(1)日本ケミカルの株価が急騰した。あえて年足を用いたのは、年足でないと現在の相場の位置や目標株価が見えないからである。
(2)4月発売予定の後発薬「ヒトエリスロポエチン・アルファJCR」が人気の焦点である。アルファJCRは人工透析の合併症である腎性貧血治療薬で、市場規模がきわめて大きい。
(3)国内では1,100億円市場を中外製薬とキリンが二分している。海外では1兆円市場を中外の提携先・ロシュとキリンの提携先・アムジェンが2分している。
(4)当社は国内、海外の両市場で同時に発売するから、1.1兆円の超巨大市場が対象で、売上高の変化率も超大型となる。
(5)グラクソはこれまで血液製剤市場と無縁であったが、血小板関連の新薬開発を契機に「アルファJCR」の販売権を取得し、同時発売による相乗効果を狙ったと見られる。
(6)グラクソが当社株350万株を取得して第2位の大株主となった点を見ても新薬にかける意気込みが伝わる。またグラクソの株式取得によって浮動株が一掃されたことも株価急騰のもう一つの要因となっている。
(7)最大の注目点は来年3月期の売上高の変化率である。仮に初年度に国内、海外でそれぞれ10%のシェアを取れば1,100億円となる。当社の出荷ベースの価格を半分と見れば、今期売上高142億円の3倍を超える。売上高に関する予想はピンとキリで大きく異なるが、どんなに控えめに見ても、来期の売上高は上場会社として記録的な変化率を達成するだろう。
(8)日経は先週、武田薬品と米メルクがヒトエリスロポエチンの後発薬を開発中と報じた。当社に続くバイオ系後発薬で、順調に進めば2年後の発売となる。私は市場の巨大さから見てさらなる新規参入もあると思う。それでも当社の事業規模から見た業績の変化率はきわめて大きくなるだろう。
(9)今後の相場のスケールを決めるのは一にも二にも業績である。9月中間決算の予想が具体化するまでは増収幅を巡る思惑で波乱が続くだろう。
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