2011/5/23

  2011年5月23日(月)
 4兆円をドブに捨てる菅内閣。

(一)ばらまき政策の致命的な欠陥。

(1)4兆円の復興予算が国会で承認された。しかし、期待していた復興特需がまるで見えない。4兆円は一体どこに行ったのだろう。
(2)マスコミは農家の農業補償、漁師の漁業補償の要求ばかりを報じている。
(3)菅内閣は復興予算4兆円の使い方を根本的に間違っている。政府が被災者に今すぐ提供するべきは補償ではない。働く意欲と能力があるすべての人が給料をもらって復興事業に参加し、1日も早く自力で生活を再建することが重要である。
(4)政府は、農家や畜産農家に対して汚染された土地の表土を入れ替えて農地を改良するために必要な資材と資金を提供し、農業と畜産の復興を支援する責任がある。
(5)政府は、漁師やワカメやカキの養殖業者に対して港湾整備に必要な資金と資材を提供し、漁業と水産物の栽培を支援する責任がある。
(6)失った資産を補償するのは当然であるが、補償のみを優先して肝心の農業、漁業を再建する施策を講じなければ、被災者は被災生活から脱出できない。
(7)地元住民が必要としているのは補償ではなく、自力で日常生活を再建するために必要な資金と給料である。

(二)乗数効果を知らない民主党の財政政策。

(1)通産省は「4兆円の復興予算」を何にどう使えば日本の景気が最も効率よく回復するかを、産業連関表によって試算することができる。その倍率が「乗数効果」である。
(2)土木事業の乗数効果が高いことは過去の実績によって証明されているが、今回のような大災害では住民参加の土木事業がきわめて有効である。
(3)東北地方の土木工事に投入された資金は、1. 建設機械やダンプカー等の機械の購入、2. 鉄やセメントや木材等の建設資材の購入、3. 人件費、等に支払われる。4. 機械や資材の売上高が増えた企業は、5. 設備を拡充し、6. 雇用を増やす。それらの企業が新たに7. 雇用した人たちは、8. 家や自動車やテレビや衣料品や食料品を買う。9. それらの業界は売上高を増やし、10.新たに雇用を増やす。
(4)かくして政府が東北の災害復旧に投資した資金は、1. 日本の産業界を駆け巡り、2. 日本の景気を刺激し、3. 税収入が増える。4. 政府は投資した財政資金を増加した税収入で回収することができる。
(5)民主党政権が14兆円の財政資金を後ろ向きの補償ではなく、産業界に活力を与える土木建設事業と雇用に集中投資すれば、将来増税しなくても、増加する税収入によって14兆円の相当部分を回収することができるのである。

(三)国民が見放した菅政権。

(1)菅内閣は政権奪取に成功するや、人気取りのために子供手当を持ち出し、東北大災害では補償を優先して支給しようとしているが、国民はばらまき政策をはっきりと批判している。
(2)その証拠に、菅政権はすべての選挙で連戦連敗し、菅内閣の支持率は急落一途をたどっている。
(3)事ここに至れば、国会は1日も早く菅内閣を打倒し、新政権を樹立する責任がある。
(4)新政権は第一次4兆円、第二次10兆円と予想される災害復旧予算を、常数効果が最大となる政策に集中投入し、14兆円を元手にして、新たに40兆円、60兆円の需要を創出しなくてはならない。

(四)自民党主導の挙国一致内閣。

(1)現在民主党の主流派を形成している左翼活動出身者は財政政策のイロハを知らないことが明らかとなった。
(2)枝野官房長官は東電に対する銀行の債権放棄を要求した。もし政府が民間の金融システムに介入すれば、世界中の投資家は一斉に資金を引き揚げるだろう。
(3)菅政権を打倒して成立する新内閣は自民党が主導する挙国一致内閣でなくてはならない。
(4)衆議院の過半数を制する民主党を排除するわけにはいかないが、幸いにも民主党内で小沢一郎を支持する反主流派は自民党を割って出た自民党の元主流派で、政策通が少なくない。
(5)私は、新内閣が小沢一郎をどのポストで処遇し、どう活用するかが、未曾有の国難を克服するための鍵になると思う。

(五)小沢一郎の実力と功罪と決意。

(1)小沢一郎は日本の高度成長時代を主導した田中角栄の下で政策を学んだ。
(2)田中角栄は新幹線や高速道路網の建設を中核とする日本列島の大改造を推進し、日本を世界第2位の経済大国に成長させた戦後政治最大の功労者である。
(3)小沢一郎は田中角栄と同様に海部内閣、羽田内閣、細川内閣のキングメーカーとなり、政界で大きな勢力を蓄えた。
(4)小沢一郎は田中角栄と同様に蓄財のために国民の強い批判を浴びた。
(5)しかし現在は平時ではない。国政は危機に瀕している。
(6)14兆円を超える巨額の財政投融資にたじろがず、資金を縦横に駆使して大震災の復興を推進するためには、人並み外れた判断力と決断力が必要である。小沢一郎には余人をもって代え難い才能がある。
(7)新内閣が復興庁長官に小沢一郎を担当大臣に起用すれば全国の土木建設業者が奮起し、産業界は他のいかなる人物よりも大きな期待を寄せるだろう。
(8)小沢一郎はもはや蓄財に執着して晩節を汚す年齢ではない。30億円を投げ出し、政治生命をかけて日本の災害復旧に取り組む決意を示せば、国民は小沢一郎を許容し、支持するだろう。