2010/9/27

  2010年9月27日(月)
  続・日本政府は為替介入で成功する。

(一)為替と日経平均の行方。

(1)政府介入の第1弾は私が予想した通り、大きな威力を発揮した。
(2)先週の9月24日にも、ドル/円とユーロ/円で波乱があり、政府介入説が流れたが、財務大臣は介入について明言を避けた。
(3)私は、介入しなかったと思う。介入しなくても介入説が流れたのだから、介入第1弾のインパクトがいかに大きかったかを示している。
(4)政府がいつ、どれくらいの規模で第2弾の介入を実行するかは、ヘッジファンドとミセス・ワタナベの出方にかかっている。
(5)しかし前回に述べた通り、ミセス・ワタナベは、第1ラウンドで受けたダメージが大きかったから、もはやFXの主役に浮上するパワーはないだろう。
(6)問題はヘッジファンドの出方である。

(二)ヘッジファンドに衰退の兆し。

(1)一口にヘッジファンドといっても多種多様である。大きな資金量とアルゴリズムのノウハウを駆使して世界の金融市場を攪乱したのは投資銀行系のヘッジファンドで、影響力が突出して大きい。
(2)投資銀行系のヘッジファンドは、日本でもアルゴリズムを駆使して円買い、日本株売りの裁定を組み、連戦連勝していた。しかし先週には政府・日銀の介入を受けて円が急落し、日本株が急騰して、大きな打撃を受けた。
(3)そればかりか、投資銀行系ヘッジファンドは資金量そのものが縮小する可能性が高い。オバマ政権の金融改革法案の成立を受けて投資銀行が資金量の大幅削減を迫られているからである。投資銀行世界1のゴールドマン・サックスは資金量を10分の1に圧縮するという情報もある。
(4)またヨーロッパでは、株式や債券を借りて、或いは借りたと称して相場を売り崩す投資銀行系ヘッジファンドの手法に規制を設けた。

(三)ヘッジファンドが誇るアルゴリズムにも限界。

ユーロ スペイン ギリシャ日足

(1)チャートを見れば一目瞭然、5月にギリシャの財政破綻説が流れると、ユーロが急落し、同時にギリシャとスペインの株価と国債が暴落した。この時ユーロと国債と株式を同時に暴落させたのはアルゴリズムを駆使したヘッジファンドであった。
(2)しかし6月初めにヨーロッパの政府と中央銀行が防戦買いに出ると、ユーロと株価は大反騰に転じ、7月までに全値戻りを達成した。その後に、ヘッジファンドはアルゴリズムの目標をヨーロッパから東京市場に移した。
(3)しかし円買い・日本株売りのアルゴリズムで連戦連勝していたヘッジファンドは、東京市場でも予想外の政府日銀の介入を受けて敗退し、円安と同時に日本株が反騰に転じた。
(4)私は、ヘッジファンドが誇るハイテクといえども、ヘッジファンドよりも大きな資金量を持つ政府・中央銀行の介入には勝てなかったのだと思う。ばくちの世界では資金量の大きな方が勝つという原則が生きていたのである。
(5)私の仮説が正しければ、ヨーロッパ市場と同様に投資銀行系ヘッジファンドが東京市場で早期に態勢を立て直すのは困難だろう。

(四)鉱物資源の国家備蓄こそ究極の為替政策。

(1)中国政府は尖閣諸島問題の有利解決を目標に、レアメタルの輸出禁止をちらつかせている。製造業でハイテクを持たない中国は、独占度が高い希少金属を外交戦略に利用する構えを鮮明にした。
(2)前回にも述べたが、私は日本が円売り・ドル買いによって取得したドルを非鉄金属の国家備蓄に振り向けるべきだと思う。
(3)日本政府による非鉄金属の国家備蓄は、日本の製造業の将来の競争力を支援すると同時に、為替介入の目的を合法化する一石二鳥の効果があるからである。