2009/5/25

  2009年5月25日(月)
  続々三洋電気の研究。

(一)株式市場で主役となる背景と条件。

(1)先週ついに三洋電機の株価が保合を上放れた。材料の大きさはもちろん、100円台という発射台の低さ、出来高と取り組みの厚さ等、どの点を見ても大相場に発展する条件を備えていると私は思う。
(2)クリーンエネルギーの開発は、人類が21世紀に生き残るための共通にして最大のテーマである。日本では世界に先駆けて早くもハイブリッドカーが量産体制に入り、ガソリンエンジンから電気モーターへという技術革新が具体化した。
(3)少なくとも今日現在、三洋電機は第1世代の「ニッケル水素電池」に次いで、第2世代の「リチウムイオン電池」でも開発競争の先頭に立っている。
(4)三洋電機は昨年末にパナソニックの傘下に入り、資金と技術の両面で最強の後ろ盾を確保する計画を発表したが、その矢先に独禁法問題が浮上した。第1世代のニッケル水素電池はパナソニックがトヨタのプリウスに、三洋電機がホンダのインサイトに供給しており、両社の生産量を合わせると市場シェアが80%を超えたからである。
(5)パナソニックは7月までに事前交渉を終えてTOBを完了すると述べているが、技術革新のスピードは猛烈に速い。三洋電機は年産10万台の次世代リチウムイオン電池新工場の建設を発表した。TOBを急がなければ、ニッケル水素電池に次いで、リチウムイオン電池でも独禁法問題に抵触する恐れが生じる。
(6)この間にホンダもGSユアサと合弁でリチウムイオン電池の新工場を立ち上げた。さらにトヨタ、ホンダの先行集団に次いでフォルクスワーゲン、フォード、日産、三菱自動車、ベンツ等がハイブリッドカー市場への参入を表明しており、世界中の自動車メーカーが電池メーカーを軸に新しい企業集団を形成する状況が見えてきた。

(二)太陽光発電でも技術革新で先行。

(1)三洋電機は22日、太陽光発電で自らが持つ世界最高の変換効率を更新したと発表し、株価急伸のきっかけとなった。
(2)効率的な太陽光発電とリチウムイオン電池の同時開発によって、三洋電機には新たに2つの可能性が生まれるだろう。
(3)第1に、太陽光で発電した電力をリチウムイオン電池で蓄電すれば夜間使用が可能となり、発電効率が飛躍的に上がる。
(4)第2に、自動車の車体に太陽光発電を組み込めば、ハイブリッドカーの連続走行距離が大幅に伸びる。
(5)経営資源を太陽光発電と電池に集中し、その両市場で技術革新の先頭に躍り出た三洋電機の潜在成長力は群を抜いて高い。

(三)生産拡大のスケールとスピード。

(1)三洋電機は現在徳島工場で年産2万台のリチウムイオン電池を生産しているが、新規着工の加西工場は年産10万台で、生産量は一気に6倍となる。三洋電機は同時にニッケル水素電池の生産能力を年産6万台から15万台に引き上げる。生産拡大のスケールとスピードの抜群の変化率に注目されたい。
(2)三洋電機の技術優位が鮮明となれば後発の自動車メーカーの需要が三洋電機に集中し、生産量は数年以内に年間100万台を超える可能性がある。
(3)ハイブリッドカーが普及するにつれてガソリンスタンドがプラグインの充電スタンドに変わり、ガソリンエンジン車の衰退を速めるだろう。
(4)「株価は株価に聞け」という格言がある。昨年世界の株価暴落に逆行して、突然古河電池株が150円から1,690円に暴騰し、GSユアサも200円から630円に暴騰した。自動車の部品メーカーに過ぎない電池株が暴落する自動車株を尻目に暴騰したという事実を株価に聞けば、技術革新の主導権が自動車メーカーから電池メーカーに移ったことを明快に示したと私は思う。
(5)今にして思えば、電池2社の株価暴騰はハイブリッドカー時代の到来を告げる第1ラウンドの「理想買い」に過ぎなかった。
(6)パナソニックがいち早く三洋電気の買収を決意し、先週にはその三洋電機が200円大台を突破した。これをもって私は電池株相場が第1ラウンドの「理想買い」から第2ラウンドの「業績買い」に移ったと思う。三洋電機がホンダのインサイトに、パナソニックがトヨタのプリウスにニッケル水素電池を供給し、ハイブリッドカーが大量生産時代に突入したからである。
(7)私が若い頃にボロボロになるまで愛読した木佐森吉太郎の罫線論に従えば、理想買いは短期間に終わるが、理想買いのスケールはその後の業績買いのスケールを予告している。第2ラウンドの業績相場では株価上昇が長期にわたり、相場のスケールは第1ラウンドを大幅に凌ぐ。
(8)来年には第2世代のリチウムイオン電池が量産体制に入る。新工場の建設で先行した三洋電機とGSユアサの人気が先行しているが、パナソニックと連携する三洋電機がトップの座を確立するだろう。
(9)三洋電機は技術革新の主導権を握り、研究開発と設備投資の先行投資を回収した上で高水準の利益を確保するだろう。
(10)技術革新は自動車とその周辺産業に革命的な構造変化をもたらすだろう。中大型車のハイブリッド化、車体の太陽光発電化、ガソリンスタンドのプラグイン化等を経てクリーンエネルギーカー時代に到達するまで、多彩な技術革新を誘発し、株式市場で新しい人気株が輩出するだろう。