2011/4/25

  2011年4月25日(月)
  I  石原都知事、「証券市場を大阪へ」。
  II 連休明けに、日経平均上放れを期待。

 I  石原都知事、「証券市場を大阪へ」。
(一)広がる首都機能分散論。

(1)東京都の石原知事が「東京直下型地震の確率が高くなった。証券市場など一部の首都機能を大阪に移せ」と述べた(4月23日産経)。
(2)昨年まで「東京一極集中のどこが悪いか」と主張していた石原都知事も、壮大な都庁舎で連日の余震に揺さぶられているうちに、年来の主張を修正せざるを得なくなったのではないか。
(3)首都圏の高層ビル、高層マンションの住民は都知事と同じ状況に直面している。リスク管理に責任を持つ経営者は本部機構の分散や移転の決断を迫られている。
(4)前回に私は、住友銀行、三和銀行、野村證券、大和証券、伊藤忠、丸紅、日商等の巨大企業が本社を大阪から東京に移転したのは第2次世界大戦の戦後で、霞ヶ関が戦時中に手に入れた物資とマネーの統制権を手放さなかったことが原因であったと述べた。
(5)しかし戦後65年を経過した現在では物資とマネーは市場にあふれ、首都圏の人口とビルと交通網の過密は限界に達した。霞ヶ関の統制機能は不必要となったばかりか、肥大化した官庁組織そのものが民間の活力を阻害している。
(6)首都機能の分散は霞ヶ関が分散すれば即座に進行する。例えば今もし財務省、金融庁を大阪に移せば、証券市場ばかりか金融市場全体が大阪に移転するだろう。
(7)恐れ多いが、天皇は皇太子に譲位して京都御所にお移りになり、皇室の機能を東西に分けるべきではないかという意見もある。
(8)国会と政治の中枢を名古屋に移せという意見もある。

(二)関西財界の声。

(1)4月22日付産経は関西財界人の意見を次のように報じている。
(2)サントリー佐治社長、「首都で何かあったときに臨時政府を立ち上げる体制を」。
(3)関西広域機構秋山会長、「震災は国のあり方を見直せという警告だ」。
(4)堀場製作所堀場社長、「文部科学省など、文化的な行政機能は京都に」。
(5)関西の市民はこれらの意見を「当然」と思っているだろう。

(三)不動産株の評価分かれる。

(1)4月22日付で、SMBC日興は三井不動産、三菱地所、住友不動産のレーティングを「強気」で開始した。中期的な市況の回復を前提としている。
(2)同日に、JPモルガンは東京建物を格下げした。震災の影響で売買が停滞し、需要が減少すると予想している。
(3)私は西高東低の現実を指摘している。
(4)次のチャートは不動産市場の行方を先見しているように見える。

<大手不動産6社の週足>
大手不動産6社の週足

 II 連休明けに、日経平均上放れを期待。
(一)高値更新のNYダウと低迷する日経平均。

(1)ニューヨークダウを筆頭に世界の株価が上放れた。業績回復がメーンテーマとなっているから、本格相場に発展する可能性が高い。
(2)日本の株価は異常事態に直面して低迷を抜け出せていないが、反騰の条件は成熟している。
(3)第1に、連休明けに4兆円の第1次災害復旧予算が成立し、関連業界の受注動向が具体化する。
(4)第2に、為替市場では「元」を筆頭にアジア通貨が高騰しており、日本の輸出産業の追い風となる。
(5)第3に、大震災の直撃を受けて日本の部品生産が大きな打撃を受けたが、同時に日本のパーツ業界の技術水準の高さ、競争力の強さも証明された。日本の市場シェアは簡単には浸食されない。
(6)第4に、日本では電機部品の生産は関西、自動車部品の生産は中部に集中しており、東北地方のバックアップ体制が進行している。
(7)第5に、夏場の電力供給にめどがついた。
(8)第6に、弱気が多く、空売りが高水準である。地震や津波は依然として大きなリスク要因となっている。

(二)大幅黒字で大変身した川重。

(1)川重は大幅増益を好機として、赤字部門であった排気量650cc以下の2輪車生産をタイに移管し、明石工場の設備99億円を償却した。
(2)前期決算で258億円の大幅黒字に転換したが、償却がなければさらに99億円を上乗せできた。
(3)しかし日経が予想利益を30億円「下方修正」という小見出しで報じたことが誤解を与えたせいか、好決算を受けて株価が下落した。
(4)東南アジアでは2輪車を持たない若者には嫁の来手がないといわれるほど、2輪車はあこがれの人気商品である。構造改革を断行した川重の2輪車部門は安定した高収益部門に変わるだろう。
(5)川重の実力を示す営業損益は、前の期の13億円の赤字から426億円の大幅な黒字に転換している。大変身した川重に注目したい。