増益効果は増収効果を大幅に上回る。
(5)かくしてJCRは大材料が表面化する時期が直実に近づきつつあるにもかかわらず株価が大幅に下落したから、投資効率が急上昇している。
(6)私は、半年〜1年の射程で見れば、全上場銘柄中、屈指の投資効率を期待できると思う。

(五)JCRの日経紙全面広告。

(1)JCRは6月30日付日経に全面広告を掲載し、バイオ技術と今後の業績に強い自信を表明した。広告コピーは次の通りである。