2009/3/23

  2009年3月23日(月)
  富士フイルムのチャートと最新情報。

(一)富士フイルムのチャートと最新情報。
   富山化学 T-705 をヨーロッパで治験、直接販売へ。

(1)チャートの通り、富士フイルムの底入れが鮮明である。そんな時に、21日付日経が富山化学の T-705 について注目すべき情報を掲載した。
(2)第1に、富山化学は欧州でのライセンス導出を取りやめて、直接臨床試験を行う。
(3)第2に、直接販売のために欧州で自前の販売網を構築する。
(4)富士フイルムは2兆円の利益剰余金を積み上げた超優良企業だから新たな資金使途を求めたとも言えるが、私は、T-705 の開発に目途をつけた上での決断だと思う。
(5)日本と米国ではすでに T-705 のフェーズ2が進行中で、現在まで目立った副作用は認められていない。
(6)最も先行している日本では、フェーズ2を終了し、新型鳥インフルエンザの患者を対象とした追加臨床に入っている。2010年を目標に治験を終了し、即座に生産するための設備を富山第2工場内に建設済みである。
(7)新型鳥インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)に備えて世界中の政府がタミフルを備蓄しているが、これまでの動物実験と臨床試験では、T-705 の圧倒的優位が証明されている。またタミフルには耐性菌の出現が各国で報告されている。
(8)T-705 は「細胞内でウイルスの複製を阻害する」画期的なメカニズムを持っている。
(9)臨床試験を担当した富山大学の白木公康教授は昨年の日本小児感染症学会で、新型鳥インフルエンザはもちろん、B型肝炎やC型肝炎を含むすべての感染症に有効という驚くべき薬効を報告している。
(10)富山化学を買収した富士フイルムは薬品部門で1兆円の目標を掲げているが、各国政府が備蓄したタミフルの代替需要だけでも7,000億円を超える。薬効がB型肝炎やC型肝炎に拡大すれば、T-705 だけで目標をクリアする超大型新薬となるだろう。
(11)他の新薬の開発状況も順調である。アルツハイマー型認知症治療薬 T-817MA は海外でフェーズ2に入ったと推定される。関節リュウマチの根本治療薬 T-5224 は、ロシュ社にライセンスを導出し、日欧でフェーズ2に入ったと推定される。アルツハイマーとリュウマチについては「進行を止める」薬品はあるが、「治療する薬品」は存在しない。前記の薬品は「治療薬」「根本治療薬」で、開発に成功すれば画期的な新薬となる。
(12)正確には富山化学のホームページを検索されたい。

(二)「不景気の株高」へ、条件が成熟。

(1)先週、米FRBは6ヶ月で29兆円の国債を買い上げると表明した。英イングランド銀行は3ヶ月で10兆円、日銀も月間1.8兆円の国債買い付けを表明しており、新たに巨大マネーが短期間に金融市場に流入する。
(2)これまでも各国の政府は、国民に現金で給付金を支給し、巨大金融期機関を国営化し、或いは資本を注入するなど、巨額の財政資金を投入してきた。しかし、今回の国債買い上げは、中央銀行がマネーを直接、短期間に金融市場に注入する政策である。
(3)米国の長期金利は即座に0.5%急低下し、住宅ローンの金利も連動して低下した。
(4)さらに米国は今週、バッドバンクを設立して銀行が保有する証券化商品や各種のローン債権を買い上げる構想を発表する。資金量は50〜100兆円の巨額に達する。
(5)主要国の中央銀行がゼロ金利政策に続いてジャブジャブ金融に踏み切る究極の目標はデフレを阻止し、インフレへ誘導するところにある。
(6)資本主義社会は緩やかなインフレによる経済の拡大均衡を大前提として成り立っている。デフレを放置すれば、世界経済が縮小均衡の連鎖に陥り、恐慌に突入することは、目の前の事実を見れば一目瞭然である。
(7)例えば年金はインフレを前提としなければ成り立たない。株価が長期にわたって下落すれば老後を保障するシステムは崩壊する。これを阻止するために日本政府は月内に成立する新年度予算で20兆円の株価対策を準備している。
(8)かくして各国の政府が財政投融資を拡大し、中央銀行が金融をジャブジャブに緩和すれば、不況下でもインフレを誘発する。これが「不景気の株高」である。
(9)エコノミストとマスコミは大不況必至論を競い合っているが、私は「不景気の株高」に発展する条件がほぼ成熟したと思う。
(10)指標株はシティグループ。インフレヘッジで金のETFと住友金属鉱山。