2011/2/21

  2011年2月21日(月)
 リーマンショックを克服したNYダウ。
 日本の政治と経済と株価は日増しに好転している。
 タツタ電線のスマートフォン部品が好調。

(一)リーマンショックを克服したNYダウ。

(1)2008年2月。リーマン・ブラザーズの倒産で先進国の株価が大暴落し、景気と業績が悪化して失業者があふれ出た。米国の1銀行に過ぎないリーマン・ブラザーズの破綻は、世界経済を恐慌前夜の恐怖に陥れた。
(2)2010年7月。ヨーロッパでギリシャの財政危機が表面化したときにも、欧州経済に巨大な衝撃を与えた。ギリシャ政府が財政再建のために増税と公務員の首切りを発表するとアテネで暴動が起こり、世界のテレビがその映像を流すと、リアルタイムでニューヨークダウが急落し、ユーロとポンドが暴落し、財政不安がアイルランドに飛び火し、スペインの国債相場が暴落した。
(3)今年の2月。スマートフォンやパソコンの情報が独裁国家で革命の連鎖を引き起こした。チュニジアで突発した反政府デモが政権を倒すと、即座にエジプトに飛び火してモバラク政権が崩壊した。反政府デモはイラン、バーレーン、リビアを巻き込み、次は中国か、という噂がネット市場をかけ巡っている。
(4)しかし革命の嵐が中近東諸国を駆け巡り、テレビが終日デモと暴動の進行状況をリアルタイムで放映しているにもかかわらず、米国のダウ平均株価は連日のように戻り高値を更新し、リーマンショック後の高値に迫った。ナスダック指数に至っては8年ぶりの高値に面合わせしている。
(5)クールに世界の株式市場を一望すれば、独裁国家の連鎖的倒壊の影響はリーマン・ブラザーズ1行の倒産よりも軽微であったばかりか、日米欧の株価を大幅に押し上げたのである。

(二)日本の政治と経済と株価は日ましに好転している。

(1)日本では、管政権の崩壊が目前である。鳩山政権に続いて管政権が崩壊必至となり、国家予算が成立するめどさえ立たない。自民党政権の末期にも内閣が次々に崩壊し、日本では超短命内閣が当たり前になった。
(2)しかしマスコミがいくら政権の崩壊、政党間の政策の対立、与党内の派閥抗争をあおり立てても、大半の国民は「またか」とばかり無関心である。
(3)これに対して中国では、政府がグーグルを追放して国家が情報を管理し、強大な警察組織を張り巡らしてノーベル平和賞を受賞した劉氏とその人脈を拘束している。
(4)このような国家権力の大差こそ、民主政治と独裁政治の決定的な相違点である。いまもし中国の政権が崩壊すれば、共産党一党独裁の鉄の統制が破綻し、13億人の人口を擁する多民族国家の広大な国土の至る所で対立抗争が噴出するだろう。韓国でも大統領が替わる度に前大統領が汚職の疑惑で訴追されている。
(5)これに対して日本の政治は混迷をきわめているが、だからといって政権が崩壊しても、企業の経済活動や国民の日常生活に変化や不自由が生じるわけではない。日本の政治・経済は脆弱に見えるが、先進国で唯一リーマンショックを殆ど無傷で乗り越えた。情報革命による政治的混乱も「高見の見物」である。
(6)さて、日本の株式相場について私は、1. 円高から円安へ、2. 業績の大幅増額修正、3. M&Aの活発化、を上げて強気論を主張してきた。果たして外国人買いが週を追って拡大し、株価上昇の主役に浮上した。エコノミストとマスコミの自虐的弱気論に洗脳されていた国内の投資家が重い腰を上げるのはこれからだろう。
(7)企業業績は第3四半期で急拡大したが、3月本決算では円安の追い風を受けてさらに大幅に拡大するだろう。日本の景気と業績と株価は今から本格的な強気局面に入ると私は思う。

(三)タツタ電線のスマートフォン向け部品が好調。

(1)チャート・タツタ電線の日足。

タツタ電線

(2)2月3日に業績の増額修正を発表して以来、タツタ電線株はチャートの通り上昇一途をたどっている。
(3)1株あたり利益予想6円から見れば買い余地は乏しいが、実質無借金、1株あたり純資産404円の財務内容から見た理論株価はなお割安である。特に新製品の有望性を株価が折り込んだとは言えない。
(4)当社が開発したノイズ防止装置は急増する中国、韓国向けスマートフォンの需要をほぼ独占し、フル操業が続いている。
(5)ノイズ防止装置の今期売上高は100億円超を見込んでいるが、旺盛な需要に対処して新工場を建設しており、来期の生産量は50%増を見込んでいる。
(6)一方、本業の電線は主原料である銅相場の高騰を受けて赤字操業に陥っており、業界を挙げて値上げに取り組んでいる。
(7)同社はノイズ防止装置の利益率を開示していないが、今3月期の決算内容が具体化すれば、電線部門の赤字額とノイズ防止装置の黒字額が明らかとなる。
(8)1. スマートフォン市場がどこまで拡大するか、2. 当社のノイズ防止装置が今後も競争力を維持できるか、3. 電線部門の収益力が回復するか、に注目したい。