2009/3/30

  2009年3月30日(月)
  ユダヤ人の金融システムと
  日本人の金融システムの大研究。

(一)株価対策と地価対策は日本固有の政策。

(1)先週末には新年度予算が成立した。4月以降、麻生政権は20兆円の株価対策をいつでも実行できる。
(2)さらに先週末に、政府は1兆円の予算をリート(不動産投信)の買い上げに投入すると発表した。リートと不動産株が一斉に高騰した。
(3)株価対策と地価対策は日本固有の政策で、欧米には存在しない。日本の銀行は不動産や株式を担保に融資するが、欧米では、銀行融資はもちろん、社債や転換社債の発行も無担保である。
(4)日本は担保価値を維持するために株式市場や不動産市場に介入するが、無担保の欧米では担保価値を維持する必要がない。
(5)欧米の金融システムはユダヤ人が構築した。日本の金融システムは日本人が構築した。その歴史的な成り立ちを知らなければ現在の金融不況の実体や金融政策の目標が見えない。以下は異なる2つの金融システムに関する研究である。

(二)ユダヤ人が構築した欧米の金融システム。

(1)欧米の金融システムはユダヤ人が構築した。ユダヤ人はイスラエル王国が滅亡して以来3500年間の永きにわたって世界各地を流浪し、迫害に耐え、金貸しを生業として生き延びてきた。
(2)キリスト教徒とイスラム教徒は戒律によって金貸しを禁じられていたから、ヨーロッパの金融は歴史的にユダヤ人の専業であった。
(3)しかし金貸しに紛争はつきものである。ユダヤ人は世界各地で憎悪を浴び、流浪の民となった。
(4)それゆえユダヤ人は身につけて逃げることができる金とダイヤモンドを財産とし、土地に執着しなかった。
(5)その結果、ユダヤ人が構築した金融システムには担保がない。サラ金も、銀行融資も、社債や転換社債の発行も無担保である。
(6)しかしモノの担保は取らないが、無形の情報を担保としたところにユダヤ人の創意がある。
(7)日本の質屋は担保を取るが、ユダヤ人が開発したサラ金は過去の返済データを担保として融資の限度額を決める。
(8)社債や転換社債で資金を調達する企業は、担保の代わりにあらかじめスタンダード&プアーズやムーディーズのような格付け会社で格付けを取らなくてはならない。格付けが担保だから、格付けに応じて支払利息に差がつく。

(三)日本人が構築した日本の金融システム。

(1)日本でも現在は社債の発行を格付けによって行うが、30年前までは不動産の担保が必要であった。受託銀行が担保を預かり、企業が倒産した場合は受託銀行が責任を持って担保を処分し、受益者に弁済した。
(2)小泉内閣で金融を担当した竹中大臣は欧米の無担保金融を信奉し、日本の株式持ち合いや不動産担保金融を時代遅れと非難し、破壊した。不動産を担保に融資する銀行を過剰融資、融資を受けた企業を過剰債務と決めつけて、逆らう銀行や企業を倒産させたのである。
(3)竹中大臣が退任した後、銀行がたたき売った上場企業の株式40%はそっくりユダヤ資本の手に渡っていた。企業がたたき売った不動産もまたユダヤ資本が買い占めていた。「竹中大臣はユダヤ人の手先」と批判されたのは当然である。
(4)小泉内閣が退陣する頃には、銀行と企業は株式の持ち合いを復活し、不動産担保融資が復活していた。
(5)さもありなん。日本の土地本位の金融システムには1200年の歴史がある。奈良時代の班田収受に始まり、平安時代の荘園制度、戦国時代の領地争い、徳川時代の禄高制度を経て現在まで、土地本位の金融システム一貫して不変である。
(6)日本人は有史以来日本列島に土着する単一民族である。3500年の永きにわたって流浪の生活を強いられたユダヤ人とは対称的な歴史を持つ。欧米の金融システムと日本の金融システムはそれぞれの民族の歴史に裏打ちされて容易に揺らがない。

