2010/7/5

  2010年7月5日(月)

(一)日本ケミカル。経営者が自社株に自信を表明。

チャート1
日本ケミカル日足

(1)同社は先週、株式市場全般の急落に巻き込まれたが、チャートの通り強い反発力を示した。
(2)また、同社は先週、2件の情報を開示した。第1に、売買単位を100株に引き下げる。第2に、取締役と幹部社員向けに7.5万株のストックオプションを1株1,371円(青線)で実施する。
(3)売買単位の分割は株価の上昇を予想する企業が投資家の便宜を図って実施する場合が多い。一方、ストックオプションは成長期を迎えた企業が幹部社員の活力と意欲を引き出すために実施する場合が多い。経営者が業績に強い自信を表明したと見て、株価は高値引けとなった。
(4)ちなみに筆頭大株主のグラクソが5月29日に追加取得した307万株も1,310円(赤線)の高値であった。
(5)筆頭大株主と幹部社員が取得した株価を時価が大幅に下回ったにもかかわらず、経営者が自信を表明した根拠は次の通りだろう。
(6)第1に、5月27日に上市したエポエチンアルファが対象とする腎性貧血薬市場は国内1,100億円、海外1兆円の巨大市場である。加えて中国市場が拡大機を迎えた。
(7)第2に、国内海外とも現在は2社寡占で、エポエチンアルファは後発ながら競争力に自信がある。
(8)第3に、海外の販売権を取得したグラクソ・スミスクラインは世界第3位の巨大製薬会社で、強い販売力が期待できる。5月27日に国内販売を開始したキッセイ薬品は株価がジリ高をたどっており、順調な販売をうかがわせる。
(9)第4に、当社の前期売上高は144億円に過ぎないから、エポエチンアルファが内外市場で10%単位のシェアを取れば、業績が革命的に変化する。
(10)筆頭大株主のグラクソと当社の幹部社員が取得した株価を下回った現在は、中長期の投資家にとって安心買いの好機だろう。

(二)相場観。ユーロ安主導の株安は終わった。

チャート2
ユーロ/ドル日足

(1)5月以降に世界的株安の発火点となったユーロは、チャートの通り対ドルで2段上げに入り、底入れの気配を鮮明にした。ユーロ/円もユーロ/ドルに準じて上昇した。
(2)先週はギリシャに次いで財政破綻が懸念されていたスペインが貯蓄銀行の大合併と政府支援を表明し、新発国債の販売が好調となった。これを受けてユーロの底入れ観が強まった。
(3)私はユーロ安に始まった世界的株価暴落の連鎖は終息に向かうと思うが、ユーロ安の次はドル安と主張する新たな弱気論が台頭した。
(4)しかしドルは事実上世界唯一の決済通貨である。最大の貿易黒字国である中国と日本は外貨をドルで備蓄している。私は、そのドルが簡単に急落するとは思わない。米国の雇用や住宅に変調が認められるが、それでも米国経済は拡大基調を維持するだろう。
(5)現在は株式市場を弱気論が支配しているから弱気の指標に反応しやすいが、ユーロの反騰は久々に見る明るい変化の兆候である。