2010/3/23

  2010年3月23日(月)

(一)三洋電機は最有望成長企業。

三洋電機

(1)新しい四季報は来期の営業利益を450億円、利益を150億円と記載している。今3月期をもって赤字決算と決別し、来季からは大幅増益時代に踏み出す。
(2)三洋電機は今期にパナソニックの支援を得て不採算事業を切り捨てる一方、太陽電池と自動車電池で大型の設備投資を断行した。来期の売上高には大きな変化が生まれる。
(3)第1に、パナソニックの家丸ごと電池、地域丸ごと電池のスマートグリッド構想が急速に具体化する。
(4)第2に、7月には世界初のリチウムイオン電池量産設備が兵庫県加西工場で完成する。徳島工場と併せた年産20万台体制でライバル各社の生産規模に桁違いの大差をつける。三洋電機からリチウムイオン電池を調達するトヨタ、ホンダ、フォルクスワーゲン、フォード等はハイブリッドカー(HV車)で先行し、電気自動車(EV車)陣営よりも早く量産体制を築くだろう。
(5)HV車で独走先行したトヨタに対して米議会で嵐のような批判が集中したが、私が予想した通り、かえってトヨタの技術力の高さと安全性が証明された。これもまた舞台裏の開発競争の激しさを示す事件である。
(6)三洋電機は当初から自動車用リチウムイオン電池でいかなる自動車メーカーとも合弁せず、自力生産による全方位販売を目指してきた。電気自動車時代が本格化する2020年に市場シェア40%を確保するためには、大量生産によるコストダウンで先行し、すべての自動車メーカーの需要に応えなくてはならない。今夏にはその戦略が軌道に乗る。
(7)しかし自力生産、全方位販売は技術力と資金力がなければ実行できない。三洋電機はケータイやパソコンなどの事務機で世界1の品質と販売実績を築いて来た。昨年にはパナソニックの傘下に入り、蓄電池世界1位と2位の連合が成立すると同時に資金面の不安を一掃した。
(8)今や、世界中の国家と企業が21世紀最大の成長分野は自動車電池と太陽電池だと認識して熾烈な開発競争を展開している。特に本格的な電気自動車時代には自動車産業の主導権が自動車メーカーから電池メーカーに移る。もし三洋電機が太陽電池と自動車電池でトップシェアを獲得すれば、間違いなく世界1の成長企業に変身する。
(9)かつて世界の電機,半導体市場を席捲した日本の巨大電機企業はみな、官民一体の攻撃力を構築した韓国サムスンとの競争に敗退した。今ではソニーとパナソニックを併せてもサムスンの売上高、利益に及ばない。
(10)しかし少なくとも今日現在、21世紀最大の成長分野である電池市場で三洋電機はダントツの競争力を構築している。今こそ官民の総力を結集して三洋電機を日本のサムスン、日本のマイクロソフトに成長させることが日本経済の再生に不可欠の国家戦略だと私は思う。

(二)野村マイクロ。半導体と液晶市場に注目。

野村マイクロ

(1)株価は堅調を維持している。その割に出来高が薄いのは、相次ぐ安定工作によって浮動株が減少したからだろう。
(2)株価は急騰前に印の通り3空を形成している。ここで深押しがなければ、チャート上の大相場の可能性が生まれる。
(3)3空を実現するためには、第4四半期(1〜3月)の受注実績と来期見通しが一段と拡大する必要がある。先行指標となる半導体と液晶の需給関係や生産動向に注目したい。
(4)日経ヴェリタスが「青い金塊」「21世紀の石油」などと呼ばれている水資源問題を継続して取り上げている。上下水道ではフランス企業が世界市場を独占して日本にも攻勢をかけているが、ハイテクを必要とする超純水や海水淡水化のプラントでは日本の技術力が優勢である。特に成長市場のアジアで野村マイクロの実績と競争力が傑出している。

(三)日本ケミカルの来期業績を試算。

日本ケミカル

(1)株価反落の理由は第1に、一本調子の上げに対する調整。第2に、四季報の来期大幅減益予想に対する失望、だろう。
(2)国内で当社の腎性貧血治療薬「アルファJCR」の販売を担当するキッセイ薬品も減益予想となった。私が両社に問い合わせたところ回答は同じであった。1.来期の業績は四季報サイドの予想であって当社が出した数字ではない。2.四季報の来期予想には「アルファJCR」の売上高は含まれていない。3.同新薬は4月の薬価収載を待って発売する。4.薬価が確定しない段階で売上高、利益を予想することはできない。5.今期の決算を発表する5月に、来期の業績見通しを発表したい。
(3)私が業界筋から集めた「アルファJCR」の前評判は次の通りである。1.国内の市場規模は1,100億円で、2.中外とキリン協和の2社寡占市場である。3.薬価は後発薬の場合30%程度下がる。4.厚労省は単価の低い後発薬の販売が増加することを期待している。5.「アルファJCR」は3分の1程度のシェアを取る可能性がある。
(4)海外では、1.市場規模は1兆円。2.ロシュとアムジェンの2社寡占市場に 3.当社と提携したグラクソが参入する。4.海外の薬価は日本に準じるだろう。5.発売は日本と同時期になる国と、遅れる国がある。6.製薬業界で世界第2位のグラクソの販売力は強い。
(5)将来は武田薬品などの後発薬が参入すると思われるから、売上高のピークは2年後と見た方が無難だろう。しかし当社は従業員の40%以上が新薬の開発に従事する開発型企業だから、潤沢な利益の再投資によって開発力が加速する。
(6)それにしても内外1.1兆円という市場は当社の年間売上高142億円の70倍を超える超巨大市場である。11年3月期にシェア10%を取れば1,100億円。薬価を7掛けとし,さらに当社の手取りを半分と見て売上高は2.5倍に激増する。当社はすでに設備投資を完了しており、固定費はあまり増えないから、増益率は増収率を大幅に上回るだろう。
(7)私は来期の市場シェアを控えめに10%と見たが、来々期は20%を超えるだろう。どのように試算しても日本の株式市場で空前の増収率となる。
(8)以上は私の試算に過ぎないが、来期の中間決算がまとまる10月頃には具体的な数字が見えてくる。