2011/5/30

  2011年5月30日(月)
 日阪製作所が福島原発に熱交換器を納入。
 福島原発にプレート式熱交換器を納入。
 バックアップ用熱交換器も大量受注へ。
 立花隆氏が地熱発電の有望性を主張。

(一)福島原発2号機に熱交換器を納入。

(1)5月18日付日経電子版によれば、東電は福島原発2号機に5月末から外付けの新たな冷却装置を使う計画を発表した。「日阪製作所の最新鋭の熱交換器を中心に空研工業や荏原冷熱システムの空冷式冷却塔を組み合わせたシステムで、5月31日に稼働する予定」と報じている。
(2)福島原発は海水を原子炉に注入して冷却していたが、汚染した排水を海に捨てることができない。そのため東電は冷却に用いた排水をプールに蓄えていたがこれも満杯になったので、汚染を除去して原子炉に再注入する「循環注入冷却」方式を採用した。
(3)しかし原子炉に注入した冷却水は高温となり、70度を超えると水蒸気が発生して爆発する恐れがある。そこで東電は原子炉の外側に日阪のプレート式熱交換を設置し、排水を40度以下に冷却して再注入する方式を採用した。

(二)国内市場を独占する日阪のプレート式熱交換器。

(1)熱交換器にはプレート式、チューブ式、空冷式の3方式があるが、200度以下で大量の排水を冷却するにはプレート式熱交換器の変換効率が断然高い。
(2)日阪のプレート式熱交換器は競争力が強く、国内市場をほぼ独占している。海外ではアルファ・ラバル(スウェーデン)、GEA(独)、APV(英)3社と競合しているが、今後も技術力の高い日阪が受注するだろう。
(3)福島原発はすでにメルトダウンしている。外付けの熱交換器は半永久的な補強と、更新需要を必要とするだろう。
(4)東電は2号機に続いて1、3、4号機にも外付けの熱交換器を設置する。日阪がこれまでに納入した熱交換器は20台である。

(三)バックアップ用熱交換器の受注も。

(1)日本の原発は導入以来40年を経過し、現在は54基のうち29基が定期点検で操業を停止している。
(2)原子炉には必ず冷却装置があり、定期点検時に老朽化した熱交換器を更新するが、福島原発が想定外の大事故を起こしたために、停止中の原発29基を抱える自治体は再稼働に際して新たにバックアップ用の「免震構造を備えた冷却装置」を増設することを要求している。
(3)先週のG8サミットで、原発は最高水準の安全性を促進することで合意し、特に地震国に厳格な安全基準の設定を要求した。電力各社は地元自治体の要求を受け入れざるを得ないだろう。
(4)日阪製作所のプレート式熱交換器は振動に弱いチューブ式に比べて振動を吸収する「免震」機能があり、29基の受注を独占する可能性が高い。
(5)増設予定の熱交換器は1基3億円で、受注すれば年商200億円の日阪にとっては大きな増収要因となる。

(四)立花隆氏が地熱発電の有望性を主張。

(1)5月24日付日経電子版によれば、「経産省はエネルギー政策賢人会議」を開き、立花隆氏が「日本の地熱発電の潜在能力は世界屈指だ」と指摘、地熱発電の将来性を訴えた、と報じている。
(2)地熱発電の本格的建設が始まれば、日阪のプレート式熱交換器に新たな需要が期待できる。

日阪製作所