2009/12/28

  2009年12月28日(月)
  I ジャブジャブ金融が日本を救う。
  II 新春の注目4銘柄。

 I ジャブジャブ金融が日本を救う。
(一)ドバイショックで日銀が変身。

(1)ドバイショックに直面して、日銀は遅まきながらジャブジャブ金融に踏み切った。第1弾として10兆円の過剰流動性を金融市場に投入、うち1兆円を即日実施した。私は日銀の変身を評価し、12月7日付で、「ドバイショックは神風になる」と述べた。
(2)次いで12月14日に、「ヘッジファンドの大変身」の見出しで、ヘッジファンドがポートフォリオを組み替えたと指摘した。第1に、日経平均先物は売りから買いへ。第2に、新興国株買いから日本株買いへ。第3に、石油・金買いから株式買いへ。第4に、円カイから円売りへ。第5に、優良株、輸出株は売りから買いへ。
(3)果たしてその後の2週間に株価が急騰し、ヘッジファンドの狙いは見事に的中した。
(4)ヘッジファンドに情報と資金を提供しているのは投資銀行である。日本にはゴールドマン・サックスやJ・P・モルガンのように自らリスクを取って資金を運用する銀行は存在しないが、欧米の投資銀行は日常的に自己責任で自己資金を運用しているから、重要な相場の転機を見逃さない。
(5)その報酬として彼らは、10億円単位のボーナスを取るが、失敗すれば首が飛ぶ。投資銀行こそ、あくなき利益を追求する資本主義の牙城である。
(6)ジャブジャブ金融の効果で新春は大いに期待できる。

(二)ジャブジャブ金融の効果・その1。

(1)ミスター円と呼ばれた榊原教授は先週、「円は来年前半に80円まで暴騰し、景気の2番底が必死だ」と述べた。ヘッジファンドの円安シフトに対して、榊原教授には日銀の決断がもたらす変化が理解できなかった。プロとアマの差、真剣勝負と竹刀競技の差である。
(2)リチャード・クー氏も常々「日銀がいくら過剰流動性を増やしても、企業に資金需要がないのだから設備投資は起こらない」と、金融政策の効果を否定している。
(3)しかし現実には日銀の決断は即座に日本を変えた。第1に、ヘッジファンドが日本の資金で日本株を買い、株価が急騰した。第2に、12月15日に米系不動産投信セキュアードが日本で1,500億円を調達して丸の内のパシフィックセンチュリーを買収し、不動産株が一斉に反騰に転じた。間もなく欧米の買収ファンドが日本でマネーを調達し、日本の企業を次々に買収するだろう。
(4)私は終始一貫「不景気の株高」を主張してきた。現に米英は中央銀行がこれでもかとばかりジャブジャブの過剰流動性を供給し、株価と地価を底入れさせた。現在は2番底論よりもジャブジャブ金融の出口論に注目点が移っている。米英でジャブジャブ金融の威力を体験した投機資金が、ドバイショックで腹をくくった日銀の変身を日本買いの好機と見たのは当然である。

(三)ジャブジャブ金融の効果・その2。

(1)投機資金を軽視してはいけない。日本の株主は株価が10%上がる度に70兆の財産が増える。日本の地主は不動産が10%上がる度に100兆円の財産が増える。
(2)鳩山政権は低所得者に92兆円の大型予算をばらまいたが、お金は貯金に回るだけで、景気刺激効果は期待できない。
(3)しかし日銀がジャブジャブ金融で土地と株式を10%押し上げれば、170兆円の資産効果が絶大な威力を発揮する。財産が増えた金持ちは消費を増やし、担保力が増えた企業は設備投資を積極化するからである。そんなことをすればインフレが起こるという批判が出るが、今日本が必要としているのはデフレを脱却するためのインフレである。
(4)資本主義社会は緩やかなインフレを前提として成り立つシステムである。年金は企業が発展し株価が上がることを前提としたシステムである。鳩山政権がデフレを放置すれば、株価と地価が下がり、設備投資が後退し、年金が崩壊し、恐慌にいたる。鳩山内閣は政権内部の左翼勢力の圧力に屈して社会主義の亡霊を呼び込むリスクがある。
(5)米国の金融市場は昨年、リーマン・ブラザーズの破たんをきっかけに連鎖倒産の危機に直面した。長期にわたる金融緩和で米国に空前の繁栄をもたらしたグリーンスパンFRB議長は過大融資の責任を問われたが、後任のバーナンキ議長は屈せずにジャブジャブ金融を断行し、危機を凌いだ。国家の資本注入を受けた企業と金融機関は1年を待たずに大半を返済し、国家は緊急出資の利益を確保するだろう。
(6)日銀は「アツモノに懲りてナマスを吹き」、ジャブジャブ金融をためらっていたが、ドバイショックに直面して変身した。景気対策不在の鳩山政権下では、日銀の大胆な金融緩和がデフレ脱出の唯一の鍵となる。

