2010/11/1

  2010年11月1日(月)
  黒字転換、増配、自社株買い、
  新薬開発の富士フイルム。

(一)チャートは買いの好機を示唆。

富士フイルム

(1)10月29日に、信用取引は4月高値から6ヶ月目の絶対期日を迎えた。日経平均の急落とも連鎖して週足は安値引けとなった。
(2)しかしチャートを見れば一目瞭然、13週線が26週線を下から上に突き抜ける典型的なゴールデンクロスを形成した。株価を刺激する好材料が集中しており、取り組みも売り買いが接近している。チャートからは3,300円台の高値更新を目指す可能性が高い。
(3)この日は多数の銘柄が絶対期日を迎えて、年初来安値を更新した。
(4)日本ケミカルもこの日に絶対期日を迎えたが、先に1番底、2番底を形成しており、私はだめ押しの局面と思う。
(5)11月以降は全体として期日がらみの売り圧迫が後退する。第二4半期の決算も大幅増益続出で、需給関係と共に日経平均を押し上げる要因となる。

(二)黒字転換、増配、自社株買いを発表。

(1)富士フイルムは前期に構造改革を断行して384億円の赤字を計上したが、29日の中間決算では403億円の黒字に転換した。予想外の株主優遇策も飛び出して、通期5円増配と750万株を上限とする200億円の自社株買いを発表した。
(2)富士フイルムは時価総額1.4兆円を大幅に上回る利益剰余金1.9兆円を蓄積した財務体質抜群の超優良企業である。
(3)もしレバレッジドバイアウトの手法を用いて富士フイルムの資産を担保に時価で買収に成功すれば、タダで買収した上に5,000億円の持参金がついて来る。海外からいつTOBをかけられても不思議ではない。
(4)これに備えて富士フイルムは自社株買いや増配によって株価を高値に維持する努力を重ねているが、理論株価の割安が続く限り株主優遇策が続くだろう。

(三)超大型新薬の認可が近い。

(1)傘下の富山化学が開発中の二つの超大型新薬が順調である。
(2)第1に、2009年9月にフェーズ IIIを開始した T-705 の認可は遅くとも来年春と予想される。
(3)T-705 は新型鳥インフルエンザA(H5N1)型に有効と認定されており、感染症学会ではA型肝炎、B型肝炎、おたふく風邪等、すべての感染症に有効と報じられている。しかも抗生物質ではないからいくら使っても耐性菌が発生しないという傑出した特徴を備えている。
(4)第2に、2008年4月にフェーズ IIを開始したアルツハイマー型認知症治療薬 T-817MA も順調である。現在は認知症の進行を止める薬品は存在するが、治療する薬品は存在しない。T-817MA は治療に踏み込んだ新薬で、開発に成功すれば世界初となる。
(5)いずれも人類待望の超大型新薬で、潜在的市場の大きさから年間売上高は1兆円と目されている。
(6)特に T-705 の認可は大きな人気材料となるだろう。