2010/8/30

  2010年8月30日(月)
  政界大再編の予兆。小沢一郎が表舞台へ。

   為替介入はきわめて有効。菅首相のやる気が問題。
   菅首相は反体制の市民運動家で、政治家ではない。
   鳩山前首相は友愛の理念あって、政治の理念なし。
   小沢内閣の誕生は、天下大乱の始まり。
(一)為替介入はきわめて有効。菅首相のやる気が問われる。

(1)前回にクラブ9が指摘した「投機筋の巨大な円買い」は大きな反響を呼んだ。
(2)すなわち、為替先物の建玉が世界最大のシカゴ市場で「投機筋の取り組み」は円買い84%に対して円売り16%と、極端な円買いが積み上がっている。東京市場の取り組みも同じ比率である。
(3)投機筋は必ず反対売買によって決済するから、将来の円売り要因84%に対して、将来の円買い要因はわずか14%に過ぎない。需給関係から推定すれば円相場は天井圏に達している。
(4)このような状況下で、今もし政府が円売り介入を断行すれば、円相場は急落する可能性が高い。(詳しくは前回のクラブ9を参照されたい。)
(5)先週末には菅首相の為替介入発言を受けて円が反落し、日本株が反発した。問題は優柔不断の菅首相に大胆な円売り介入が決断できるか、である。
(6)これまでは口先介入を繰り返しながら行動せず、かえって投機筋になめられて円の暴騰と日本株の暴落を招いて来た。
(7)しかし今回に限り、菅首相は介入を実行する可能性がある。民主党の代表選に立候補した小沢一郎が圧勝の勢いを示しており、菅首相が実行力を示さざるを得ない状況に追い込まれたからである。
(8)次項で菅首相がなぜかくも優柔不断、無為無策であるかについて考察したい。

(二)菅首相は反体制の市民運動家であって、政治家ではない。

(1)菅首相の政治的経歴の大半は反体制の市民運動家である。市民運動家の特徴は、「原爆反対」、「ベトナム戦争反対」のように、国際的な連帯を重視する反体制、反政府活動にある。
(2)仙石官房長官は元社会党員で、ばりばりの左翼系活動家であった。左翼系活動家の特徴は「立て万国の労働者」と歌ったように、政府の転覆を目指す国際的な反体制活動にある。
(3)菅首相と仙石官房長官は政治家になっても野党時代が永く、政府の政策を舌鋒鋭く批判すれば存在感を示すことができた。
(4)しかし両氏は政治家が本来備えているべき「国家と国民のために政治生命を捧げる」という使命感を持たないまま、昨年民主党が与党となり、今年は管氏が首相となり、仙石氏を官房長官に起用した。しかし二人は本来反体制の政治家であって国益を守るという使命感が希薄だから、国家と国民のための決断を先送りし、無為無策の責任回避で時間を空費して来た。
(5)両氏は韓国への謝罪、外国人参政権付与、夫婦別姓等、国家と国民の利益を損なう可能性がある国際的案件については積極的に決断したが、最大の内政問題である投機筋の暴力的な円買い、日本株売りにはひたすら「慎重に見守る」だけで何もしていない。その結果日本の金融市場は世界の投機筋に占拠されて、円が暴騰し、株価が暴落し、デフレが進行し、産業が空洞化し、中小企業が倒産した。
(6)しかし先週末に菅首相は突然、為替市場への「介入を辞さない」と、強い調子で発言した。小沢一郎が代表選に立候補し、小沢支持の雪崩現象が起きたからである。
(7)菅首相は急遽中小企業の経営者を訪ねて面談し、集まった記者団に中小企業救済のために為替市場に介入すると語ったのである。
(8)しかし時すでに遅しで、私は代表選で小沢一郎が圧勝すると思う。代表選の行方について述べる前に、次項で鳩山前首相の友愛政治に触れておきたい。

(三)鳩山前首相は友愛の理念あって政治の理念なし。

(1)鳩山首相の友愛精神もまた、菅首相の市民運動と同様に国際的な人類愛であって、日本と日本国民に対する使命感とは無縁の趣味趣向である。現に鳩山氏は友愛手形を乱発し、日本の政治を支離滅裂の大混乱に陥れた。
(2)例えば沖縄の基地問題では賛成派にも反対派にも支持を約束した。迷走を繰り返したあげく米国の要求を全面的に受け入れた。鳩山首相は友愛手形を乱発し、閣僚は不渡りとなった友愛手形の回収に奔走したが、首相自身は友愛精神の発露を自画自賛して反省の気配を見せない。友愛精神は現在も健全で、今回の民主党の代表選では管派にも小沢派にも友愛手形を切った。
(3)かくして民主党が送り出した二つの内閣は、二つとも日本経済の空洞化を招き、株価を暴落させた。民主党に残された切り札は小沢一郎を残すのみとなった。
(4)小沢一郎はゼニゲバゆえに国民の強い批判にさらされてきたが、国益を守る使命感にあふれた正統派の政治家である。日本国民は迷走の果てにようやく政治家らしい政治家にめぐり会えた。
(5)今、日本の閉塞した政治状況に風穴を開けることができる政治家は小沢一郎以外にないと私は思う。

(四)小沢内閣の誕生は天下大乱の始まり。保保連合の再現も。

(1)私は小沢一郎が代表選で圧勝し、小沢内閣が成立すると思う。
(2)当然の結果として、民主党は国益を守る立場に立つ政治家と国政を批判する立場に立つ政治家に分裂するだろう。
(3)しかし分裂した後に日本の政界を挙げた歴史的な大再編が始まるだろう。
(4)大再編の中心を保保連合が占めるだろう。国益を守るという一点で小沢派と自民党の政治理念が一致し、産業界は諸手を挙げてこれを歓迎するだろう。
(5)小沢一郎は2008年に保保連合を仕掛けた実績がある。読売新聞の渡辺会長と中曽根元首相の仲介で福田首相と小沢一郎が会談し、保保連合の合意が成立した。
(6)この時は小沢一郎が党内で孤立し、破談となったが、今ようやく保保連合が成立する機が熟した。心ある政治家は小異を捨てて大同に就くだろう。
(7)以上は私が今実感している政界再編の大胆予想である。