2011/4/4

  2011年4月4日(月)
  I  クラブ9から電力会社へ提言。
  II さあ、復興へ、建設へ。

 I  クラブ9から電力会社へ提言。
 東北3県に民間の善意を集めて風力発電のネットワークを構築しよう。

(1)第1に、日本の電力会社は協力して東北3県の被災地に風力発電会社を設立する。
(2)第2に、風力発電会社の当初資本金には内外から寄せられた義援金をあてる。
(3)義援金を拠出した世界中の善意を風力発電会社の設立と発展に投入すれば、義援金が活用された姿を末永く見届けることができる。
(4)第3に、風力発電会社は民間の企業や個人から新たな「寄付金」を募る。政府は寄付金を非課税扱いとする。風力発電会社は寄付金を資本金に組み入れる。
(5)第4に、風力発電会社は企業や個人から「投資資金」を募る。風力発電会社は地域ごとの電力会社を経由して投資家の投資金額に見合う電力料金の90%を無料で供給する。
(6)投資額の10%はクリーンエネルギービジネスへの寄付金となり、90%は電力料金の前払いとなる。
(7)第5に、風力発電会社は東北3県で使用困難となった土地を買収し、風力発電のタワーを次々に建設する。
(8)かくして風力発電会社は義援金、寄付金、投資資金を結集して東北3県に風力発電タワーを林立させる。被災地に林立するタワーは日本のクリーンエネルギービジネスのシンボルとなる。
(9)政府と電力会社は風力発電会社の育成を国民参加の運動に発展させることによって、官民一体の復興事業のシンボルとする。
(10)第6に、風力発電会社が買収した用地は牧畜や農業に安価で解放する。
(11)第7に、風力発電会社はそれらの風景を新しい観光資源として開発する。
(12)私は風力発電が効率的な発電だとは思わない。しかし被災地に林立するタワーは日本国民の復興にかける意志と願望を象徴する風景となり、東北3県が遭遇した史上空前の悲劇的風景を未来志向に富んだ明るい風景に変えると思う。

 II さあ、復興へ、建設へ。
(一)被災地の住民を即座に雇用し、生活再建の道を開け。

(1)東北関東大震災から3週間が経過した。
(2)放射能被害の拡大を防ぐことは不可欠の課題であるが、だからといって被害者をいつまでも遠隔地の施設に囲い込んでおくのは愚策である。
(3)政府は1日も早く復興公社を設立し、担当大臣を決定して、被災地の働ける人たち全員を男女、年齢を問わず復興、建設関連事業で雇用し、家庭と家族の生活を自力で再建するための道を開くことが急務である。
(4)マスコミの後ろ向きの批判、解説は聞き飽きた。現在は誰に全権を与えて復興建設事業を指揮させるべきかを論じるときである。
(5)復興担当大臣の人選こそ復興事業の成否を決定する最重要課題である。菅政権の政治的利害や密室人事を許してはいけない。

(二)今こそ投資の好機。

(1)放射能汚染の拡大を短期間に解決することは難しいだろう。
(2)しかし、政府と電力会社は内外の政府、学者、技術者の支援を得て被害の拡大防止に全力を投入しており、汚染が際限なく拡大することはないだろう。
(3)大災害が発生してからすでに3週間が経った。
(4)投資家としては株価のさらなる暴落を懸念するよりも、震災地の復興、建設を見越して最も有望な投資銘柄を模索、選別する時だろう。

(三)復興庁の枠組みと担当大臣の人選。

(1)今回の大災害によって失われた資産は20兆円と推定されるから、復興、建設のための資金もまた20兆円を必要とするだろう。
(2)20兆円の建設財源は国債発行によってまかなうことができる。
(3)しかし巨額の国民の税金を投入するからには、関東、東北の広域経済圏の復興を日本経済の発展にどう貢献させるかという構想が不可欠の条件となる。
(4)さらに投入した20兆円を100兆円〜120兆円に増幅させるための乗数効果(経済的波及効果)をあらかじめ予測し、日本全体の雇用、生産、消費を最大限に活性化する政策を立案しなくてはならない。乗数効果が大きければ大きいほど20兆円を将来の税収入によって回収する時期が早くなる。
(5)このような構想を具体化するための情報は、地元の信用金庫、信用組合、農業協同組合、漁業協同組合等が把握しているから、これらの組織と人材を有機的に活用する必要がある。
(6)すべての必要条件を充足するために復興担当大臣は政府、官僚、財界に太いパイプを持つと同時に地元の情報、人材を知り尽くした地元出身者を選出することが条件となる。

