(1)チャートの3銘柄のうち三洋電機の下落幅が最も大きいのは浮動株が増加したからである。浮動株の増加に伴う下落は8月以降に始まった。これまでに開示された情報に従って増加した浮動株とその安定化の経過を私見を交えてまとめておきたい。
(2)昨年末にパナソニックがTOBを宣言した時、三洋電機の発行株式数は18億株、うち浮動株は8億株であった。
(3)一方で、三洋電機は優先株を発行しており、三井住友銀行、大和証券、ゴールドマン・サックス(G・S)3社が保有する優先株を普通株に転換すれば、発行株式数は43億株も激増する。パナソニックはその43億株を全部買収すると発表した。TOBが計画通りに進行すれば、発行株式数は3倍に増えるが、浮動株は8億株に止まるはずであった。
(4)しかし独禁法審査が難航し、8月には取得株式数を31億株(50%強)に縮小せざるを得なくなった。その結果としてG・Sが8億株、大和証券が4億株を取得することとなり、その12億株の行方いかんで需給関係が悪化する可能性が生じた。
(5)途中で曲折はあったが、現在までに12億株の行方はほぼ明らかになった。すなわち大和証券が1億株を、G・Sが2,700万株を株式市場で売却した。残りの10.7億株は市場外バイカイによって第3者に譲渡されたが、譲渡先の名義は不明である。
(6)2社が市場で売却した1.3億株は、10.7億株を安定株主に譲渡するための冷やし玉に用いられたと推定される。安値で株式を取得した企業は三洋電機の友好的株主と推定される。
(7)4,000万株強のカラウリを残したヘッジファンドの出方が変動要因となるが、需給関係がこれ以上悪化しないと見れば、株価は反騰に転じると私は思う。
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