2011/2/14

  2011年2月14日(月)
  I 急騰前夜の日本株。
   キーワードは「円安」と「M&A」。

  II プロミス大仕手戦の行方。決着は3〜4月か。

 I 急騰前夜の日本株。
   キーワードは「円安」と「M&A」。
(一)輸出関連が人気の主流へ。指標は村田、任天堂。

(1)1月31日付クラブ9で、私は円安の進行とM&A時代の到来で日本株が急騰する環境が成熟していると指摘したが、先週には予測が現実となった。
(2)第1に、私は円が独歩高から独歩安に大逆転すると指摘したが、先週末にドル円相場は83円台半ばに急落した。
(3)米国は口先介入によって一時はドル安誘導に成功したが、景気が底入れすると金利が上昇し、ドル相場を押し上げた。ドル円相場は今年90円台をめざすだろう。
(4)第2に、アジア通貨はドルに先立って1月に対円で上昇に転じていた。
(5)アジア諸国は昨年、中国、韓国を筆頭に国家が一斉に為替市場に介入し、通貨安に誘導した。その結果大量の外貨が流入し、インフレが進行した。インフレを阻止するために金利を上げると高金利をめざしてさらに外貨が流入し、インフレを増幅するから、通貨の反動高を容認せざるを得なくなっている。
(6)円が独歩高から独歩安に大逆転したのだから、今週は日本の株式市場で輸出関連の値がさ株が人気の主流に躍り出るだろう。値がさ株が上がれば日経平均株価も上放れる。
(7)村田、任天堂の指標性に注目したい。

(二)本格的なM&Aの時代が来た。

(1)日本の企業は昨年200兆円の現金を蓄積し、純資産倍率1倍を超える超割安株が続出した。
(2)米国の経営者であれば、この様な場合には第1に、自社株買い、増配によって株価を上げる。第2に、ライバル企業を買収し、或いは新規分野への進出をめざして有望企業を買収する。何もしなければ、自らが蓄積した現金を担保に敵対的買収を仕掛けられるからである。
(3)しかし先週、日本でも新日鉄と住金が合併を表明し、ダイワボウが傘下のOM製作所にTOBをかける、アート引越センターの経営者が自社株を買収して上場を廃止するなど、相次いでM&Aが飛び出した。
(4)日本の経営者にM&Aを促す株式市場の変化も鮮明となった。
(5)第1に、日本の3大銀行と生損保が過去3年間に保ち合い関係にあった企業の株式を大量に売却した。
(6)第2に、代わって海外の投信が大株主に登場した。海外の投信には中国政府の資金と見られるファンドもある。これらの資本はいつでも買収資金に転嫁し、或いは買収による値上がり益を追求する。
(7)第3に、世界的な大ジャブジャブ金融時代を迎えて、欧米の投資銀行がM&Aに資金と人材を集中している。
(8)第4に、海外で巨大企業の合併買収が進行した。日本でもやらなければやられる時代が来たのである。
(9)投資家はM&A関連株の予測に成功すれば大もうけできる環境を迎えた。M&Aを仲介斡旋するビジネスも大きな利益を生むから、3大銀行、野村證券、大和証券、GCA等にも注目が怠れない。

 II プロミス大仕手戦の行方。決着は3〜4月か。

(1)2月8日付け日経は、サラ金3社が今3月決算で計上する利息返還訴訟関連の赤字が2,000億円に達すると報じた。昨年9月の武富士破綻以降、利息返還訴訟が急増しており、引当金の積み増しを迫られるからである。
(2)しかし弱気筋が期待した悪材料も翌9日のアイフルの決算発表で吹っ飛んでしまった。生き残ったサラ金3社で最も弱体とみられていたアイフルは、前期の赤字2,838億円から今期は96億円の黒字に大転換した。前期に引当金を積み過ぎていた反動である。アイフルはストップ高を演じた。
(3)つれてプロミスも値上がりした。プロミスは1月28日発表の第3四半期決算で、営業費用323億円等を含む引当金を十二分に積んだ上で、前期に続いて今期も104億円の黒字を計上していた。
(4)日経の推定通りサラ金3社が今3月期に2,000億円の赤字を計上するとしても、すでに相当額の引当金を積んでおり、3月期末に予想外の赤字が噴出する可能性は乏しくなった。
(5)残された最大の問題点は4月以降の来期に持ち越す利息返還請求金額に絞られてきた。現時点における判断材料を整理しておきたい。
(6)第1に、昨年の9月に倒産した武富士は2月末に過払い利息の請求申請を打ち切り、最終損益を確定する。第2に、武富士の訴訟を扱っている弁護士はみなアコム、プロミス、アイフルについても同時に申請するように助言しており、3社の返還請求金額もまた3月末には大勢が判明する。第3に、4月以降に持ち越される利息返還請求は、件数、金額とも急減するという見方が多い。
(7)アナリストの見解には微妙な変化が現れた。弱気筆頭のメリルリンチは380円の売り目標を据え置いたが、一方でアップサイドリスク(株価がこのまま上放れる可能性)を指摘した。敗戦処理に備えたとも見える。
(8)ガップリ四つの取り組みは変わらない。1,200万株を超える空売りを残したまま逆日歩が継続している。
(9)これらの背景を勘案すれば、利息返還申請の最終的金額とその時期にめどがつく3〜4月に大仕手戦の決着がつくのではないか。