2010/1/12

  2010年1月12日(火)

(一)相場観。

(1)昨年はクラブ9にとって厳しい1年であった。しかし、私は12月初めに発生したドバイショックを契機に日本の株価が一気に反転上昇することを、誰よりも早く、明快に予想できたと思う。
(2)日銀はドバイショックに直面して10兆円の流動性供給を決断し、即日1兆円を放出すると発表した。遅まきながら日銀は米国、英国に続いて一段の金融緩和に踏み切った。
(3)ジャブジャブ金融の効果はまず株式市場と不動産市場に現れる。予想通り投資銀行傘下のヘッジファンドは一夜にして日本株売りから日本株買いに転じ、米国の不動産投信が丸の内の大型不動産を買収した。
(4)今年は世界で株価が最も出遅れた日本企業を外国資本が買収する事件が続発するだろう。
(5)一段の金融緩和を受けて日本の短期金利が低下し、円安が進行した。輸出関連株は競争力を回復し、今3月決算の上方修正が続出するだろう。
(6)株高、土地高、円安は一つのマネーの流れである。このまま日銀の流動性供給が続けば日本株の出遅れ修正は本格化するだろう。
(7)現在は金融資本主義の時代である。アメリカのFRBはジャブキャブ金融の目標を明快に株価と住宅価格に絞り込み、その結果、景気底入れに成功した。日本のエコノミストは財政政策を重視して金融政策を軽視するが、金融資本主義の時代には株価と地価をてこ入れすることが最も重要な景気刺激策となる。
(8)日本の株価が10%上がれば株主は70兆円の、不動産が10%上がれば地主は100兆円の評価益を得る。170兆円の評価益は売却すれば現金に変わるが、売却しなくても担保力となり、設備投資や消費を誘発する。史上最大の90兆円の政府予算が景気刺激効果を持たないのに対して、ジャブジャブ金融こそデフレ克服と景気てこ入れの特効薬となる。
(9)相場が変われば人気銘柄も変わる。昨年末に私は新鮮さと意外性を重視して今年の有望4銘柄を選んだが、穴株にみずほ銀行をあげた。みずほ銀行が意外高に発展する可能性はきわめて高い。
(10)有望4銘柄のうち三洋電気が新春相場で出遅れたが、私は今年の大本命株に推したい。三洋電機を買収したパナソニックは先週、電池関連事業で3兆円の売上高を創造する新中期計画を発表した。特にみずほ銀行と三洋電機は後述のコメントをご覧いただきたい。

(二)注目4銘柄のチャート。

(三)富士フイルム。

(1)先週いきなり上放れた。最大の材料は有望新薬の開発状況である。
(2)世界中の大手製薬会社が主力薬品の特許期限が切れる2010年問題に直面している中で、富士フイルム傘下の富山化学は大型新薬の開発が順調である。
(3)中でも T-705 は H5N1型鳥インフルエンザに唯一有効性が証明されており、学会でB型、C型肝炎、エイズ、おたふく風邪等すべての感染症に有効と発表されている超大型新薬である。
(4)アルツハイマー型認知症治療薬 T-817MA、リューマチ治療薬 T-5224 も一昨年からフェーズ2に入っている。
(5)今冬には H5N1型新型鳥インフルエンザがパンデミック(大流行)に発展する可能性があり、その場合は1万円突破が期待できる。

(四)みずほ銀行。

(1)昨年12月に、世界銀行協会が現行のBIS基準を10年間据え置くと決定した。自己資本の評価に余裕が出た銀行株が一斉に上昇局面に入った。日本では時価発行増資を発表した三井住友銀行を始め野村証券、アコム、プロミス等が急騰した。
(2)東証は昨年12月30日にようやく株主割当増資を認めると決議した。株主割り当て増資一色の欧米に比べて、日本では時価発行増資が投資家の拒絶反応を受けていた。時価発行増資は株主の財産を一方的に毀損(きそん)するが、株主割当増資は株主の財産を損なわない。
(3)年初に三井住友銀行は従来型の時価発行増資を決議したが、みずほ銀行は3月末に株主割当増資に進む可能性が高い。
(4)みずほ銀行は配当利回りが4.6%で、国債や定期預金を含むすべての金融商品よりも割安である。配当取りを勧めたい。

(五)川崎重工。

(1)先週、株価は戻り高値を連続して更新した。
(2)250円台を固めれば、昨年高値291円が射程に入る。

(六)三洋電機。

(1)昨年三洋電機を買収したパナソニックが1月8日に新3カ年計画を発表し、環境対応事業を新成長戦略の基軸に据えた。中核を担うのは三洋電機の電池部門である。
(2)第1に、太陽電池で1,000億円を投入する。第2に、リチウムイオン電池を含む自動車電池で世界シェア40%を目指す。第3に、これらを組み合わせた住宅等のエネルギーシステム事業(スマートグリッド・次世代送電網)を今後の主力事業とする。
(3)今年の7月に完成予定の兵庫県加西第2、第3工場は世界初の自動車用リチウムイオン電池の大量生産工場である。年間生産量は自動車台数換算でこれまでの2万台から一挙に20万台に激増する。
(4)三洋電機は全方位販売を宣言しており、本間副社長は受注動向次第で2012年に予定している加西第4、第5工場の着工を繰り上げて、独走態勢を固める意向を表明している。
(5)8日発表の日証金の取り組みで注目すべき変化が起こった。融資残高が1日で2,400万株も激減し、買い残高が半減した。9日発表でも取り組みはさらに改善した。新たな買い大手の出現を予感させる。