2011/1/11

  2011年1月11日(火)
 新春いきなり株高・円安。
 強弱感が対立したプロミス。

(一)東京市場の弱気論を粉砕した過剰流動性。

(1)昨年はエコノミストが日本のマスコミを占拠して、景気と為替と株式について異常で、奇怪で、被虐的な弱気論を大合唱していた。
(2)新年にいきなり弱気論を粉砕したのは、米FRBによる50兆円と日銀による5兆円の過剰流動性供給である。日米の中央銀行が空前のスケールでマネーをばらまいたのだから「不景気の株高」が出現するのは当然である。株高は設備投資を促し、景気を刺激し、雇用を増やすだろう。弱気論を大合唱していたエコノミストは経済学のお手本通りの株高をどのように説明するのだろう。
(3)過剰流動性相場は昨秋ニューヨーク市場で始まり、年が変わると東京市場に飛び火した。
(4)そうなると世界で独歩安を演じていた日本株の割安は鮮明となる。外国人の買い戻しと新規買いを集めて急騰した。
(5)弱気論に洗脳された国内の機関投資家は買うべき株を買っていない。個人投資家も空売りが多い。出遅れた投資家の買い出動で東京市場は需給関係が逆転し、予想外の高騰を演じるだろう。

(二)円高論を粉砕した米国の景気と金利。

(1)昨年はエコノミストがマスコミを占拠して、円ドル為替についても異常で、奇怪で、被虐的な円高論を大合唱していた。
(2)いつも相場の天底を見間違う榊原教授の1ドル50円説を、懲りずに持ち上げたマスコミの罪は深い。円高論を粉砕したのは、経済学の教科書通り、史上最大の過剰流動性がもたらした米国の景気好転と金利上昇である。
(3)バーナンキFRB議長の大胆な金融政策を効果なしと冷笑していた米国のエコノミストもまた、今では一転して金融緩和を早期に打ち止めしないとインフレになると論じている。
(4)昨年10月、日本の輸出企業は一斉に下期の予想為替レートを80円に切り上げて通期の業績予想を大幅に下方修正した。
(5)しかし直後の11月に円は84円台に急落したから、輸出企業は即座に下期の為替を84円で予約したと見て、私は下半期の業績を大幅に上方修正するだろうと述べた。
(6)製造業が生産コストを1%下げるのは至難であるが、4円の円安は5%の増益をもたらす。輸出企業の経営者が好機を逃さず為替予約を断行したと推定するのはビジネスの常識だろう。

(三)輸出関連株が人気を主導か。

(1)私の予想が間違いでなければ、1月下旬に始まる第3四半期の決算発表で輸出関連企業は軒並みに通期予想を上方修正するだろう。
(2)さらに円ドル相場は今年前半にも、昨年の反動で90円台に反落すると私は思う。
(3)異常な円高が沈静化すれば、或いは円高のピッチが緩やかとなれば、日本の輸出産業は本来の強力な国際競争力を発揮する力を備えている。
(4)輸出関連の製造業は日本経済の根幹である。今年はその輸出関連株が株価と景気を牽引するだろう。

(四)強弱感が鋭く対立したプロミス。

(1)三井住友銀行の北山社長は昨年末、プロミスの第三者割り当て増資を引き受けて支援に乗り出すと表明した。これを受けて年初に株価が急進した。
(2)しかしプロミスの過払い金の払い戻し訴訟が峠を越えたという情報はまだない。最大手の武富士は昨秋、会社更生法を申請した。
(3)アナリストのレポートに至っては極端に弱気が多い。強気・買い推奨は野村證券1社のみで、メリルリンチ、シティグループ、UBS、大和証券、みずほの5社が弱気・売り推奨である。
(4)その結果、プロミスは強弱感が対立して日証金の貸借が大幅な株不足となり、逆日歩が点滅している。
(5)問題の焦点は過払い金訴訟がいつピークアウトするかにある。大手証券6社のアナリストの見識と勝敗に注目したい。