2010/8/23

  2010年8月23日(月)
  シカゴ先物は84%が円買い。政府日銀は介入の好機。

シカゴのドル/円先物は84%が円買いで、円売りはわずか16%に過ぎない。
世界の投機筋が円買いに群がっている。政府日銀は今こそ介入の好機を迎えた。
(一)ドル/円為替先物の直近の建て玉。

(1)全米為替先物取引委員会が集計した「シカゴ通貨先物(円)」の投機筋のポジションは、8月10日現在次の通りである。
   円買い比率:84.2%     円売り比率:15.8%
(2)東京市場における為替証拠金取引のポジションは8月17日現在次の通りである。
   円買い比率:83.9%    円売り比率:16.1%
(3)世界の為替ディーラーは、建玉が圧倒的に大きな「シカゴ投機筋の取り組み」に注目している。
(4)「シカゴ投機筋」のデータにヘッジファンドの建玉は含まれていない。しかしヘッジファンドこそ円買い・日本株売りの仕掛け人である。
(5)シカゴ市場、東京市場とも、建玉の84%が円買いという空前の投機的円買いが先物市場で積み上がっている。無為無策の日本政府と日銀が投機筋になめられている。

(二)需給関係から見れば円急落の条件が成熟。

(1)投機筋は早晩必ず反対売買によって建玉を決済しなくてはならない。
(2)それゆえ、シカゴ市場の建て玉から将来の反対売買を予想すれば、円売り要因が83.6%を占めているのに対して円買い要因は16.4%に過ぎない。
(3)このような需給関係の下で、もし政府日銀が円の売り介入を断行すれば、投機筋は厳しい踏み上げを迫られる可能性が高い。
(4)為替先物市場では個人でも担保の50倍の相場が張れるから、円を買った投資家は1円の円高で50円の利益を得るが、1円の円安となれば50円の大暴落に直面する。

(三)ユーロの大暴落と大暴騰に学ぶ。

ユーロ/ドル スペイン ギリシャ

(1)<チャート1>は8月9日付クラブ9から再録した。
(2)チャートを見れば一目瞭然。5月にギリシャの財政破綻説をきっかけにユーロとギリシャ・スペインの国債・株式が投機筋の集中売りを浴びて大暴落した。しかし6月上旬にECB中央銀行が反撃に打って出ると、ユーロはもちろんギリシャ・スペインの国債と株式がそろって暴騰し、全値戻りを達成した。
(3)6月初旬に始まった大反騰は、ECB中央銀行が90兆円の資金を準備してユーロと国債の防戦買いに出たことがきっかけとなった。
(4)現実にはECB中央銀行が買い向かいを開始した直後に、介入の噂が流れて投機筋の大踏み上げが始まった。
(5)この時にはヘッジファンドと投機筋が自信満々でユーロとギリシャ・スペインの国債・株式に大規模な空売りを仕掛けていた。
(6)現在まで世界の投機筋は「円買い、日本株売り」で大成功を収めており、自信満々で円買いに群がっているから、今もし政府日銀が「円売り・ドル買い」を断行すれば、ユーロと同じ大逆転が起こる可能性が高い。

(四)不可解な為替介入反対論。

(1)ヨーロッパや韓国やスイスが為替相場に介入していることは周知の事実である。中国は元相場を国家が管理している。イングランド銀行は必要があればいつでも介入するだろう。アメリカは独歩安のドルをてこ入れしないことによってドル安に介入しているのである。
(2)為替は国益を賭けた貿易戦争の一貫である。政府日銀は為替市場に介入してはいけないというエコノミストの主張には根拠がない。
(3)円高を異常に恐れる一方で介入に反対する負け犬根性が、投機筋の円買い、日本株売りを誘発している。
(4)為替不介入論は、いたずらにヘッジファンドの投機を助長し、日本の国益を損なっている。
(5)政府日銀の断固たる円高対策は、極端な円買いのポジションを組んだ投機筋に対して大きな威力を発揮するだろう。