2011/8/22

  2011年8月22日(月)
 I。 株式の安定化進んだモルフォ。
 II。保ち合いを上離れた福田組と京阪神不動産。

 I。 株式の安定化進んだモルフォ。
(一)モルフォのチャートと需給関係。

モルフォ日足

(1)チャートの出来高に注目されたい。
(2)7月21日の上場直後に50万株を超えていた出来高は日を追って急減し、先週の後半には5万株以下に激減した。
(3)出来高の急減は安定株主が浮動株を吸い上げた結果だと見れば、需給関係の逆転による株価の底値形成が次第に鮮明となるだろう。
(4)私は既存の株主は10月18日のロックアップまで売れないと理解していたが、実際には上場時点でロックアップは解消しており、売りたい株主は上場直後にほぼ売り切ったと思われる。出来高が上場直後に激増し、その後は一方的に激減した経過がこれを証明している。
(5)モルフォの社長は「株主には配当よりも株価で報いたい」と述べており、設備投資優先、成長力優先の経営方針が鮮明である。
(6)私は大株主名簿を詳細にチェックしたが、大半はモルフォの成長力を熟知した安定株主で、モルフォ自身も大きな売り玉は出ないと見ている。

(二)海外でライセンス供与が本格化。

(1)8月4日にモルフォは韓国サムスン電子とライセンス供与契約を結んだ。
(2)国内では大半のスマートフォンがモルフォのライセンスを搭載しており、今や写真撮影ではカメラよりも人気が高い。
(3)しかし海外では、サムスンがようやく2社目で、事実上、サムスンが世界的大手の初参入となる。
(4)これを契機として海外でもモルフォのソフトを導入するスマートフォンが増えると思われる。中でも世界最大手のアップルがiPhoneやiPadにモルフォのソフトを搭載すると発表したときにはストップ高を演じる可能性が高い。

(三)ソフトウェアがハードウェアを支配する時代。

(1)モルフォの社長は「ソフトウェアだけで株式を上場した日本初の企業である」と胸を張っている。事実、モルフォが開発するソフトは今や即座に世界のスタンダードとなる。
(2)モルフォは、これまでも毎年2〜3件のソフトを開発してきたが、「株式上場で自己資本を調達したから開発スピードを速める責任がある」と語っている。
(3)先週にはグーグルがモトローラのケータイ端末部門を史上最高の1兆円で買収するというビッグニュースが飛び出した。グーグルはモトローラがこれまでに蓄積した膨大な特許権を取得する必要があったという。
(4)アップルはiPadとiPhoneで情報端機器末市場を席捲したが、ハードウェアの生産は台湾メーカーに委託している。
(5)20日にはパソコン世界最大手のヒューレットパッカードが本業のパソコン部門を分離し、売却するという驚くべき情報が流れた。
(6)iPhoneやiPadの台頭でIT業界の勢力図が激変し、超大型M&Aによる業界の再編成が急速に進行し始めた。
(7)モルフォの社長が「ソフトウェアのみで上場した」ことを誇りとしている背景にはソフトがハードを支配する時代を予見した経営者の自信がうかがえる。

 II。保ち合いを上離れた福田組と京阪神不動産。

福田組
京阪神不動産

(1)チャートの通り、両銘柄は同時に相似形を描いて保ち合いを上放れた。世界的な株価大暴落に逆行して浮上した点は軽視できない。
(2)福田組は、小沢一郎の復権という政治的背景を折り込み始めたと思われる。土木建設株復活の指標株として予想外の展開が期待できる。
(3)21日付日経は1面トップで、大災害に備えて「政府機能を西日本で補完」「代替オフィスを設置」「データセンターも整備」と報じている。
(4)京阪神不動産は三井住友銀行傘下で、主力はデータセンタービルである。今期の予想PER8倍を東京の不動産大手3社の21倍に比べると割安が歴然としている。