(四)小沢一郎以外に適材なし。

(1)3月29日付け日経、産経が、「小沢一郎が大震災発生後初めて岩手県入りし、知事と対談した」という小さな記事を掲載すると、株式市場がぱっと明るくなり、寄りつきから中小型建設株や復興関連銘柄に買い注文が集まった。証券関連のサイトには小沢一郎待望論が次々に投稿された。
(2)菅首相が記者会見する度に国民の間で失望と批判が広がるのに比べれば、小沢一郎に対する期待と人気は圧倒的に高い。
(3)小沢一郎は昨年来30億円の蓄財を批判されているが、現在は平時ではない。史上最大の国難に直面した非常事態の下では、クリーンさを標榜し、他を批判する才能は百害あって一利もない。
(4)災害復興担当大臣は20兆円の巨費を縦横に駆使して100兆円以上の乗数効果をもたらし、将来の税収入増加によって20兆円を回収するための構想力と能力が求められる。
(5)理想的な人物として田中角栄というモデルがある。前回でも述べたが、田中角栄は大蔵大臣時代の昭和40年に証券不況に遭遇し、宇佐見日銀総裁を叱咤して証券会社を救済し、同時に官民で共同証券、保有組合を設立して株式を買い向かい、解散時には巨額の利益を計上した。
(6)総理大臣に就任すると、田中角栄は官僚(後に総理大臣になった宇野宗佑)が提案した日本列島改造論を採用し、即座に日本全国に新幹線網と高速道路網を構築する壮大な構想の実現に着手した。
(7)その結果、日本経済は高度成長の最盛期を築き、日本列島は均衡ある発展を遂げることができた。今回の大災害でも、縦横に張り巡らされた高速道路網がなければ災害復旧は、はるかに困難を極めているだろう。
(8)小沢一郎は、田中角栄がその才能を見出し、幹事長に大抜擢して英才教育を施した唯一の人物である。両者は個人的な蓄財によって国民の批判を浴びたが、政治的実力は傑出している。小沢一郎は田中角栄直伝のキングメーカーとなり、細川、羽田、鳩山、菅内閣を実現した。
(9)小沢一郎は今、菅首相に敵視されて謹慎を強いられているが、淡々として地方の組織固めに腐心している。常時地方を尋ね、地方の声を聞くことによって全国の土木建設業者を基盤に小沢人脈が形成されている。
(10)私は、日本の未曾有の国難を克服しうる人物は小沢一郎をおいてないと思う。

(五)銘柄と注目点。

(1)阪神大震災では、喪失した資産10兆円に対して3年間の復興資金も10兆円超であった。
(2)今回の東北関東大震災で喪失した資産は20兆円と推定されるから、今後3年間に投入される復興資金も20兆円の巨額に達するだろう。
(3)すでに不動テトラ、若築、五洋、日特建、福田組等の浚渫、護岸、土木関連の小型株が一段上げを演じた。現在は調整局面であるが、押し目を買って二段上げに備えるときだろう。
(4)積水樹脂、積水化学、太平洋セメント、ショーボンド、大建工業、タツタ電線等の建設資材関連株もピンづいている。
(5)ただし大型株よりも小型株の方が業績の変化率が高く、投資効率も高いだろう。
(6)日経平均は外国人の先物主導で難解だから、日経平均との連動性が高い大型株は敬遠したい。
(7)しかし輸出関連株の評価は一変する可能性が高い。円が急落する一方、新興国の通貨が一斉に急騰している。昨年の通貨戦争の総裏目が出ており、日本の輸出企業の競争力が急回復するだろう。
(8)村田を輸出関連銘柄の指標株にあげておきたい。國際競争力が圧倒的に強い上に大震災でハイテク機器向けパーツの需給関係が逼迫している。村田は工場が京都周辺に集中しており、増額修正期待の最右翼だろう。