 II 新春の注目4銘柄。
(一)みずほ銀行が穴株。

(1)東証が欧米に準じて時価発行増資から株主割り当て増資に転換すると表明した。
(2)一方、日本の三大銀行は自己資本の評価基準変更に対応するために連続増資を迫られていたが、国際決済銀行は基準の変更を10年間先送りした。
(3)その結果、みずほ銀行は、予定していた増資を延期するか、又は時価発行増資を株主割り当て増資に変更する可能性が生じた。
(4)株価はすでに時価発行増資を折り込んで急落し、配当利回りが4.6%に達している。増資方針が変われば株価は急騰するだろう。
(5)増資をしてもしなくても、現行の会計基準が10年間据え置かれたのだから超割安の修正が期待できる。
(6)大手3行の株価は皆再評価されるが、順位は 1.みずほ、2.三井住友、3.三菱UFJかと私は思う。

(二)富山化学(富士フイルム)T-705の認可が近い。

(1)12月22日に東大医化学研究所が、富山化学のT-705の薬効を、ベトナムでヒトから採取したH5N1型ウイルスを感染させたマウスの実験で確認した。
  1. T-705を投与したマウス10匹は21日を経過してもすべて生存した。
  2. タミフルを投与したマウスは10匹中5匹が死んだ。
  3. 何も投与しなかったマウスはすべて死んだ。
(2)マウスによる実験では、2年前に米ユタ州立大学と富山大学が前後して驚異的な実験データを発表している。
(3)東大の研究が注目されたのは、T-705が10月にフェーズ3に入り、製造認可が近づいたからである。
(4)T-705は超大型新薬の呼び声が高い。第1に、抗生物質でないから耐性菌が発生しない。第2に、鳥インフルエンザはもちろん、B型、C型肝炎、おたふく風邪、エイズ等、すべての感染症に薬効が拡大される可能性がある。
(5)来年3月製造認可、10月発売が予想される。
(6)富山第2工場ではすでに1,000万人分の備蓄生産に入っている。
(7)H5N1型鳥インフルエンザの死亡率は昨年、60%に達した。今冬も米国を始め各地で発生情報が相次いでいる。
(8)富山化学は認知症治療薬、リューマチ治療薬等の大型新薬でも、フェーズ2をクリアしている。

(三)三洋電機の新大株主に注目。

(1)乾電池で世界2位のパナソニックが世界1位の三洋電機を買収した。三洋電機は次世代のリチウムイオン電池で独走態勢を固めている。
(2)太陽電池でも、大津工場を始め、米、欧で新鋭設備を投入し、すべての工場がフル操業を続けている。
(3)実力でGSユアサや新神戸電機を圧倒した三洋電機が、全面高した電池関連株の中で唯一100円台に下落した。大幅な株価修正は必至だろう。
(4)当面の株価の焦点はゴールドマン・サックスと大和証券が取得した12億株の行方にかかっている。現在までに開示された情報によれば、両社は1.3億株を株式市場で売却し、10.7億株を市場外で売却している。
(5)10.7億株を取得した企業名が明らかとなれば株価急落の謎が解明される。その時反騰が始まると私は思う。

(四)川崎重工の大型材料。

(1)大型オートバイの不振が赤字決算の原因である。しかし株価を刺激する大型材料が多い。
(2)第1に、ニッケル水素電池を搭載したバスや車両で、10秒充電の驚異的な技術を開発した。停留所に充電用のプラグがあれば架線やレールやガソリンエンジンなしで電車やバスを自由に走らせることができる。
(3)第2に、ベトナムに次いでブラジル、アメリカで、日本の新幹線受注が有力である。川重はアメリカ、ブラジルで製造拠点を持っており、車両受注の期待が高い。