(1)先々週に,米政府がゴールドマン・サックスを告発するというショッキングな情報が飛び出して、金融株が大きく売り込まれた。
(2)しかしVICS指数やCDSなど、一時は金融市場を恐怖に陥れた業績悪化の指標が完全に沈静化していたから、私は金融機関の業績は好調だと見て最大手のシティバンクとAIGは買いの好機だと述べた。詳細は次項を参照されたい。
(3)ニューヨークダウは短期的な波乱を経て先週には上昇軌道を回復した。ジャブジャブ金融と景気回復と好調な企業業績が下支えしているから、経済的要因から崩れる懸念は乏しい。
(4)問題はオバマ政権が執拗に成立を狙っている金融改革法案である。ここへ来て、最大の高収益企業であるゴールドマン・サックスを標的に過去の不正を次々に摘発しており、トヨタバッシングを再現する可能性が濃厚となった。
(5)トヨタバッシングとゴールドマンバッシングには人気低迷に悩むオバマ政権の中間選挙対策が潜在している。しかしゴールドマンが米議会の公聴会で糾弾されるとしても、ニューヨークダウの上昇トレンドを覆すほどの悪材料にはならないだろう。
(6)日本では日経やエコノミストの弱気論が盛んであるが、万年弱気の評論家に対して外国人投資家は日本株投資を積極化している。外国人買いが集中した銘柄は信用取引が次々に株不足となり、弱気筋を窮地に追い込んでいる。
(7)特に新興市場がさま変わりの急騰局面を迎えた。外国人の大型株買いに対して個人投資家のマネーが新興市場に流入し、真空地帯を急落していた株価が真空地帯を急騰している。騰勢は収まりそうにない。
(8)ギリシャ問題も峠を越えた。ギリシャはECの一員とはいえ、異端の社会主義の小国に過ぎない。EC各国の株価とユーロは反騰に転じるだろう。
(9)日本の政治は不安定であるが、日銀は過剰流動性の供給とゼロ金利政策で金融市場を支えている。元の切り上げとユーロの反騰は将来の円安要因となる。
(10)内外の景気と業績と資金量から見て、日本株が下落する要因は乏しい。前3月期の決算発表が集中する連休明けの相場を楽しみとしたい。