2010/1/18

  2010年1月18日(月)

(一)独裁者について。

(1)石川議員が逮捕された。「驚いた」のは鳩山首相だけで、国民はみな検察陣の決断を予想し、期待していた。小沢氏の3人の秘書は小沢氏の賄賂隠しに協力したのだから、検察の目標が小沢氏にあることは自明である。
(2)小沢氏は天皇不遜の言辞を繰り返したとき、すでに民心を失ったと私は思う。
(3)数百人の民主党議員が争って小沢氏の訪中団に群がり、元旦には副総理を含む160人が年始に集まったという。民主主義を掲げる政党の国会議員が小沢氏にすり寄る風景は異様というよりも危険である。
(4)毛沢東はイタリアンマフィアと同様に血縁しか信用せず、近衛兵を湖南省出身者で固めた。紅衛兵を組織して金持ちとインテリ5,000万人を人民裁判によって殺戮した。ヒットラーはヒットラーユーゲントや親衛隊を組織して、ユダヤ人500万人を殺戮した。スターリンは革命の同志2,000万人を殺戮した。レーニンも生きていたら投獄されたといわれる。ヒットラーもスターリンも毛沢東も、ナンバー2を次々に抹殺して独裁権力を確立した。
(5)小沢氏を独裁者に仕立てたのは民主党議員である。総理と副総理を筆頭に、民主党の国会議員が30億円を蓄財した独裁者を批判するどころか、擁護し、恐れ、すりよっている。
(6)結党以来の盟友である渡辺氏や藤井氏を退けた小沢氏は、いくら金と人を集めても孤独の影が深い。3人の秘書は小沢氏に忠節を尽くしたために、帳簿に過剰なドレッシングを施して墓穴を掘った。
(7)故人は「天網恢々粗にして漏らさず(テンモウカイカイソニシテモラサズ/天の網はあらくて見えないが、決して悪を見逃さない)」と言った。今回の逮捕事件を私は「天網恢々」と感じた。今にして検察が独裁者を糾弾しなければ日本の民主政治は崩壊するおそれがある。

(二)政治と経済。

(1)政治的混乱の株価への影響は軽微だろう。
(2)私は昨年12月早々に、日銀がドバイショックに反応して即日過剰流動性の供給を決断したのをみて、外国人投資家のホットマネーが株式市場、不動産市場に流入するだろうと述べた。
(3)事実は私の予想通りに展開したが、日本のエコノミストは当時も今も2番底が避けられないと弱気論を大合唱している。元旦の日経を見ると財界人までが総弱気であった。全員一致の金太郎あめ現象をみると、日本には個性的な論客が不在というよりも、孤立を恐れて多数派に同調する傾向が強いように見える。全員一致の大政翼賛会は独裁者を生み出しやすい土壌である。
(4)米国にはゴールドマン・サックスやウォーレン・バフェット氏のように常にリスクに挑戦する組織や人物がいくらでもいる。しかし多数意見が支配する日本の株式市場ではかえって少数意見にチャンスがある。
(5)株式市場ではやや強気論が増えたとはいえ、まだ少数派である。押し目を買って2段上げに備えるときだろう。

(三)プロミスと武富士。

プロミス
武富士

(1)サラ金大手3社が、鮮やかな一段上げを演じた。その後も高値圏を維持しており、2段上げが近いと見える。
(2)3社の浮動株は、アコム 0.6%、プロミス 3.6%、武富士 3.7%と極端に少ないから、短期間に大幅な株不足となった。借り株調達が困難なアコムは早くも新規売り停止となったので、ここではプロミスと武富士を検討したい。
(3)大手3社のうち、アコムは三菱UFJの、プロミスは三井住友の傘下に入ったが、武富士は独立を維持しているために資金繰りに難点があり、株価が出遅れている。
(4)3社とも業績面では巨額の過払い金返済に苦しんだが、今3月期でピークが過ぎる。来期以降は黒字転換を予想している。
(5)サラ金は社会的な批判にさらされたが、根絶すれば暴力金融がはびこるから、政策面からも大手3社の生き残りは確実である。
(6)大手3銀行のうちアコムは三菱UFJの、プロミスは三井住友の傘下に入った。武富士は独立を維持しているが、サラ金に足場を持たないみずほ銀行が傘下に入れる可能性がある。その場合は意外高となる。
(7)プロミスと武富士はすでに浮動株式数と同数の空売りを飲み込んで日証金の逆日歩が30〜50銭に達している。
(8)過去の最高値は3社とも1万円を超えており、純資産倍率の低さから見ても、株価は依然として割安圏にある。

(四)大京。

(1)株式市場と不動産市場の資金の流れはおおむね連動している。特に東京都心ではすでにマンション用地が枯渇している。
(2)大京が増資を表明して株価が反落したが、すぐに切り返した。
(3)親会社のオリックスが控えているにも関わらず、自力の増資に踏み切ったのは資金需要があり、業績への自信もあるからだろう。
(4)押し目を狙いたい。

(五)富士フイルム、みずほ銀行、川重。

(1)順調に1段上げをこなしている。目先調整があっても2段上げを残している。

(六)三洋電機。

(1)ゴールドマン・サックスが新規に売った形跡はない。ヘッジファンドの借り株は依然として4,500万株を超えている。
(2)証券会社のレポートは、938万株の空売りを残したモルガン・スタンレーの131円以外は異常な売り目標が消えた。
(3)「三洋がハイブリッド船」、「車向けリチウムイオン電池需要は5年で90倍」等、電池関連の情報が連日のように報じられている。
(4)株価は低迷を脱していないが、需給好転を期待できる情報がある。昨年、三井住友銀行が優先株を普通株に転換した結果をうけて1月31日付けでトピックス連動債の組み入れ比率が大幅に引き上げられる。つまり1月末から2月にかけて機関投資家の買いが三洋電機に継続して集まる可能性がある。