2011/6/27

  2011年6月27日(月)
 好材料相次ぐ日阪製作所。

(一)チャートから。

日阪製作所日足

※註1 一目均衡表の雲を下から上へ、一気に、大幅に突き抜けた。滅多に見かけないほど強い指標である。
※註2 クラブ9では異例の3週連続で注目株にあげたが、株価も連騰したからもう十分と思っていた。しかし想定外の好材料が次々に表面化したので、今週も業績と材料を追跡しておきたい。

(二)日阪製作所の業績。

(1)日阪製作所は6月20日、遊休地となっていた淀川工場を売却し、今24年3月期に16億円を特別利益に計上すると発表した。
(2)今期予想利益10億円、1株利益31円は、それぞれ2.6倍の26億円、80円へ、大幅に増額修正されるだろう。
(3)また野村證券は6月20日付調査レポートで、目標株価1,300円を維持し、Buyを継続した。
(4)同レポートでは今期の受注高を34%増、250億円と予想している。東日本大震災後に発生した工場や発電所向け復旧需要と、海外向け石油化学、LNG(液化天然ガス)プラント向け案件の需要増を見込んでいる。
(5)さらに福島原発事故の影響でエネルギー政策の見直しが起こり、中期的にLNG関連の需要が増大すると予想している。
(6)日経平均はここ数年間、常に純資産倍率1倍を底値にして反発している。今回も純資産倍率が1倍に近づくと外国人買いが急増し、上昇局面に転じた。
(7)日阪製作所の株価は1,300円まで上昇してようやく上場会社平均の1倍に追いつく。現在の株価はまだ割安の修正課程にある。
(8)日阪は7月末発表の4〜6月決算で、本業の通期業績についても大幅に増額修正する可能性が高い。

(三)プレート式熱交換器を用いた海洋温度差発電。

(1)トラブル続きの福島原発で、上原春男氏が日阪製作所の熱交換器を用いて設計した循環注水冷却装置のみは、いきなり想定を超えた威力を発揮した。
(2)時代は脱原発、自然エネルギーの開発へ大きく舵を切ったが、プレート式熱交換器は新たな出番を迎えている。
(3)第1に、上原春男氏は日阪製作所の熱交換器を用いて海洋温度差発電に再挑戦すると表明した。すでに佐賀大学が伊万里市にパイロットプラントを作り、本格的な研究を進めている。
(4)6月26日付日経ヴェリタスで、榊原英資青山学院大教授が「海洋温度差発電は国家的事業として取り組む必要が出てきた」と語っている。

(四)地熱発電と海洋温度差発電は同じ循環注水システム。

(1)次世代発電では地熱発電を最有力とする見方が多いが、以下の条件を見れば、質量共に地熱発電の優位が歴然としている
(2)第1に、日本は地震大国だから、地熱資源はインドネシア、アメリカに次いで世界第3位の保有国である。
(3)第2に、太陽光発電、風力発電に比べて、地熱発電は24時間操業が可能である。
(4)第3に、日本の地熱資源の80%は国立公園内にあり、環境省が認可すれば地代がいらない。
(5)第4に、環境省は企業の参入を促すために、国立公園での開発基準を明確化する準備を進めている。すなわち、1. 国立公園の外部から斜めにパイプを入れる。2. 地盤沈下を起こさない地点を環境省が選定する。3. 地下水系や、植物の生態系に変化を及ぼさない地点を環境省が選定する。
(6)上原氏春男氏がこれまでに推進してきた福島原発の「循環注水方式」や「海洋温度差発電等のシステムは、環境省が設定する地熱発電の開発条件にそのまま対応できる。
(7)海洋温度差発電は、表層の暖かい海水でアンモニアガスを沸騰させてボイラーを回し、深海の海水を汲み上げてアンモニアガスを液化する循環注水システムである。地熱発電もまた2本のパイプ(いくらでも延長できる)を国立公園の外部から熱源の岩盤に打ち込んで、うち1本で蒸気や温泉を汲み出してタービンを回し、もう1本で冷却水を岩盤に戻す循環注水システムである。  
(8)海洋温度差発電に比べて地熱発電は2本のパイプの温度差が格段に大きいから、エネルギー効率が飛躍的に高まる。上原氏は日阪製作所のチタン製プレート式熱交換器を用いてシンプルで、効率が高い地熱発電システムを、早期に開発するだろう。