(四)肥大し、自壊した欧米の金融システム。

(1)20世紀の終わりには情報化社会が進展した。金融と情報には国境がない。どんなに巨額の資金でもメール一本で瞬時に国境を越える。
(2)ヨーロッパ各地に分散していたユダヤ人の多くがヒットラーの虐殺を逃れてアメリカに移住し、ユダヤ人は米欧大陸にまたがる多国籍人種となっていたから、欧米の銀行は情報化の進展に対応して国際的な合併を繰り返し、巨大な多国籍企業に成長した。ユダヤ人が構築した無担保の金融システムは欧米のスタンダードとなったのである。
(3)金融には規制がない。金融ノウハウが発達するにつれて金融市場は急速に巨大化し、金融業は欧米の主要国家で産業構造の中核を占める超巨大産業に成長した。経済大国で製造業が産業構造の中核を占めている国は日本だけである。
(4)しかし巨大化し、複雑化し、多様化した金融市場は、信用構造の一角がほころびると、破たんが破たんの連鎖を招き、金融市場そのものが自壊作用を起こした。突出して巨大化した金融市場が崩壊すれば、国民経済全体が崩壊する。株式市場は史上最大の大暴落を演じた。
(5)欧米の政府は巨額の財政資金を銀行の救済に投入し、中央銀行はゼロ金利政策を断行し、金融をジャブジャブに緩和した。
(6)オバマ政権は、現在までに400兆円の予算を計上して金融、住宅、自動車の破たん回避に奔走し、先週にはバッドバンクの設立構想を発表して、ついに不良債権の本丸に肉薄した。
(7)ニューヨークダウはこれを評価して急上昇した。

(五)狩猟民族の経営と農耕民族の経営。

(1)日本の金融は不動産や株式を担保としているから、担保力を超える不良債権は発生しない。金融機関が被った評価損は限定的で、破たんした銀行は1行もない。疲弊の極に達した欧米の金融システムとの相違は鮮明である。
(2)しかし産業構造の中核を占める製造業は輸出市場が停滞し、空前の大幅減産を強いられている。それでも豊富な内部留保を蓄積した日本の製造業の国際競争力は抜群で、4月以降には在庫調整一巡で業績は急回復するだろう。
(3)日本の上場企業の大半は株式の時価総額を上回る利益準備金を蓄積している。当期利益ばかりか含み益まで強欲な株主に収奪される欧米企業と比べると内部留保に大差が生じた。
(4)当期利益よりも内部留保を重視する保守的な日本の経営手法と株主権が強いために内部留保が薄い欧米企業の相違もまた、農耕民族と狩猟民族の歴史的なライフスタイルに由来している。

(六)株価大逆転の鍵握るバッドバンク。

(1)株式市場はオバマ政権が次々に繰り出した金融政策に冷淡であったが、バッドバンクの設立構想には鋭く反応した。バッドバンクは金融不況脱出の鍵になるだろう。
(2)実践的見地から、私は不良資産の買い取りは次の順序で進行すると思う。
 第1に、オバマ政権は100兆円の買い上げ資金で足りなければ、必要なだけ追加資金を投入する。
 第2に、入札が進むにつれて不良債権の底が見えてくる。疑心暗鬼がもたらす異常な悲観論が後退する。
 第3に、バッドバンクの入札価格が開示されれば、民間の流通市場が復活し不良債権が流動性を回復する。
 第4に、不良債権の残高が減少するにつれて入札価格が上昇し、不良債権が優良債権に逆転する。
 第5に、すでに債券運用最大手のピムコやゴールドマンサックスが参加を表明している。参加する金融機関が増えるにつれて、バッドバンクに対する期待感が盛り上がる。
(3)変化の情報はその都度株価を刺激し、株価の上昇が買い取りを促進する好循環が生まれる。

(七)ユダヤ資本の蹉跌と復活。

(1)ユダヤ人は3500年の永きにわたって苦難の流浪生活を強いられたために、国家に対する忠誠心を失い、社会との融和が乏しくなった。
(2)その結果、アメリカのユダヤ人はニューヨークやロサンゼルスに、イギリスのユダヤ人はロンドンに集中し、人種差別が厳しい地方には住まない。
(3)ユダヤ資本は「飽くなき利益」を追求した結果、金融は他のいかなる産業よりも急速に発展し、巨大化したが、同時に「飽くなき利益」を追求したために、金融市場が臨界点を超えて肥大し、ついに自壊作用を起こした。金融市場の破たんは国民経済全体を深刻な不況に陥れたばかりか、自壊作用は世界中で同時に進行した。
(4)オバマ政権は金融市場の破たん救済に全力を投入しているが、同時にユダヤ資本の「飽くなき利益」追求に厳しい規制の網をかぶせると明言している。国民もまたAIG幹部の非常識で強欲な退職金にブーイングを大合唱した。
(5)しかし先端的な金融商品を次々に開発して金融市場を大膨張させたユダヤ資本のノウハウと人材は傑出している。金融市場を破たんさせたのはユダヤ資本であるが、破たんを乗り越えるシステムを再構築するのもまた、ユダヤ資本だと私は思う。
(6)私はゴールドマンサックスに注目している。ゴールドマンはユダヤ資本の中でも最も傑出した人材を輩出し、最も先端的な金融商品を開発し、最も大きな利益を上げた。一時は破たんの危機に瀕したが真っ先に復活し、政府の救済資金を返済して経営のフリーハンドを奪還する構えである。
(7)「飽くなき利益」を追求する精神構造はユダヤ人の血肉に刻み込まれたDNAである。