2009/5/7

  2009年5月7日(月)
  格言に見る相場観。

(一)格言1「不景気の株高」。

(1)エコノミストは、今回は100年に1度の不景気だから、不況は3年は続くと主張していた。マスコミは弱気論の報道を競い、株式市場を弱気論が支配していた。
(2)しかし景況感が悪ければ悪いほど、政府は財政投融資を拡大し、中央銀行は金利を下げて資金をジャブジャブに緩和する。政治もまた100年に1度の不況を防止する政策を集中した。
(3)それゆえ私は「不景気の株高」が始まったと述べているが、エコノミストは誰も「不景気の株高」を認めない。
(4)株高は地価や物価を刺激し、インフレを誘発する。私は、現在の上昇局面は単なる中間反騰ではなく、本格反騰への第1歩だと思う。
(5)1920年代に始まった大恐慌を分析してケインズが「雇用・利子及び貨幣の一般理論」を著し、政府が有効需要を創出すれば不況を克服できると述べた。世界の政府が一斉に財政投融資を積極化したのは有効需要を創出するためである。
(6)今日では、中央銀行の金融政策もきわめて重要な役割を果たしている。特にFRBのバーナンキ議長はインフレ目標論者である。金融政策の目標を、デフレを阻止し、インフレに誘導する、と述べてジャブジャブ金融を推進した。
(7)ケインズ以後、不況下でも「不景気の株高」が出現する様になった。100年に1度の不況といえども例外ではない、と私は思う。

(二)格言2「弱気論者は理路整然と相場を誤る」。

(1)よく勉強する投資家はエコノミストやマスコミの弱気論に洗脳されやすい。
(2)マスコミは一流大学の優等生ばかりを採用するから、エコノミストの理論をよく理解し、不況不可避論を報道することを社会的な使命と思っている。
(3)かくしてエコノミストとマスコミと弱気論者が多数派を形成し、不況論を理路整然と大合唱するにいたった。
(4)こうなると相場は予想される悪材料をことごとく折り込んでしまうから、弱気の情報が表面化しても悪材料の出つくしと見て上昇する。
(5)かくして「弱気論者は理路整然と相場を誤る」のである。

(三)格言3「人の行く、裏に道あり、花の山」。

(1)クラブ9はコラムの創設以来、冒頭に2つの投資原則を掲げている。
 第1条「相場の世界では少数意見が勝つ」。
 第2条「相場とは少数意見が多数意見に変わる過程である」。
(2)「人の行く裏」の道は必ず少数意見である。エコノミストやマスコミの圧倒的な多数意見に逆らって買い向かうためには度胸と経験が必要である。
(3)最近では「VIX恐怖指数」が市場心理を指数化して、注目されている。VIX恐怖指数は昨年末に80を超えたが、3月以降は40を割り込んで、異常な弱気心理の沈静化を予見していた。
(4)しかし断固たる弱気論は現在も信用取引の取り組みに現れており、空前の株不足、逆日歩が常態化している。
(5)欧米では個人の信用取引に加えて、ヘッジファンドが巨大な借り株を用いて大規模な売り崩しを仕掛けている。
(6)前回に私は、カラ売り筋は袋のネズミとなったことに気がついていないと指摘したが、連休中に売り方窮地が鮮明となった。欧米では金融株にヘッジファンドの踏み上げが始まったように見える。
(7)しかし上昇局面もまた強気が多数派を占めた時に終わる。指標としてカラ売りの動向に注目したい。