2011/3/22

  2011年3月22日(火)
  I 株式買い、商品売りへ。
 II 大変身する日本ケミカル。

  I 株式買い、商品売りへ。

(1)今週以降に予想される金融市場の環境変化は次の通りだろう。
(2)第1に、ジャブジャブの需給関係は変わらない。特に日銀は20兆円を超える過剰流動性を投入した。
(3)世界の株式市場にとって最大のリスクはリビア問題と日本の放射能汚染問題であったが、双方とも解消へのメドが立ってきた。
(4)特に、日本経済は地震と津波で空前の被害を受けたが、今週以降には空前の復興需要が具体化する。日本経済にとって最も欠落していた内需が一挙に噴出する。経済的波及効果は過去のいかなる財政投融資をもはるかに上回る。
(5)チャートの通り、穀物を筆頭に大半の商品相場が大天井を形成した可能性がある。
(6)金融市場では商品売り、株式買いの流れが表面化するだろう。日本経済にとっては双方とも強い追い風となる。

石油
穀物 綿花
貴金属 非鉄

 II 大変身する日本ケミカル。
(一)大型新薬開発、東証上場、売買単位変更、一部市場昇格。

(1)日本ケミカル(以下JCR)は3月18日に東証2部市場に上場した。表示は東西市場とも「JCR」に変わった。
(2)4月1日には売買単位が1,000株から100株に変わる。
(3)売買単位が100株単位に変われば株主数が増加するから、東西一部市場昇格も近いだろう。
(4)3月10日付で、いちよし経済研究所からJCRの銘柄研究速報が出た。人気アナリスト山崎清一氏の精緻な分析のうち、結論部分を次項で紹介しておきたい。

(二)いちよし経済研究所山崎清一氏レポートから。

(1)JCRの新薬EPO〈エポエチンアルファ〉が日本のバイオシミラー(後続バイオ医薬品)第1号として厚生省の認可を受けた。大型新薬EPOが中期的利益成長を牽引する。
(2)製薬世界第2位のグラクソ・スミスクライン(以下GSK)がEPOの海外販売権を取得すると同時に、JCRと全面的な提携関係を締結した。この提携によってJCRは世界第一級の技術力を証明し、同時に海外展開の足がかりを得た。
(3)日本初のバイオ医薬品EPO(エポエチンアルファ)の開発、グラクソ・スミスクライン(GSK)との全面的提携、EPOの海外販売権をGSKに供与、等を評価して格付けを最高位のAとした。
(4)目標株価は新たな成長力を評価して、1,400円とした。

(三)クラブ9のコメント。

(1)JCRが参入する腎性貧血治療薬の市場は国内1,000億円、欧、米それぞれ5,000億円のほか、新たに中国が5,000億円市場に急成長すると見込まれる超巨大市場である。
(2)透析患者の90%が腎性貧血治療薬を必要とし、市場規模は年率10%規模で拡大している。
(3)その巨大市場を現在までは内外ともそれぞれ2社が独占していたが、EPOの開発に成功したJCRが第三の製薬会社として新規に参入した。国内では昨年7月にキッセイ薬品が参入し、海外ではGSKが間もなく販売を開始する。
(4)EPOは牛の血清を使用しないバイオ医薬品で、安全性が高くコストが安い。厚労省はJCRの技術力を評価して高い薬価を付与した。
(5)第2工場が昨年末に稼働し、予想される大口需要への供給体制を万全とした。
(6)年間売上高3.7兆円(2010年度284億ポンド)、製薬世界第2位のGSKが今年、海外1兆円市場でEPOの販売を開始する。GSKは昨年JCRの筆頭大株主となり、デュノワイエ会長を含む2名の取締役を派遣し、研究、開発でも全面的な提携関係を結んだ。
(7)JCRの意気込みの大きさを見れば、年間売上高145億円のJCRの業績は革命的に変化することが予想できる。
(8)JCRの芦田会長は6月の株主総会でGSKによるEPOの具体的な販売計画を開示する予定である。
(9)今年、大変身が期待される銘柄として、JCRをあえて暴落後の注目銘柄第1号に上げた。

JCR