(1)ヘッジファンドは投資銀行が産み落とした鬼子である。金融市場の資金量が投資銀行のデリバティブによって巨大化し、バブル化したように、ヘッジファンドも投資銀行の支援を受けて巨大化し、バブル化した。
(2)投資銀行はヘッジファンドを次々に組成し、資金を無制限に供給し、先端的な運用ノウハウを供与した。
(3)ヘッジファンドは売り買いを同時に執行して株価のサヤを確保するなど、独自の運用手法を開発して高い運用実績をあげたから、年金やオイルマネーが争って投資した。ピークの資金量は1,000兆円と噂されたが、過半は借入金であったと推定される。
(4)昨年6月にはサブプライムローン関連証券が暴落し、その証券を組成、販売していた投資銀行の足下に火がついた。資金繰りに窮した投資銀行は傘下のヘッジファンドに自立を促し、融資した資金の回収を急いだ。
(5)ヘッジファンドは巨額の借入金を返済するために株式の大量売却に踏み切った。投資家からも解約申し込みが殺到した。世界中の株価が同時に暴落した経過は前項のチャートの通りである。
(6)ヘッジファンドの資金量はピークの1,000兆円が年末には4分の1に激減したと見られる。解約よりも借入金返済のための売りが大きかった。
(7)ただしヘッジファンドの大部分は売り、買い両建てだから、その差額だけが株式市場の売り要因となるに過ぎない。
(8)2回目の解約は1回目に比べればはるかに規模が小さいから、売り圧力も小さい。ヘッジファンドが株式の需給関係に与える影響力は、今後はさらに低下するだろう。
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